8月のランニングマン、北の国から

気が付けば8月なのです。早いのです。永遠に明けないと思っていた梅雨も明け、あっという間に猛暑に突入、「みなさんこれが夏ですよ!」とばかりに2020サマーは颯爽とやって来てどすんと居座り、蝉を鳴かせ気温をぐんぐん上げアイスクリームやビールの売上げを伸ばしているのです。この勢いたるや。しかし今年は花火大会も夏祭りも盆踊りもないし、そもそも大人数が集まれないという特殊な状況、ただただ猛暑の中を滝のような汗をかいて日々を過ごしています。いかがお過ごしなのでしょう、みなさまにおかれましては。

7月から始めたランニングですが、三日坊主にならず毎日続けており、すっかり習慣となりました。朝の海はサーファーや犬の散歩の人や海水浴の人などちらほらいますが、海の家もないし、例年に比べたら静かなものです。あやは海に足を浸けながら歩いているだけですが、私は浜辺をただただストイックに走っています。波の音を聞きながらひたすら走っていると「頑張ってる俺」というオーラをまとえるので気分が上がるのです。デパートに行っても「頑張ってる俺」というオーラは売っていないので、こうして自力で得ないといけないのです。日差しが強くなるときついので、最近は朝5時に起床し暑さが控えめな時間帯に走るようにしています。海辺を走るために朝5時に起きる健康的な生活になるとは思いも寄りませんでした。コロナ禍で良かったことのひとつかもしれません。

海辺をランした後は家に帰る途中にある自動販売機で水を買って飲むのですが、よくよく販売機を見ると個性的な飲み物が結構あり。「え、ナタデココ入り炭酸グレープジュースて何?」とか「この迷彩柄にスポーツカーに美女のパッケージの栄養ドリンクってどんな味なん?」とか「ネクターってまだこのデザインで売ってるんだ?」とか発見があって面白いのです。毎日気になった物を買って飲んでいるのですが、まさか販売機がこんなエンターテイメントになるとは思いも寄りませんでした。ネクターのピーチ味なんて飲んだの30年振りとかじゃないかしら。レモンスカッシュを飲んだ感想が「アルコールのない檸檬堂みたいで美味い」だし、ド派手な栄養ドリンクは「ほぼオロナミンCと同じ味」だし、「めっちゃケミカルな味だな!」「駄菓子ドリンクだな!」とか言いたい放題言いながら販売機ドリンクをあれこれエンジョイしています。夏限定クリームソーダを飲んだ時は夏の入道雲と蝉の声と相まって「ああ、これ夏の味だなあ」と何だかノスタルジックな気分になりました。汗だくで海から帰る道で飲んだクリームソーダ。コロナ禍の夏の思い出が販売機の飲み物で彩られて行くのです。それもまあ一興なのかもしれません。
あと習慣といえばここ最近は毎日ドラマ「北の国から」をFODで見返しています。テレビレギュラーシリーズから特番シリーズまでかなりのボリュームなのですが、毎日黒板家の物語に「純、そりゃないよ〜」とか「草太兄ちゃんデリカシーないな〜」とかツッコミを入れながらも泣きながら見ています。当時ビデオで何回も繰り返し見ていたのでだいたいのシーンは覚えていたのですが、忘れている箇所も多く、「こんな繊細な演出が成されていたんだなあ」とか感心しながら見ています。おそらく今の私は父親の五郎と同じくらいの年齢だと思うのですが、五郎に全然感情移入出来ないのは田中邦衛に貫禄がありすぎるからでしょうか。号泣必至の「蛍がお母さんの乗ってる電車を追いかけて手を振るシーン」や、個人的ベストの「純と蛍が靴屋に古いスニーカーを探しに行きお巡りさんに注意されるも事情を話したら一緒に探してくれたシーン」などにさめざめと泣いている2020サマーです。しかし登場人物がこれほど煙草を吸うドラマも珍しいのではないでしょうか。煙草の演出に時代を感じました。昔はたくさんの大人が煙草を吸っていた気がします。子供の頃に感じた大人が集う時の煙の匂いを思い出しました。「子供がまだ食べてる途中でしょうが!」や「誠意って何かね」などの名台詞も久々に聞きました。当時とんねるずがパロディをやっていた印象が強いのですが、自分のなかでは昭和という時代がこのドラマに詰まっているような印象です。「北の国から」をきっかけに己の昭和に想いを馳せている夏です。
GO TOで旅行を推奨しつつ金にならない帰省は自粛しろという。オリンピックをまだやるつもりの昭和のおじさんたちはこの猛暑と感染拡大を押さえられていない現実を見て何を思うのでしょうか。見たいものしか見ていないのでしょうか。捨てられた資材だけで家を建て、およそ経済活動から外れた生活をしている五郎の姿を見て何だか考えさせられるものがありました。

昭和の夏とも平成の夏とも違う、これまでにない令和の夏を毎朝海辺を走りながら過ごしています。拝啓けいこちゃん、猫たちは元気です。

f:id:fishingwithjohn:20200817143014j:image
f:id:fishingwithjohn:20200817142957j:image
f:id:fishingwithjohn:20200817142942j:image
f:id:fishingwithjohn:20200817142921j:image
f:id:fishingwithjohn:20200817143028j:image

アオハル探偵物語

先日の早朝、ゴミを出そうと家を出たら数メートル先の河村さん(仮名)のお宅の前に見知らぬ車が止まっており。果て、こんな朝早くに誰が訪ねて来たのだろうと思って後ろから見ていると運転席から煙がぷかぷかと出ているのです。運転手が煙草を吸っているのです。夏の朝の爽やかな空気を台無しにするようで「やれやれ誰だよ煙草吸ってるのは〜」と少しいらつきながら車を追い越しゴミを捨てて。踵を返して戻ろうとするとその車がこちらに向かって来るのです。運転席には若い男の子がひとり乗っており、これから帰るところなのでしょうか。その車を横目に見送り河村さんのお宅の前をふと見ると、ひとりの女の子が一心不乱に手を振ってるのです。先ほどすれ違った車に向かってバイバイをしているようなのです。その女の子は河村さんの娘さん(多分大学生くらい)で、おそらく自宅まで男の子の車で送ってもらったのでしょう。ゴミ捨てを終えて戻って来る私のことなど眼中になく、その先の車を見送りながら懸命に手を振るその姿はまさに恋する女の子のキラキラに満ちており。「ははーんこれは彼氏に自宅まで送ってもらっての朝帰りだな!」と恋愛探偵五十嵐はピンと来たのですが、いかんせん寝起きでよれよれのトレーナーを着た小汚いご近所のおじさん状態の私です。朝からふいにアオハルな光景を目にして面食らってしまい、娘さんとすれ違い様に「お、お、お、おはようございます!」とDJのスクラッチのような不審者然とした挨拶をしてしまったのですが、その娘さんが素晴らしいのは近所の小汚いおじさんa.k.a恋愛探偵五十嵐に朝帰りを目撃されたのに、堂々と彼氏の車が見えなくなるまで手を振り続けていたことなのです。その姿を見ながら私は「嗚呼、彼女は本当にあの彼のことが大好きなのだなあ」と朝から感動してしまったのでした。女の子が好きな彼氏を見送る姿ほど美しいものがあるでしょうか。しかもキラキラと輝く夏の朝に。

夏の夜のストーリーをふたりで作りあげた帰り道の朝。彼女の自宅前に車を止めて「昨夜は楽しかったね」などと思い出を語る彼氏。助手席にはまだシートベルトを外したくない、名残惜しい気持ちの彼女。運転席でおもむろに煙草を吸う彼。昨夜からの特別な空気をまだ味わっていたいという気持ちから煙をくゆらせたのでしょうか。夏の朝の空気に消えて行く煙。魔法のようなふたりの物語は永遠だよね、インスタのストーリーのように一日で消えたりしないよね、と切ない想いの彼女。彼氏は「じゃあ俺、バイトがあるから帰るね」とエンジンを入れ、彼女は車から降りて「気を付けてね!」と別れを告げるのです。恋するふたりのキラキラでサイダーのように弾ける朝の空気。彼氏の車が去って行く後ろ姿に向かって「じゃあね〜!」と手を振る彼女。手がちぎれんばかりに一生懸命に手を振り、この気持ちって本当(リアル)だよね、と問う彼女。その横をよれよれのトレーナーを着た寝起きの小汚い近所のおじさん(a.k.a私)が通り過ぎて台無しにしてしまったのです。今なら言えるのですが。その気持ち本当(リアル)だよと!
私だったらご近所さんに朝帰りを目撃されたらバツが悪いので、「じゃ!またラインするから!」とそそくさと下車して、もし小汚い近所のおじさんとすれ違ったら「おはようございます…」と人間に感知されぬレベルの周波数の小さな声でささやき、忍びの者の如く去ってしまうだろうと思ったのですが、彼女は車が見えなくなるまで堂々と手を振っていたのです。もうおじさん泣きそうです。キラキラに押しつぶされて。
最近FODにてドラマ「北の国から」を見直している私なのですが、運転席で煙草をくゆらせる彼氏とか、見えなくなるまで手を振る彼女とかの描写がリアルに「北の国から」の演出のように思え、本当(リアル)の恋愛ってこんなドラマチックなのだなあと感心してしまった次第です。

ご近所さんa.k.a恋愛探偵五十嵐としては今後も河村さん(仮名)の娘さんの恋愛事情を注視して行く所存です。コロナ禍で会えなかった恋人たちには辛い時期だったことでしょう。手を振って見送る彼女たちに幸あれと祈るばかりです。そんな7月の終わりです。f:id:fishingwithjohn:20200727211331j:image
f:id:fishingwithjohn:20200727211316j:image
f:id:fishingwithjohn:20200727211233j:image
f:id:fishingwithjohn:20200727211256j:image

7月のランニングマン

気が付けば7月も半ばを過ぎてしまいました。夏祭りも花火大会も海開きもない特殊な夏ですが、蝉だけは今年も律儀に鳴くのだなと思いながら日々過ごしている私です。蝉も「あれ、今年は何か変だな?」とか気付くのでしょうか。人のいない空間をうずめる蝉の大合唱。短い命を燃やす夏のサウンド。熱波はコロナウイルスを殺すでもなくただただ街の温度を上げて人の気力を奪うのです。新しい夏の到来です。

私はというとこのステイホーム期間に於いてすっかり体重が増え、運動不足極まりない状態になってしまったので思い立ってランニングを始めました。冷やし中華始めましたのテンションで。まずは形から入らないと動くことはなかろうとあやと一緒にウェアとシューズを買いに行き。アシックスだアディダスだナイキだニューバランスだとあちこち見てはあちこちで買い揃えました。スポーツ用品を買うのは何年振りでしょうか。膝をサポートするお高いスパッツみたいなやつもえーい!とばかりに買ったのでもう後戻りは出来ないのです。もう私はランニングマンなのです。
そして私の朝の習慣に「海まで走る」という素敵ぽい項目が加わりました。まるで意識高い系の人のモーニングルーティーンのようではありませんか。「毎朝仕事前にランしてひと汗かいてますねえ〜」とかインタビューで語ってしまいそうな勢いです。誰が何のためにするインタビューかわかりませんが。早速初日に「意識!」「高い!」とお互い部活の如き声掛けをしながらあやと走り出したのですが、走るのに慣れないあやは早々と脱落し「私のことはいいから先に行って!」と窮地に於いてあえて犠牲になり主人公に先へ進むよう促すキャラの台詞みたいなことを言うので、「わ、わかった!」と先に走り海岸を駆けたのですが、中学時代の部活を思い出しましたね。こんな感じで毎日走ってたなと。その後あやもウォーキングで海岸まで追いつき、ふたり朝からサーファーで賑わう海を眺めつつランしたのですが、良いものだなと思いました、運動は。その後急激に全身が筋肉痛に襲われましたけどね。私の筋肉も「あ、俺って筋肉だったわ!」と自分の存在を思い出したのでしょう。

私の時代は運動中は水を飲んじゃいけない世代だったので、当時は喉をからからにして走ってたなあ、あの頃の喉の乾きを潤して返して欲しいわ〜などと思いながらランニング中に水をぐびぐびと飲んでいるのですが、中学時代の喉の渇きを40過ぎてから潤しているようで不思議な気持ちになりました。あの頃の俺、30年後にその喉の乾きは潤されるぞと。コロナを機に始めたラジオ体操も毎日続けているし、運動不足を何とか解消出来ればと思っているところです。
東京の感染者が増え続け、やれ国のせいだ都のせいだと菅ちゃんと百合子ちゃんが責任をなすり合い、安倍ちゃんは明らかに時期尚早なGO TOキャンペーンを始めるなどと言い、東京は除外だ、批判されたらキャンセル分は補償だなどと迷走をこじらせている様相ですが、そんな中政局を読んで麻生ちゃんは政治資金パーティーでフェス並みに人を集めてたりしていて、もう馬鹿を通り越して何だかわからなくなっていますね。「私のことはいいから先に行って!」と己を顧みず世界を救う者はこの国にはいないのでしょうか。嘘のない正義や優しさ。私はそんな色を塗りたく思うのです。この世界に。
この夏は果たしてどんな夏になるのでしょうか。海の家が建たない閑散とした海岸をランしながら思う7月の後半です。

f:id:fishingwithjohn:20200721215455j:image

f:id:fishingwithjohn:20200721172430j:image
f:id:fishingwithjohn:20200721172409j:image

 

山田稔明with夜の科学オーケストラ配信ライブ 光の葡萄でつかまえて

先日行われた恵比寿天窓Switchでの山田稔明with夜の科学オーケストラの無観客配信ライブ「夜の科学vol.59〜光の葡萄でつかまえて」ですが、無事終了しました。たくさんのご視聴をありがとうございました。ネットの向こう側にたくさんのお客さんの笑顔と歓声が見えました。

年末以来となるスウィッチでしたが、久々に再会したスタッフのみなさん変わらず元気でちょっと安心しましたね。会場に着くとすでにカメラとモニターのPCが客席中央に置かれており、配信てこうやるのか〜とメンバーみんな機材を触ったり配線を確認したり興味津々でした。スウィッチさんのシステムで画期的なのは舞台横の大きなスクリーンにお客さんのコメントが映り続けるということでしょう。演者はリアルタイムで流れて来るお客さんのコメントを読みながら演奏が出来るのです。「コメントに気を取られて歌詞が飛ぶ人も結構いますよ」とスタッフさんが笑いながら話していましたが、さもありなんと思った次第です。
今回普通のライブと同じ時間に会場入りして同じようにリハーサルをしたのですが、目の前にはいないけどネットの先にお客さんがいるという不思議な緊張感がありました。特に私はタカテツさんから「五十嵐さん、今日のライブ見てますよ」というメッセージをもらっていたので、終始謎のタカテツ緊張に包まれておりました。リハ時に近藤さんのガットギターの弦が弾いてもいないのに切れていたので、近藤ギターにも私のタカテツ緊張が移ったのでしょうか。まあ心地良い緊張でしたけどね、タカテツ緊張。

ディスタンスを取りつつのリハーサル、当日山田氏から全員にフェイスガードが配布されたのですが、全員装着して演奏する様はどこぞのニューウェーブ系のアーティストみたいでした。さみしいだろうと事前に拍手を仕込んで来た山田氏ですが、思ったように再生されなかったので、その場で全員で拍手を録音し直するというくだりがありました。当日流れていた拍手はメンバー全員による自前の拍手だったのです。物販の準備もないし、客席を片付けなくて済むので、その分は気が楽でしたね。今回美味しい長男堂さんのお弁当を用意してもらったので、リハ後に客席で食べてそのまま本番直前までくつろいでおりました。近藤さんだけなぜか律儀に楽屋で待機してましたけどね。
今回は物販で売る予定のTシャツを衣装として配布されたのですが、私の指定カラーがmolnぽい水色で良い感じでした。廃棄予定の食材で染められたというこのTシャツ、私のカラーは赤カブだそうで、赤カブからこんな綺麗な水色に染まるのだなあと不思議な感じでしたね。他のメンバーのカラーも綺麗でした。こういう着心地良いシャツで夏を過ごしたら気分もあがることでしょう。
そんな心地良きシャツを着て本番を迎えまして。いざ始まると久々のバンド演奏、楽しかったですね。お客さんのコメントもどんどん流れて来て。山田氏の足元にiPadが置かれ、そこに配信の様子が映っていたので、こういう感じに映ってるのかーとか、リアルとは少しタイムラグがあるんだなーとか思いながら見ていました。演奏中は譜面を凝視していたので、コメントは合間にしか見られなかったですが、拍手とか歓声が文字で見える感覚は新鮮でしたし、嬉しかったですね。リアルタイムでお客さんの感想が可視化されるという。私だけにはタカテツさんのエアコメントが見えましたけどね。「五十嵐さん見てますよ、フフフ」というメッセージが。近藤さんのお茶目発言にみんながツッコミを入れる様子とか、これお家でお酒など飲みながら見ている人はさぞかし楽しいだろうなと思いました。
去年末のライブ中にステージから一瞬安宅さんが消えた事件の種明かしもようやくされて。ライブ当日の朝に救急車で運ばれるという結構なハプニングエピソードを7ヶ月も眠らせていた山田氏も山田氏ですが、みなさん驚かれたのではないでしょうか。安宅さんのプロ魂が7ヶ月後に配信で明かされるという。その後イトケンさんは両足骨折だし、真里さんも足を骨折、近藤さんも五十肩だし、「何もないの五十嵐くんだけだね」という何もないいじりがありましたが、ぬぼーと生きていると病気にならないのでしょうか。
新曲「風合い」も「小箱のなかの音楽」も楽しく演奏出来ました。この日はポチの誕生日だったので「ポチの子守唄」も久々に。「SING A SONG」のハンドクラップのくだりもネットの向こうでお客さんが手を鳴らす様子が見えました。ハンドクラップい〜かいっ!でパチンと世界が繋がるだなんて。

お客さんが目の前にいないけど目に見える配信ライブ、今後はこれが定番になって行くのだなと新しい青の時代が見えた感覚がありました。配信終了後に物販をオンラインで開始という流れもスムーズで。これを見た人はみな着心地良いTシャツを買ってこの夏を過ごすのでしょう。終演後にお客さんと会話が出来ないさみしさはありましたが、やり切った感はありました。こんなタフなライブをやった次の日にゴメスの配信ライブをやるという山田氏のタフネスに感心した次第です。

終演後にはタカテツさんからリアルな「お疲れさま」というラインが来ました。私にはエアコメントが見えてましたぜ、と思いながら恵比寿を後にした私です。見てくださった方々、本当にありがとうございました。
年末にはお客さんとリアルに再会出来るのでしょうか。わからないですが、この新しい形でもライブが出来るのだなと希望を持った夜でした。光の葡萄でつかまえて。f:id:fishingwithjohn:20200713122526j:image
f:id:fishingwithjohn:20200713122523j:image
f:id:fishingwithjohn:20200713122538j:image
f:id:fishingwithjohn:20200713122534j:image
f:id:fishingwithjohn:20200713122530j:image

プレミアムでチョコレートな合奏

気が付けば7月になってしまいました。早いものです。徐々に戻りつつある社会の動きに戸惑いつつもそれなりに対応しつつ、まだ本腰入れられぬもどかしさも感じながら6月を駆け抜けましたが、いよいよ2020年の下半期を迎えるに至ったのです。なかなかライブも再開出来ない状況ですが、この度山田稔明with夜の科学オーケストラで無観客配信ライブを行うことになりました。早くからインスタ配信、ツイキャス有料配信で自宅からリモートでライブを届けていた山田氏ですが、今回はいつもお世話になっている恵比寿天窓スウィッチからバンド編成での演奏をお届けするとのこと。カメラ4台での撮影とのことで、すっかり人と会わぬ油断フェイスに慣れ切った私は大丈夫なのか、ぬぼーとした表情を晒すのではないかと心配したのですが、まあほぼ山田氏がメインで映るし大丈夫ではないかと踏んでいる私です。私のぬぼーフェイスを映すではないぞと事前にカメラに言っておくので、ぬぼーフェイスが晒されたらカメラの悪戯とお思い下さい。
先日リハーサルで久々に電車に乗って吉祥寺へ赴き、久々にメンバーに会ったのですが、みんなマスクをしているという点を除けば変わらない佇まいで、久々の合奏を楽しみました。バンドで集まって音を出すって楽しいんだなあと素直に思った次第です。連日のリハで疲れているはずの山田氏もバンド演奏が楽しいのかとても乗っており声が出ておりました。コロナ中に両足骨折したイトケンさんも軽快なビートを鳴らしておりました。イトケンさんの生々しい傷跡も見せてもらったのですが、まだリハビリが必要な状態だそうで、そんな状態でここまで叩けるドラマー精神に感動を覚えた次第です。聞けば真里さんも骨折していたそうで、みんなコロナ期間に色々あったのだなとあれこれ報告を聞き合う感じになりました。(私だけがぬぼーと過ごしていたようなものです。)
近藤さんが差し入れで持って来てくれたプレミアムちんすこうチョコレートなるお菓子をみんなで食べながら「美味い、これはプレミアムだ」「これは全然ちんすこうじゃないね」「銀紙に包まれたチョコで昔こんな味のあったよね」「あーありましたね」とプレミアムちんすこうチョコレートトークに花を咲かせたのですが、こういう雑談もしばらくなかったなあと想いを馳せました。雑談が出来る素晴らしさよ。当日はみなプレミアムちんすこうチョコレートをつまみながらリハをしたのだなと思いながら見ていただきたく。プレミアムでちんすこうなチョコレートなサウンド
事前に山田氏から届けられた新曲も良い感じに仕上がりました。しばらく会ってない友人から届いた手紙のような曲なので、みなさんも手紙を開けて読むような感じでうきうき出来るかと思います。光の葡萄でつかまえて。当日はみんな離れた場所にいますが、近い距離で聴いていただけたらと思います。

7月4日(土)恵比寿天窓switch
夜の科学 vol.59ー光の葡萄でつかまえて
出演:山田稔明 with 夜の科学オーケストラ
[ 山田稔明、itoken、安宅浩司、五十嵐祐輔、佐々木真里、近藤研二 ]
19:00配信開始 19:30開演/料金3,000円

恵比寿天窓.switch
https: / / ja. twitcastin g. tv/ ebisu_ switch

f:id:fishingwithjohn:20200703190748j:image
f:id:fishingwithjohn:20200703190722j:image

くちびるアラート、6月の赤

6月も後半に差し掛かり、越境移動も解禁されいよいよ街にもたくさんの人の行き来が見られるようになりました。マスクをしている者、マスクをアゴにかけている者(飛沫がアゴから出る特殊能力の持ち主かと毎回ツッコミたくなりますが)、マスクをせずに闊歩する者、様々ですがこのままだと第二波も必至かもなあと観光客で賑わう鎌倉の様子を見ながらぼんやり思ったりしています。経済を回さないと生きて行けぬので社会が通常モードに戻るのは歓迎でありつつも、どこかまだ違和感を拭えぬ己がいます。東京アラート解除後に感染者数も増加していますしね。そもそも都庁とレインボーブリッジを赤く灯して東京アラートって何やねんそれという話ですけどね。それっぽい名前付けりゃ良いってものではないでしょうに。こちとらそもそも売り上げ減って赤字だし、泣いて腫らした目は真っ赤だし、自身の身体に流れる赤い血潮をたぎらせながら必死に生き抜き決死の思いで日々赤い夕陽の到来を迎えているのです。私アラートは赤く発動しっぱなしなのです。女帝のアピールで赤く光らせてくれなくても充分赤いのです。「自粛要請するなら補償せよ」と赤いルージュの伝言を残したいくらいです。緩和は歓迎だけど本当に緩和して大丈夫なのかと懐疑的でもある微妙な心持ちのままです。

それにしてもアベノマスクを着用している者を街で一切見かけないという不思議さです。全世帯に配ってこれだけ世の中で目撃されないなんてことあるのでしょうか。部屋の片隅にそっと放置された無用の極みたるアベノマスクという名の我々の税金。その税金を他の用途に使えばもっとコロナ禍対策に役立てたのではと思いながら未開封のアベノマスクにホコリが被るのを見ている私です。ご本人は一応ホコリを持って配布したのでしょうけどね。
ところで赤いルージュといえばマスク着用が当たり前の昨今、口紅の売上げが不振というニュースを目にしました。確かに口周りは隠れて見えないから塗っても無駄だし、塗ったところでマスクに付着しますしね。でも逆にいざという時の勝負として口紅の価値が上がりそうな気もしますけどね。心を許す者だけに開放される口許。そこにしっとりと塗られた真紅のルージュ。このくちびるアラートを消せるのは貴方だけよと耳元で囁かれてくちびるへの接触を抗えぬ者がいるでしょうか。マスクの下に赤いくちびるを隠し持つレディが伝家の宝刀を抜く時。きっと恋のアラートが鳴り響くのでしょう。
そういえばたまに来るお客さんで片方の耳が聞こえにくい女性がいて、なるべく大きな声で接客するようにしていたのですが、先日なかなか言葉が伝わらない場面があり。その時はマスクをしていたのでひょっとしてと思いマスクを外して会話したらスムーズに通じるようになりました。その方は相手のくちびるを見ながら話を理解していたのですね。よく手話を使う方も手の動きと同時にくちびるの動きを読みながら理解すると聞きますが。マスクをしていると読唇術を使えないという弊害があることに気付きました。我々は言葉だけでなく顔の表情や口の動きでコミュニケーションを取っているのですね。目は口ほどに物を言うとは言いますが、口許も言葉ほどにメッセージを伝えているのです。
先日長らく自粛していた外食も久々に解禁し、知り合いと馴染みの店でワインなど飲んだのですが、お店で酒を飲み食事をして人と会話することがこんなにも豊かな時間なのかとはっとさせられました。我々が自粛をしている間に閉めてしまった飲食店もたくさんあることでしょう。なるべく無理のない範囲で行くようにしようと思った次第です。マスクのないコミュニケーションは心の距離を近づけるのです。

戻ったようで戻っていない、これまでと違う世界に生きている自分らを改めて実感している6月です。そして口許に意思を持って発信しなければ。我々の税金が勝手に企業に中抜きされたり権力者に私物化されたりしては堪りません。顔を真っ赤にして怒るべきなのです。ミル坊ココ坊を撫でながら赤ワインを飲みつつ思う私です。f:id:fishingwithjohn:20200623093556j:image
f:id:fishingwithjohn:20200623093514j:image
f:id:fishingwithjohn:20200623093455j:image
f:id:fishingwithjohn:20200623093529j:image

世界一小さな王国、レプラコーンと猫と

違和感を伴いながらも日常が戻りつつあるこの頃ですが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。正確には以前と同じではなく「新しい日常」なんでしょうが。先日2ヶ月半振りに電車に乗り、4ヶ月振りに散髪したのですが、普通に電車は混んでいるし、みんな街を出歩いて社会が回っている様子に面食らった次第です。4ヶ月も切らなかった髪の毛は塊となって床に落ち、それはまるで1匹の独立したけもののようであり、コロナが生んだ新しい生き物のように見えたのですが、緊急事態宣言解除を機にそこかしこで髪の毛残骸クリーチャーが増えていることでしょう。そこそこ混んでいる電車に乗りながら、通勤の方は毎日満員電車で大丈夫なのかしらと心配になった次第です。夜の街ばかり攻撃されていますが、昼の電車に乗った人が夜の街に繰り出すのではないのでしょうか。みんな自宅から夜の街へ瞬間テレポートされるわけでもないのに。
日頃からミル坊とココ坊のことを書く機会が多いのですが「ミル」とタイプすると必ず「・エンズ公園」と予測変換が出て、我がアイフォーンはなぜに毎回その公園を推すのかと興味を持って「ミル・エンズ公園」で調べてみたらアメリカはオレゴン州ポートランドに実在する公園でした。直径約60.96センチメートル(2フィート)の円形で、ギネスブックによって「世界一小さな公園」に認定されているのだそうです。もともと街灯の台座として作られたけど実際には街灯は立てられず、街灯を埋め込む穴だけが残され、その穴に『オレゴン・ジャーナル』誌のジャーナリストだったディック・フェイガンが花を植えたのが公園の始まりなのだそう。フェイガンが『オレゴン・ジャーナル』誌で担当していたコラムの題名にちなみ、公園は「ミル・エンズ」(Mill Ends、「必要素材の切れ端、端材」の意)と名付けられたとのこと。
ある時フェイガンがオフィスの窓から外を眺めていると、台座の穴の中をせっせと掘るレプラコーン(アイルランドに伝わる妖精)が目に付き、彼は慌てて下りて行きそのレプラコーンを捕まえた。(レプラコーンを捕まえると願いが叶うとの言われがあるため)。フェイガンは自分だけの公園が欲しい、とレプラコーンに願った。しかし自分の望む公園の大きさについては何も伝えなかったため、レプラコーンはこの小さな穴を公園としてフェイガンに与えたのだ、と。これ以降約20年間にわたり、フェイガンの風変わりなコラムにはたびたびこの「公園」とレプラコーンの親方(「パトリック・オトゥール」と名付けられた)が登場することとなる。(以上、ウィキペディアより抜粋)。

妖精から与えられた世界一小さな公園の名前と猫の名前が被り、予測変換に毎回名前が出て来るだなんて何かの縁かもしれないと思い、公園の花の画像などをあれこれ見ていたら実際にこの公園を訪ねてみたくなりました。この公園はその後移設されたものの現存するとのこと。世界一小さな公園を訪ねる旅だなんて素敵だなあと思うのですが、コロナ以降、いつ旅に出れるのかもわかりません。取りあえずリモートで公園に想いを馳せながらミル坊を撫でています。思えば家猫は家の中だけが世界なので、みんな世界一小さな王国で過ごしているようなものだなと思ったりします。世界中の猫たちが小さな王国で幸せに過ごしてくれることが私の願いです。レプラコーンがいたらそう伝えることでしょう。

日本では妖精が公園を与えてくれるどころか、要請要請ばかりで10万円もなかなか与えてくれません。ここは電通パソナの王国なのかと見紛うばかり。世界一小さな王国こと自宅で猫たちを撫でながら細々と暮らしています。そんな6月です。

f:id:fishingwithjohn:20200615092232j:image
f:id:fishingwithjohn:20200615092219j:image
f:id:fishingwithjohn:20200615092531j:image

f:id:fishingwithjohn:20200615092248j:image

ここがミル・エンズ公園です。