新幹線と太極拳

気が付けば8月なのです。早いのです。時の流れは。この勢いだともう来週辺り年末になっているのではないかと思われるほどの早さです。いや、早さというより速さと表した方が的確でしょうか。プロバドミントンプレーヤーの渾身のスマッシュ並みのスピードで日々が過ぎて行くのです。プロの放つスマッシュは新幹線よりも速いなんて話を聞いたことがあります。人の手で新幹線を超えるスピードが出せるなんて奇跡じゃあありませんか。

何しろ日々作業に追われて忙しいのですが、我が家の猫どもはあくまでマイペースに、スローに生きているのです。南佳孝よろしくスローなブギを奏でているのです。おそらく太極拳の達人の繰り出す腕並みのゆっくりなスピードで彼らの時は過ぎているのではないでしょうか。太極拳の達人の腕がスロー過ぎてそこに鳥が止まったなんて話を聞いたことがあります。人の手が宿り木になって鳥を飛翔からの休息に導くだなんて素敵じゃあありませんか。

ミル坊とココ坊はすっかり仲良しで毎日寄り添ったり追いかけっこしたりレスリングしたりコンビ活動に励んでいるのですが、ふわふわの生き物2匹が家の中でわちゃわちゃと好き勝手している様子は好ましいものです。平和そのものです。猫をこの世に生み落とした神的な存在に感謝せずにはいられません。こうして新幹線と太極拳のスピードが同じ家で交差しながら日々が過ぎて行くのかと思うと何だか不思議な気持ちになります。
先日は知人から猫のDIY家具のムック本の撮影で自宅と猫を貸して欲しいと頼まれ、人見知り全開のミル坊は難しいけど好奇心の塊であるココ坊ならいけるかもと快諾したのですが、いざ知人とカメラマンさんが我が家に来て撮影に及ぶとココ坊はモデルとして一流の働きをするに至ったのです。DIYの猫用かまくらやおもちゃなどに猫が興じる絵を撮りたいとのことで、私はココ坊お気に入りのじゃらしグッズを駆使し、カメラマンさんから「爪研ぎに乗っている絵を」とリクエストされれば「了解!(ラジャとルビを振って下さい)」とココ坊を巧みにそこに導き、爪研ぎに上った瞬間カメラマンさんが「カシャカシャカシャ!」と必殺の連写を繰り出し、「おもちゃと戯れる絵を」とリクエストされれば「了解(ラジャ)!」とココ坊を巧みにそこに導き、またカメラマンさんが「カシャカシャカシャ!」と必殺の連写でその刹那を永遠に閉じ込めるという名コンビプレーが続き、気が付けばあっという間に撮影は終了していたのです。私のココ坊使いとしての腕が一流であることがここに露見したのです。結果ナイスショットがたくさん撮れました。このムック本、発売は来年とまだ先なのですが(私の体感では来年などあっという間なのですが)、私の導きによって撮影されたココ坊の勇姿をぜひ見ていただきたく思う次第です。ちなみにミル坊は人見知り全開でソファの下に隠れっぱなしでした。
全然違う場所で生まれて、偶然鎌倉の我が家で一緒に暮らすことになった2匹なのに、本当の兄弟のように仲良く家族になるというのは奇跡のようで素敵じゃあありませんか。ご飯を待っているミル坊とココ坊の鳴き声が夏の空気を震わせる朝に私はそう思ったのです。

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図書館の貸切り図書館、そして再び子猫大騒動

先日はmolnにて恒例のイベント貸切り図書館の73回目を、図書館のみなさんをゲストに迎えてお送りしました。たくさんのご来場をどうもありがとうございました。この企画を始めてからずっと呼びたかったバンドが図書館なので、ようやく念願叶ったという感じです。2007年に私のユニットfishing with johnの自主イベントに図書館、tico moon、lakeをゲストに呼んだのが彼らとの最初の出会いでしょうか。近藤さんとはその時が初対面だったんですが、まさか時を経てお互い猫を愛で合う仲になるとは思いませんでした。イトケンさんには夜の科学オーケストラでいつもお世話になっているし、ミヤザキさんとも以前からちょこちょこ交流があり、今回満を持しての出演が叶って嬉しかったです。この日は図書館4年振りにして初のワンマン、持ち曲全披露という贅沢なライブとなりまして。サポートなしのメンバー4名のみの編成で、彼らの魅力が存分に味わえる内容だったのではないでしょうか。田中さんの凛とした母性溢れる歌声に寄り添うイトケンさんの繊細かつタイトなドラミング、華麗な近藤さんのギターとバンドの要とも言えるミヤザキさんのピアノと、とにかく素晴らしい演奏でした。この季節の鎌倉で聴く図書館サウンドの心地良さたるや。(本人たちも言ってましたが、不思議と鎌倉に似合う歌ばかりなのです。)メンバー全員が楽しんでいる様子も見ていて伝わって来ましたし。近藤さんが「電車の音聞こえるかな?」と呼びかけた後しばらくして外の横須賀線の電車がホームに来て、「最終電車」を演奏し出したシーンにはグッと来てしまいましたね。線路近くのmolnでは電車の音が良い演出をすることがたまにあるのです。この日は満員御礼、何と札幌から見に来てくれたお客さんもいて、会場の雰囲気もとても良く、最高な一夜となりました。
ちなみに今回図書館のみなさんが紹介してくれた本は
近藤研二さん 
「ジャクソン・ギャラクシーの猫を幸せにする飼い方」
イトケンさん 
「プリンス録音術」 ジェイクブラウン著
ミヤザキタカシさん
 「サザエさん東京物語」 長谷川洋子著
「少年の名はジルベール竹宮惠子
田中亜矢さん
「すばらしいとき 」ロバート・マックロスキー著
というラインナップでした。
猫の貴公子こと近藤さんはやはり猫関連の本を紹介してくれて、最近子猫を家族に迎えた我が家にこの本をプレゼントしてくれました。ニューフェイスを迎えた場合、先住の猫のケアが一番大事だというアドバイスをしかと受け止めた我々です。
イトケンさんの紹介本は、プリンスがどのアルバムのどの曲で何の機材を使って録音したのか細かく紹介されているマニア向けの本だそうで。「この曲のギターの録音、マイクは57使ってるんだ〜」などと感心しながら読んでいるのだそうです。「ちなみに57というのはマイクの種類ね。今目の前にあるマイクは58」とすかさず解説を入れる近藤さん。「その手の本、ビートルズにもあるよ」と補足を入れるミヤザキさん。「ザ・ビートルズ レコーディング・セッションズ」のことでしょうか。
そんなミヤザキさんが紹介してくれたのは漫画関連の2冊で。長谷川洋子さんはサザエさんでお馴染み長谷川町子さんの実妹さんだそうで、この本は町子さんが亡くなるまでの長谷川三姉妹の波瀾万丈のエピソードを綴ったエッセイなのだそうです。ミヤザキさんが語る長谷川家の衝撃の裏話に客席みんな「え〜」と驚いておりましたが(詳しくは本書をお読み下さい)、こういう物語の背景や裏話の方に興味を持つ視点がミヤザキさんぽいなと思いました。もう1冊の竹宮惠子さんの本も自身の漫画家人生を綴った自伝なのだそうですが、竹宮さんが一時期同じアパートで暮らしていた漫画家の萩尾望都さんの天才っぷりを間近に見ての苦悩や葛藤が読んでいて面白いのだそうです。竹宮さんの自伝から萩尾望都さんの魅力を見出すミヤザキさんの目線がまた面白かったですね。そういえばリハ時に萩尾望都風の美キャラのイラストの色紙が置いてあって、「これ誰のイラストですか?」とミヤザキさんに聞いたら「おいらが描きました」とのことで、彼の多才振りに驚いたのですが、本番中その色紙をお客さんにプレゼントするという流れになり。ミヤザキさんが「今日一番遠くから来た人にプレゼントします」と客席に問うたら「札幌から来ました!」と男性の方から声が上がり。聞けばこの日の図書館のライブを見るためにわざわざ札幌から鎌倉までやって来たのだそうで、ミヤザキさんのイラスト色紙と紹介した本は札幌へと旅立つことになりました。(このくだりはこの日一番の盛り上がりを見せました。)
田中さんは普段お子さんに絵本を読み聞かせする機会が多いとのことでしたが、今回紹介してくれた絵本はどちらかと言うと大人向けなのだそうで。何と贅沢にもその場で読み聞かせをしてくれました。彼女の声で語られる詩情豊かな文章と淡い色彩の絵に惹かれましたね。ぜひ読んでみたくなりました。本の紹介でもメンバーによって個性が出て、面白いなと思いましたね。
終演後にはみんなで「良かったね〜」と感想を言い合いつつ打ち上げをし。その後は「五十嵐家の新入り子猫を見に行こう!」と近藤さん、イトケンさん、田中さんと、ライブを見に来ていた山田兄さんとで我が家に行き、ココ坊初披露と相成りました。山田氏は「うちのケージ貸してあげようか?2階建てハンモック付きの好物件だよ〜」と申し出てくれて、ありがたくお借りすることになり、この日わざわざ車で持って来てくれたのですが、「わ、1階と2階をへだてる板を忘れた!」とのことで、だだっ広い1階建て物件に条件変更になり、山田不動産の評価あやうしとなったのですが、ハンモックをいたくココ坊が気に入り、無事満点の高評価が付きました。今やすっかり山田不動産のケージで落ち着いているココ坊です。思えばミル坊が我が家にやって来た時も山田氏と近藤さんは様子を見に来てくれたし、イトケンさんもほどなく会いに来てくれたなあと思い出し、何だか嬉しくなりましたね。みんなに抱かれるココ坊の姿が可愛く、子猫が我が家にやって来たという実感が湧きました。猫先輩がいると心強いなと思った次第です。お店の営業とライブと子猫披露と、長い1日でしたが心に残る日となりました。
貸切り図書館、次回は7月7日の七夕、ayU tokiOさんとalfred beach sandalの北里彰久さんをゲストに迎えてお送りします。こちらもぜひよろしくお願いしますということで。

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10年目の月の下で

先月、月見ル君想フにて行われた山田稔明ソロデビュー10周年記念ライブに私もちょこっとゲスト出演させていただいたのですが、他のメンバーやスタッフ、たくさんのお客さんと共にアニバーサリーをお祝いが出来て良かったです。その前の週に山田氏に会った時に「五十嵐くん来週見に来られる?あ、じゃあ出ちゃう?」という軽いノリで出演が決まったんですけどね。山田氏の「ライブを見に来た友達をステージに上げる率」の高さたるやです。この方式でステージに駆り出されるタカテツさんの姿を何回も目撃しているのです。この日は彼のソロ初期を支えたkicking birdsの面々による演奏から始まり。それこそ10年、折に触れ見続けて来た(そして時に一緒に参加もして来た)メンバーによる演奏はやはり良いなあと見ながらしみじみしてしまいましたね。山田氏も信頼してる感じが伝わって来て。この日はステージ上や楽屋で懐かしい話がたくさん聞けましたが、山田氏にも色々あったけど、自分やメンバーやスタッフさんたちにも色々あったなあと何だか感慨深いものがありました。この前日のライブでコーラスの綾香ちゃんがメジャーデビューを機に卒業とのことでしたが、リハーサルで山田氏の代わりに綾香ちゃんが歌う光景ももう見られないのだなとふとさみしくなったりしました。(かと思ったらこの日のリハーサルで山田氏の代わりにスタッフのカズトくんが歌う光景が見られて「おお〜」と思いました。受け継がれるのでしょうか。)後半ベースのイトケンさんが参加しての曲も良かったですね。
自分は「やまびこの詩」でギターで参加し、当時の思い出話なんかも少ししました。この曲の私のギターは自分の部屋で録ってデータを送ったので録音時誰とも会ってないのですが、初めてヘッドフォンで聴いた時は感動しましたね。めっちゃええ曲やん〜と。ステージでは初めて山田氏の家に遊びに行ってポチと一晩過ごした話をしましたが(この話何回もしてますが)、あの夜ポチと3人で過ごした光景が未だに鮮明に残っているのです。山田氏とポチと3人でポール・サイモンのビデオを見ながら飲んだ夜。今でも初期2作の曲を聴くとその空気を思い出します。今回この2作が2枚組でリイシューされて嬉しい限りです。
この日は他何曲かベースでも参加させていただきましたが、お祭り気分で楽しかったですね。この日はベーシストの方のイトケンさん(名前が一緒だからややこしい)のベースをお借りしたのですが凄く良い音で、新しいベースが欲しくなってしまいました。(イトケン氏がbonobosのベースの方から借りてるベースなんだそうですが、すんごく良い音でした。)
この日山田氏から「五十嵐くん何か物販持って来れば?10周年グッズ張子で作ったら良いじゃない」と提案をいただいたので、当日朝4時に起きてポチとポチ実の招き猫を作ったのですが(当日の朝しか作る時間がなかったもので)、これがなかなか好評で。今回彼のソロ作の1stと2ndがリイシューされたのにちなんで、それぞれのジャケのカラーを猫たちにあしらったのです。山田氏から「売り切れちゃったら受注すれば良いじゃない」とさらに提案をいただいて、結果かなりの数の受注をいただくことになりました。(注文してくれた方々、どうもありがとうございました。)10周年が形になると嬉しいですよね。招き猫は宅急便でお送りか、今度の7月6日の恵比寿天窓スウィッチでの夜の科学にて直接お渡ししますので、ぜひ楽しみにお待ち下さい。(今作っています。)そしていくつか余分に作って持って行こうと思ってるので、ぜひ買い逃した方はお手に取っていただきたく。
しかし10年て過ぎるのあっという間ですね。あっという間だけど、それなりに色々あるもんだなと思いながら子猫のココ坊を撫でています。ポチは天国で元気に暮らしているかしら。

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子猫大騒動

気が付けばもう6月なのです。早いのです。相変わらずバタバタな日々で、このままバターになってしまうのではという勢いで駆け回っておりますが、何とかノーバターでジューンまで辿り着きました。

5月は怒涛のGW10連休があり(ということは勿論10連勤です)、日々の張子業務もあり(カマクラ張子のウェブショップもようやくオープンしました)、山田稔明氏ソロ10周年ライブにゲスト出演なんかもありつつ、5月末から6月10日まではmolnの買い付けでラトビアリトアニアフィンランドを旅しており、何というかあっという間に時間が過ぎていく感覚でしたね。旅に於いては毎日重い荷物持って大変でしたが、色々な交流も出来て楽しかったです。初めて現地の方のお家にお呼ばれもしましたし。往復の飛行機の中で映画を7、8本見て、日本にいたらこんな時間作れないよなあなんて思ったり、日本の政治絡みの酷いニュースを見て、もう本気で海外移住もありなのではとふと思ったり。色々なことを思いつつ帰国しました。まあ買い付け旅のことはまた時間見つけてここに書きたいですが。
そんな我が家ですが、先日ニューキャラがやって来まして。保護猫活動をしている方との縁があり、何と新たに子猫を家族として迎えることになったのです。すでにうちにはミル坊がいるし、折り合いは大丈夫なのかと懸念されたのですが、写真を見るとミル坊の赤ちゃんの頃にそっくりだし大丈夫じゃないかという、謎の外見似ている理論を根拠に迎えることにしたのですが、これが大変だったのです。
子猫はすでに保護猫さん家でげんくんという名前で呼ばれていたのですが、ミルクと何の関連性もないし、名前を呼ぶ度に星野源のことを思い出し毎回恋ダンスを踊ってしまうことが懸念されたので(別に踊らなければ良いんですが)、ミルクの弟分ということでココアという新たな名前を思い付いたのですが、あやはキラキラネームみたいで嫌だなあと言うのです。確かにOLさんがワンちゃんに付けそうな名前筆頭ではあるし、心に愛と書いてココアと読ませればそれはキラキラネームど真ん中ではあるのですが、ココ坊という通称にすると可愛いお菓子みたいで良いんじゃないか、ビーチボーイズのココモみたいだし、という謎の理論を根拠にそう命名したのです。身体の色合いもココアぽいし。
保護猫さん家が夫婦でわざわざ自宅まで運んで来てくれたのですが、最初は大人しくしていたココ坊はいきなり見知らぬ場所に来た混乱と恐怖からかミャーミャー鳴き出し、ミル坊が近付くと「敵が来た!」とばかりに「フー!」と唸り威嚇するのです。さすがにおっとりさんのミル坊もこれには反応し、やはり「フー!」とブルース・リーばりの威嚇音を発して戦闘態勢に入り、そのうち「アチョー!」と本気の怪鳥音を発して、やおらヌンチャクを振り回し、コロシアムでブルース・リーチャック・ノリスが闘う、映画「ドラゴンへの道」のワンシーンが再現されるのではっ?と危惧されたのですが、ココ坊を入れたケージに毛布を被せて姿を見えなくするという作戦で何とかそれは回避出来ました。(ミル坊がヌンチャクを振り回す姿、ちょっと見たかったですが)
次の日もココ坊は不安からか朝夜とミャーミャー鳴き続け、パニック状態が続き、抱きかかえてもバタバタ暴れ、本当のあばれる君ここにありという感じで、五十嵐ココアというファンシーな名前から五十嵐あばれる君というファンキーな名前に改名を余儀なくされるところだったのですが、さすがに3日くらい経って「この人たちは敵ではない」と理解したのか徐々に落ち着いて来ました。
初日はストレスからなのかご飯も食べなかったミル坊ですが、相手が子猫だということを理解したのか、そっと距離を保ってあたたかく見守るようになり、大人の優しさを感じました。ミル坊いいやつだなあ〜と改めて惚れ直した次第です。そして小さいココ坊を抱いた後にミル坊を抱くとこんなに重たかったのか!と驚くほどずっしりとしていて、この4年過ごした日々の重みを感じてしみじみしたりしました。ミル坊ももう大人です。
新たにココ坊という暴れん坊を我が家に迎えてさらにバタバタしそうな日々です。バターにならないよう気を付けたいところです。あ、カマクラ張子のウェブショップ、今後色々アップしていく予定なのでぜひ一度閲覧のほどをお願いします。
https://kamakurahariko.shop-pro.jp/

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険しきパスポートへの道

気が付けばもう4月も終わろうとしているのです。4月どころか平成も終わろうとしているのです。この時の流れの早さは何なのかと思いながら日々を過ごしていますが、みなさんはいかがお過ごしでしょうか。私はというと平成をゆっくり振り返る暇もなく、相変わらず馬車馬の如く働いておるのですが、最近は草テン用に新曲を作ったり、fishing with john用の新曲を録音したり、音楽活動も平行してやり始めています。草テンに関しては近藤研二さんと曲を共作したり、fwjも某音楽家とコラボしたり、色々動いております。独立するとなると事務系の作業も全部ひとりでやらねばならず、やれ年金だ領収書だ確定申告だとややこしいことがたくさん目の前に現れ、さらに張子の仕事もあるし「ひ〜」となるところ、音楽という全く違う作業が入ると気が紛れるというか、逆に両方の作業が進んだりするので、色々なことをやる方が自分には性に合っているのだなと思ったりしています。でもやらなきゃいけないことが目白押しで日々大変です。ミル坊に癒されながら何とか令和を迎えようとしています。

令和という元号に関しては発表する瞬間の映像も見ていないし(手話の人のワイプに被って元号が見えないというドジ画像は見ました)、特に何の感想も抱かないのですが、招き猫に「令和元年」と入れて下さいという注文が早速来たり、事務系の作業で令和と書く機会も今後増えると思うので、徐々に令和が自分の中に浸透していくのだろうなとぼんやり思っています。平成に関しては光GENJIが「Hey!Say!」というタイトルのアルバムをリリースしたり、その後ずばりHey!Say!JUMPというグループがデビューしたりしたので、今後ジャニーズ系の誰かが「Rey!Wa!」というタイトルのアルバムをリリースしたり、その後Rey!Wa!Champみたいな名前のグループがデビューするのかなあという思いくらいしか浮かびません。平成になってから己の昭和と向き合うようになったので、平成を振り返るには令和をある程度過ごした後なのかなと思ったりしています。
令和になって早々またmolnの買い付けでラトビアに行くので、先日パスポートの更新に行って来たのですが、戸籍謄本を持って行くという初歩中の初歩を忘れてしまい、取りあえず受付だけしてその日はすごすご帰って来たのですが、次の日いざ鎌倉市役所に行って戸籍謄本を貰おうと思ったら「あれ、五十嵐さん本籍が鎌倉になってないですね」と言われてしまい。「えっ、埼玉のままですか?」「いや、違いますねえ」「え、まさか東京ですか?」「はい、東京の墨田区ですねえ」と言われ。そこで以前住んでいた墨田区から転籍作業をしていなかったことが判明したのです。ていうか何でクイズ形式なん?素直に「本籍東京になってますよ」と教えてくれればええんちゃうん?と思いつつ、ちょうど1週間後に張子の催事でスカイツリーに行く用事があったので、そのついでに墨田区役所で戸籍謄本を貰って来まして。それを持って再び鎌倉市役所に行って転籍届けを出したのですが、「反映に2週間ほどかかります」とのことで。パスポートの更新だけでどんだけ時間かかっとんねんという話ですが仕方ありません。いざ2週間後にまた鎌倉市役所に戸籍謄本を取りに行き、その足で関内にあるパスポートセンターまで行ったのですが、前回行った時は19時過ぎまでの営業だったのですが、この日は16時45分までの営業であることを横浜駅で気付いたのです。(同行していたあやが「受付時間大丈夫?」と聞いてくれたのでわかったのです)時計を見やるとその時点で16時半なのです。「やべえ!間に合わねえ!」と急いで電車に乗り、関内駅に着いたのが16時35分です。これはもうタクるしかない!と電車から降りたのですが、出口の南口が遠いのです。乗る場所が悪かったのです。「うおおおおお!」とホームを疾風の如くダッシュし、改札を出てタクシー乗り場まで急ぎ、タクシーに乗って「パスポートセンターまで!なるはやでお願いします!」と「前の車を追ってくれ!」のテンションで告げると運転手さんもその異様なテンションに気付いたのか「何時までに行けば間に合うんです?」と聞いて来て。「16時45分までなんです!」と告げると「ほほう」と唸り。そこから運転手さんのプロのスイッチが入り、腕まくりをし(実際にはしてないけどしてるかのような心持ちで)エンジンをぶぶぶーんとふかし。我々を乗せたタクシーは関内の街を秒速できゅるきゅるきゅる〜と疾駆し、するりとパスポートセンターの前に到着したのが16時43分です。あやが「1000円札出して早く行って!」と急かしたのですが、私の中では「ギリ間に合った!」という安堵感で端数の30円を出そうと「えーと小銭は〜」と小銭入れをごそごそ探っていたらあやが「そんな暇あるか!ダッシュせい!お釣りは私が受け取っておくから!」と蹴飛ばされ。「ひえ〜」と言いながらふらふらとタクシーを降りてそこからダッシュでセンターの受付に着いたのが16時45分ちょうどで。何とかギリギリ間に合ったのです。そこで更新の手続きを行い。「えー、ではパスポートのお渡しは来週以降ですね〜」と言われ、1週間後にまたパスポートセンターに出向いて無事ニューパスポートをゲット出来たのですが、結局最初に申し込みに行った日から受け取るまで5週間もかかってしまいました。パスポートセンターにも都合3回出向いたので、その周辺がすっかり馴染みになってしまいました。目の前が海だし、ちょっと歩けば中華街もあるし、横浜公園内の球場では毎回ベイスターズのファンの熱気を目の当たりにし、この5週間ですっかり横浜を満喫してしまいました。
このパスポートで令和になってすぐ海外へ行くのだなあと思うと楽しみではあるのですが、更新だけでこんな大騒ぎになるとはいざ現地へ行ったらもっと大変なのではないかしらとちょっとドキドキもしている私です。取りあえずグッドバイHey!Say!ということで。

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純喫茶空間と文体と音楽 貸切り図書館71冊目

ちょっと時間が経過してしまいましたが、先日行われた「貸切り図書館71冊目〜純喫茶トーク&ライブ クリームソーダ編」にたくさんのご来場をどうもありがとうございました。難波里奈さんによる純喫茶トークと次松大助さんの弾き語りライブ、どちらも素晴らしく聴き応えありました。

難波さんはこれまで1700軒以上の喫茶店を訪ね、純喫茶についての本も多数出版されており、沼田元氣さんから東京喫茶店研究所2代目所長を受け継いだという真の純喫茶マスターなのです。そんなお方の純喫茶トークが面白くないわけがないのです。難波さんはスライドでお勧めの喫茶店や名物マスターの写真コレクションなどを紹介してくれたり、90年代に発売されたコンピCDシリーズ「喫茶ロック」のジャケットに使われたお店の現状を追跡したレポを聞かせてくれたり、純喫茶にまつわる興味深い話満載でした。また閉店が続く老舗喫茶店についても触れられ、好きな店には行ける時に行っておかないと二度と空間を味わえないという主張には深く頷かされるものがありました。この日は純喫茶好きなお客さんが多く、みなさんメモを取ったりしながら熱心に聞いていたのが印象的でしたね。難波さんは単独でのトークも上手ですが、次松さんとのトークでも彼の読書観や言葉について興味深い話をたくさん引き出していて、とても面白かったです。(本でも新聞でも広報紙でも人が校正した文章を読むのが好きという次松さんの姿勢に真の読書家だなという印象を持ちました)

そんな次松さんのライブ、ボーカリストのイメージが強かったんですが、ピアノの演奏もとても素晴らしく、魅了されました。マイスティースのファンである私からしたら今回難波さんとの縁で生で歌声を聴けて感涙でした。(先に難波さんをお誘いしたら彼女が次松さんを指名してくれたのです。)

ちなみに今回次松さんが紹介してくれた本は

悪童日記アゴタ・クリストフ

「季節のない街」山本周五郎

「芽むしり仔撃ち」 大江健三郎

イスラエルに揺れる」東野翠れん

「ギッちょん」山下澄人

「水銀灯が消えるまで」東直子

というラインナップでした。

次松さんは物語というよりも文章の言語感覚に惹かれるのだそうで、「悪童日記」はハンガリー出身の作者がスイスに亡命し慣れないフランス語で書いたという作品で、その慣れない言語による文体が心地良いとのことでした。東野翠れんさんも日本人とイスラエル人とのハーフの方で、少し片言ぽいような日本語感覚に魅力を感じるのだそうです。大江健三郎も言葉と言葉の組み合わせの妙に惹かれるし、山本周五郎は整った文体が読むのに気持ち良いとのことで、マイスティースの歌詞って意外な読書体験から生まれているのだなと聞いていて新鮮でした。(山本周五郎の文章は「バッティングセンターで気持ち良くボールを打ち続ける感覚ですいすい読める」という独特な表現されていて面白かったです。)山下澄人も独自な文体だし、歌人東直子も女性性が溢れる言語感覚に惹かれるとのことで、物語性よりも文体で文字を追うのに快感を覚えるというスタンスは、旋律ではなく楽器群の音色、サウンドの方に気持ち良さを感じる音楽家ぽいアプローチなのかなとちょっと思ったりしました。今回次松さんはピアノのインスト曲をたくさん演奏してくれましたが(多分即興部分が多かったと思うのですが)、そういう独自な言語の並びの心地良さみたいなものをピアノで表現していたのかなと思ったりしました。素晴らしかったです。

ライブ中、ステージドリンクが水かと思ったら実は焼酎だったという(難波さんが暴露してました)次松さんと打ち上げで飲んだのですが、真の酒飲みであることがひしひしと伝わって来て最高でした。難波さんも喫茶と共に酒もいける人で最高だなと思った次第です。(そこか。)難波さんは普段サラリーマンとして働きながらたくさんの純喫茶を訪れ、著書を何冊も出されていて、そのエネルギーに感心してしまうのですが、本当に純喫茶が好きだからこその活動なのだなと今回お話を聞いていて思いました。好きを原動力に活動する強みを感じ、私も見習わなければならないと思った次第です。

貸切り図書館、次回は4月7日に青木慶則さん、杉瀬陽子さんをゲストに迎えてお送りします。ぜひこちらもよろしくお願いしますということで。f:id:fishingwithjohn:20190330192247j:image
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友よ、また会おう

もう3月も終わろうとしているのです。早いのです。独立してからというもの仕事量が莫大に増え、毎日目の回るような忙しさが続き、ひーひー言いながら馬車馬の如く(ばしゃうまと漢字で書くと山本山みたいに字面がシンメトリーになるのですね)ひたすら休みなく働いていたのですが、「きちんと休みを設けないと倒れるぞ!」とあやから注意を受け、強制的に休むようにしたら身体も楽になったし仕事の効率も自然と上がりました。オンとオフのスイッチの大切さを実感しているこの頃です。そんなオフの日にタカテツさんこと高橋徹也さんが鎌倉に遊びに来たので、折角だからとあやと3人で一緒にお寺巡りをして楽しみました。この日颯爽と鎌倉に現れた細身の青年タカテツさんは「これこの間のライブのお礼です!」と我々にレコードをプレゼントしてくれ。1月にタカテツさんがmolnに出演した際、あやがゲストシンガーとして歌ったお礼だと言うのです。こちらがお礼を言いたいくらいなのに律儀なお方なのです。タカテツさんは毎回何かしらレコードをくれるのですが、どれもセンスが良くて我が家の愛聴盤になるのです。「愛聴盤贈り人」という愛称を彼に捧げたい思いです。あいちょうばんおくりびと
そんな贈り人と散歩に繰り出しまして。この日は天気も良くお散歩日和で。人気のない裏道を歩き、小さな公園の桜を撮影したりしながら進んでいたら突然猫のような犬のような狸のような不思議な生き物に遭遇し。「え、ハクビシンじゃない?」「狸かな?犬にはみえないな!」と大騒ぎする我々。結局正体のわからぬままその生き物は逃げてしまったのですが、果たして何者だったのでしょうか。
そんな謎の生き物との遭遇もありつつ、風情ある鎌倉の小径を他愛もないお喋りをしながら歩き、鶴岡八幡宮をお詣りし。(八幡宮に長い時間手を合わせるタカテツさん。)そして八幡宮からまた風情のある通りを歩いているうちに「そろそろランチでも食べますか?」となり。一行はベルグフェルドという美味しいパン屋さんでトーストとサラダと紅茶(私とあやはワイン)をいただきました。「何名様ですか?」と聞かれ、あやが間違えて「4人です」と答えてしまい、水が4つ来たのですが、タカテツさんが「この水はさっきのハクビシンの分ですね」とフォローを入れておりました。本当にさっきの謎の生き物が同行していた可能性も捨て切れませんが。白いシャツに明るいイエローのカーディガンを羽織り紅茶を嗜むタカテツさんの姿がOLさんの昼休みの様相で、そういえば1月のライブの時に「OLさんみたいな生活がしたい」という発言をしていたな、あれはタカテツさん流のボケなのかなと思ったのですが、どうやら本気なのだなと悟った我々です。
その後お土産にお菓子など買い(チョイスがOL!)、また結構な距離を歩いて浄妙寺というお寺に行きまして。ここがあまり観光客が来ない穴場なのです。庭の花や寺の佇まいを愛でながら散歩し情緒を楽しむ我々。「う〜む、良いですねえ。決まった!」と喜ぶタカテツさん。この境内には枯山水を眺めながら抹茶を楽しめる茶屋があり。ここがまた風情があるのです。先客は高校生くらいの地味で大人しそうな女子3人組のみで、空いていて快適なのです。ここでは長い竹筒に耳を当てると井戸の水が滴る音が聞こえるという粋なアトラクションがあり、早速耳を傾ける我々です。「わー、水の音が聞こえる〜」と小さくはしゃぐタカテツさん。その後美味しい生和菓子と抹茶をいただくタカテツさん。その様子を写真に撮ったらオズマガジンの旅特集の如きOL感溢れる仕上がりでございました。店内にいた地味女子3人にあやが「写真撮りましょうか?」とスリーショットを撮ってあげると向こうさんも「撮りましょうか?」と申し出てくれて。「いいんですか〜」とこちらもスリーショットを撮ってもらいました。こんな交流も嬉しいものです。「ありがとうございました!」と大きな声で女子たちにお礼を言うタカテツさん。OLみたいな細身の青年が孤高の音楽家であることを彼女らは知る由もないのでしょう。
その後竹林が有名な近くのお寺にも足を運んだのですが、こちらはさっきとうって変わって観光客で溢れかえっており。竹林を愛でながらも「さっきの方が満足度高かったですね」「我々あっちを堪能出来て良かったですね」などと言い合い。竹林にヒョウ柄のスニーカーを置いて撮影しているEXILEもどきな輩を見かけて「ありゃないっすね!」と一刀両断なタカテツさん。侍なタカテツさんは刀が鋭いのです。ヒョウ柄のスニーカーを寺の竹林に置くような無粋な人はタカテツ侍に斬られてしまうのでお気を付け下さい。
その後もふらふらと寺を寄り道しながら、季節の花を愛でながら、写真撮影などしながら散歩をし。散歩ってこんな豊かなものなのだなとつくづく思った私です。猫を見かける度に「あ、猫だっ!」と騒ぐ我々をタカテツさんは猫クレイジーだと思ったことでしょう。散歩で猫を見かけるとテンションが上がるのです。
そしてミルクホールというレトロな内装のカフェでお茶をいただき。タカテツさんはミルク紅茶、我々はビールをいただきました。前回のライブの時にも言ったのですが、タカテツさんの柔らかな笑顔を見ていると性別を超越した菩薩のような存在に感じることがあるのです。それを言うと「それロック営業妨害だから!俺はロックのイメージで売ってるから!」と否定するのですが、いざギターを持って歌うとナイフのようにキレッキレなタカテツさんが、オフの時は菩薩の如き存在というのもギャップがあって素敵なのではないでしょうか。そもそもロック営業妨害って言葉何やねんと静かに思った私ですけどね。ろっくえいぎょうぼうがい。
そして夜は今日一日を振り返りながら美味しい魚料理など食べまして。タカテツさんは「じゃあまた!」と颯爽と去って行きました。そのうしろ姿に彼の新曲「友よ、また会おう」が大音量で流れていたのは言うまでもありません。
久しぶりに休日らしい休日を過ごしました。ギターの弦は張りっぱなしでは疲弊してしまうのです。たまに弛めるのも大事なのです。しかし我々の前に現れたあの謎の生き物の正体は一体何だったのでしょうか。また会えるのでしょうか。果たして

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