「14.8℃カマクラ」高橋徹也さんからのコメント

2021年になりました。本年もよろしくお願い申し上げます。

2020年の暮れにリリースしたfishing with johnの新譜「14.8℃カマクラ」ですが、おかげさまでポツポツと売れており、CDに添えている私のサインも板に付いて来ました。前は「五十嵐祐輔」と役所で書類に名前を記入するかのようなサインだったのを、fwjのwを猫の耳に見立てたサインをあやに考案してもらい、それをサラサラと書いています。いつなんどきサインを頼まれてもサラサラです。どんとこいです。なかなかライブもし辛い状況ですが、2021年はこのアルバムをじっくり売って行こうと思っております。
アルバムに向けて色々コメントをいただいているのですが、尊敬する音楽家であり友人でもある高橋徹也さんにもコメントをいただきました。
コメント内で触れていただいた「草原ヘッドフォン」という曲はインストが並ぶ中、唯一言葉のある曲で、2012年にOTOTOYからリリースされた被災地支援チャリティーアルバム「Play for Japan 2012 vol.4」に収録されたので、そちらで耳にされた方もいらっしゃるかもしれません。ライブでも頻繁に演奏して来た曲です。
古い曲なので今回アルバムに収録するか迷ったのですが、久々に聞き返してみたら1周して新鮮に思え、「この青臭さもアリだな」と収録に至りました。タカテツさんが引用してくれた箇所は私も気に入っているフレーズで、そのチョイスに流石だなと思った次第です。

タカテツさんはちょいちょい「このレコード、五十嵐さんぽくないですか」とか「このアーティスト、五十嵐さんの音楽に通ずるものを感じました」とラインを送ってくれるのですが、実際私が愛聴しているレコードだったり、好きなアーティストだったりして、「流石タカテツさんだなあ」と毎回感心してしまいます。そしていつも良いレコードを紹介してくれるリスナー及びハンターとしても信頼出来る人です。(タカテツさんが紹介しているレコードを買うと間違いないので、音楽好きな方は彼のツイッターを追うことをおすすめします。)
タカテツさんはツイッターでもアルバムを紹介してくれて、「前作で感じた都市や郊外のワンシーンは鎌倉という舞台を得てより大きなスクリーンへと昇華していったように思う。基本温厚な人柄の五十嵐さんが時折見せる強さみたいなものも大好きです。」と嬉しいお言葉を添えていただきました。
去年タカテツさんに出演していただく予定だったmoln10周年記念ライブも延期になったままです。可能であれば今年こそ実現させたいと思っております。高橋徹也さん、ありがとうございました!

 

 

『14.8℃カマクラ』に寄せて

 


住んでいる場所や街が、音楽に与える影響って何だろうか。fis hing with johnこと五十嵐祐輔の新しいアルバム『14.8℃カマクラ』 を聴きながらふとそんなことを考えていた。

 


本アルバムの主役、五十嵐祐輔くんとは、2013年頃、 とあるライブ・イベントでの共演をきっかけに親しくしなり、 現在も僕にとって大切な友人で音楽家だ。 それは同時に彼の住む街、鎌倉との関係の始まりでもあり、 夏の終わりのバーベキュー、お寺巡り、焼き鳥ミーティングなど、 良い思い出ばかりがいくつも頭に浮かんでくる。

 


2020年は誰にとってもある意味不自由で特殊な時間になったと 思うけれど、 その分余計に身の回りの小さな変化や発見も多かったのではないだ ろうか。この『14.8℃カマクラ』に収録された11篇のインス トゥルメンタル・トラック(ポエトリー・リーディング)からも、 そんな日常の息遣いが静かに聞こえてくるようだ。

 

 

 

自転車ボーイが僕らに挨拶

挨拶という字も読めるけど書けない

でも僕ら毎日こんにちはとかさようならって言ってるよね

 


「草原ヘッドフォン」歌詞より

 

 

 

今日も僕の住む街で、そして世界のどこかで、 自転車に乗った少年とすれ違ったならば、 そっと笑って挨拶してみよう。こんにちは、さようなら。 きっとまた優しいアルペジオ・ギターのリフレインが、 新しい一日のファーストシーンに連れて行ってくれるはずだから。

 


アルバム発売おめでとう。

 

 

 

高橋徹也(音楽家

 

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「14.8℃カマクラ」古川誠さんからのコメント

fishing with johnの新譜「14.8℃カマクラ」が発売になり、「毎日聴いています」とか「とても心地良いです」とか色々感想をいただいております。インストなので歌ものと違って歌詞を考察するとか、一緒に口ずさむとかのアプローチが出来ない分、どう聴いて良いのか迷う方もいるかもしれないですが、何も考えず聴いていただければと思います。作業中のBGMとして何となく耳にして心地良いとか、街歩きのBGMとして普段見ている景色が少し変わるとか、そんな感じで日々に鳴らしてもらえたらと思います。もちろんヘッドフォンをして繊細な音の構築をディープに楽しんでいただいても良いですし。

今回アルバムに向けて元オズマガジン編集長、現メトロミニッツ編集長の古川誠さんにコメントを寄せていただきました。私に近しい人の中で最も美しい文章を書く人が古川さんで、編集者としての鋭い視点に加え、自身も小説家として本を出版されたり、ブランドを立ち上げTシャツを販売する表現者としても豊かな才能を発揮されている古川さんにぜひアルバムに向けて言葉をいただけたらと思いお願いしました。旅先で何度も聴いてくれたという古川さんの美しい言葉に、このアルバムを作って本当に良かったと報われる思いがしました。言葉のないインスト音楽は聴く人の感性やイメージに頼る部分が多いのですが、古川さんの言葉にはこのアルバムを深く味わうきっかけのようなものがあるように感じます。「知らない町の誰かの日常が、色を得て動き出す。」という文末の一節はそのままこのアルバムのキャッチコピーになり得ると思いました。古川誠さん、本当に素敵な言葉をありがとうございました。

 

日本中のあちこちの知らない町を歩くのが好きです。

新幹線の車窓に流れる景色の向こうにある家々の暮らしを思うのが好きです。

月夜を歩くときに、あの人はどこかで見ているかなと思うのが好きです。

アルバムを聴くたびに、ここではないどこかのことを思いました。

1曲1曲に、世界があった。

ある町には雨が降っていて、ある路地では猫が日向ぼっこをしている、

ラーメン屋で漫画を読みながらラーメンをすする人がいて、

駅前でティッシュを配っている若者は絶望的な片思いをしている。

そうしてそれは同時並行的に、この広い世界のなかにある。

世界が多面的で多義的であること。そのシンプルなルール。

アルバムを聴きながらずっと感じていたのは、そのことでした。

それがどうしてかはぜんぜんわからないけど、

答えがあることが正しいこととはちょっと違うから、

僕はわからないまま、また1曲目に戻る。

知らない町の誰かの日常が、色を得て動き出す。

 

古川誠(編集者・小説家)

 

 

 

 

 

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「14.8℃カマクラ」山田稔明さんからのコメント

fishing with johnの11年振りの新譜「14.8℃カマクラ」がいよいよ発売になりました。このアナウンスを出来るとは本当に感無量です。永遠に世に出ないのではないかと思われましたが、出るのですね。「歩けリリー」という曲のレコーディングを2013年に行っているので、アルバム作りをそこから開始と見ると、足掛け7年かかったことになります。この7年の間に結婚したり引っ越したり独立したりラジバンダリと色々あったので余計に感慨深いです。今回は色々なアーティストとコラボしており、その辺の話はCD内に長文のライナーノーツを書いたのでそちらを読んでいただきたいのですが、こちらのブログでもちょこちょこ紹介していきたいと思います。また家にCDプレイヤーがない、物を持ちたくないという方には今後サブスク配信も予定していますので、そちらで聴いていただけたらと思います。まあ折角の可愛い猫ジャケだし、もうCDという形式でリリースするのも今回で最後かと思うので、ご祝儀代わりにコンパクトディスクを買っていただくなんてのも乙かと思います。音も断然良いですし。

アルバム発売に向けて山田稔明さんにコメントを書いていただきました。毎回彼の新譜がリリースされる度に「五十嵐くんコメントよろしくね」と恒例のように頼まれるので、「山田さんコメントよろしくね」とお願い返しました。
この間恵比寿天窓switchにて行われた山田稔明with夜の科学オーケストラのライブも会場のswitchが年内で閉店するというのもあり、とても感慨深いものになりました。思えば私がswitchでの夜の科学に参加し出したのも11年前で、この11年アルバムを出していないのに「fishing with johnの五十嵐くん」という紹介をしてもらっていたので、何とか間に合ったなと思うのと同時にこれからもうここでライブが出来ないのかという寂しさもあり、色々胸がいっぱいになりましたね。
山田氏とは「いつアルバム出るの?」みたいな話をこの11年していたのでようやく出せたという感じです。山田バンドに参加させてもらうことで音楽的モチベーションが保たれたというのもあり、アルバムは彼がいなかったら完成しなかったかもしれないです。美しい賛辞までいただき、本当に感謝しかありません。


音の錬金術職人が長い時間をかけて紡いだ音細工は例えるならばカレイドスコープのピンボール、夢とうつつ。fishing with johnから届いた「うた」を再生すると僕の意識は銀色の玉になって、乱反射するみたいにその音像のなかで右往左往、遊泳する。見たことのない景色と懐かしい風景が交互に波のように押し寄せてきて、胸の奥のひきだしにずっとしまってあった感情なんかもふわっと浮かび上がるみたいだ。走馬灯レコードだ、これは。

 


山田稔明(GOMES THE HITMAN

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fishing with john「14.8℃カマクラ」リリース決定

気が付けば11月になっており、気が付けばその11月も終わろうとしているのです。早いのです。年末になり張子業が忙しくなるのと同時にfwjの新譜にまつわるあれやこれやも進行していて、毎日ひーひー言いながら作業していたらあっという間に時が過ぎておりました。本当に声に出して「ひ〜」と言っていた瞬間も多々ありました。そしてこれからも「ひ〜」と声に出して言うのでしょう。年末です。
fwjの新譜なのですが、そんなたくさんの「ひ〜」を経てようやく完成し、12月16日に発売が決まりました。まだ作業が残っているし、現物も出来上がっていないので、何とも落ち着かない状況ではあるのですが、ひとまず目処が立ちました。いやーまさか今年出せるとは思いませんでした。コロナの影響で時間が出来たというのが一番大きいのですが。
今回のアルバムでは色々なミュージシャンとコラボしており、データのやり取りを交わしつつ曲を完成させていったのですが、10月中にはひと通り曲が揃いまして。あとは自分がミックスする曲を残すのみとなり、早朝に起きて作業し(徹夜が苦手なので作業を朝に回すのです)、何とか終えて草テンでもお世話になった上野洋さんにマスタリングをお願いして音源が完成しました。私の誕生日にデータが到着したので良きプレゼントとなりました。今回上野さんには数曲ミックスもお願いしたのですが、全部リモートで行ったので対面していないのです。コロナの状況が変わって行く中で「今回はリモートで行いましょう」と話し合ったのですが、本当ならスタジオで顔を合わせて作業したかったなというのが本音です。あれやこれや話しながら作っていく中で生まれる豊かさもありますからね。
音源が完成したら次はジャケ周りです。かくたみほさんに撮ってもらった膨大な量のミル坊ココ坊の写真の中からジャケ周りに使う素材を選ぶ作業にも時間がかかり、「これも良い」「おーこれも可愛い」「これなんか最高やん〜」と私の審査がカルピスの原液並みに甘いので、第五次審査くらい経ても候補が10数枚残っており、これは永遠にジャケ写が決まらないのではないかと危惧されたのですが、時間も迫って来て「えいっ、これだ!」とようやく決めました。結果最高のジャケ写になったと思います。ジャケ買いで1万枚くらい売れても良いのではないかと踏んでいるのですが、私の審査はやはり甘いのでしょうか。
タイトル文字はインスタで素敵な手書き文字をアップしているhoshiさん(molnのお客様なのです)にお願いしたのですが、かなり気合いを入れてくれて、わざわざ鎌倉の海を訪ねてイメージを作ってくれ、これまた結構な数の候補を書いてくれて、その中から選ぶ作業も時間がかかりました。なぜなら私の審査が孫を愛でる祖父くらい甘いせいです。しかし時間が迫っていたので「えいっ、これだ!」と決めました。結果最高のタイトルになったと思います。ちなみにタイトルの「14.8℃」はあやが昔アートディレクターのフルタヨウスケさんとコラボして出版したZINEのタイトルから借りました。「人々が春を感じ始める気温」なのだそうです。molnにまだこのZINEの在庫があるので、関連商品として売ろうという商売目線も少しあるといえばあるような気もします(笑)。
素材を揃えたあとはデザインなのですが、草テンでもお世話になったhooplineりえさんが忙しく、なかなか作業に入れないという状況で。その間に流通の方と連絡を取り合い、12月発売というスケジュールを決めたのですが、この日入稿しないとヤバいですよという前日にりえさんからデータが届き。天才デザイナーの面目躍如、最高のデザインに仕上げていただいてギリギリ間に合いました。プレスされた盤が届く日程も納品ギリギリなので綱渡りが続いている状況なのですが。裏ジャケも盤のデザインも最高に仕上げてくれて本当に感謝です。
今回CDには結構な文字数のライナーノーツを執筆したのですが、それを書くのも時間がかかり。早朝に起きてせっせと書いておりました。ぜひそちらを読んでいただけたら嬉しいです。
アルバム制作にまつわる話は尽きないので、また追ってここで書いて行くと思います。取りあえず発売が決まったというご報告です。fwj11年振りの新作です。


fishing with john
「14.8℃カマクラ」
2020年12月16日発売
 ¥2500(税抜き)


1.掌のラストシーン
2.14.8℃カマクラ
3.歩けリリー
4.マチネの庭
5.ジャングルジムで鯨釣り
6.5月は猫のもの
7.猫時計27時
8.ガール初舞踏
9.草原ヘッドフォン
10.ソワレの海
11.翠雨のファーストシーン


アコギと鍵盤ハーモニカで叙情的なメロディを奏でる、五十嵐祐輔によるソロユニット11年振りの新作。外部ミュージシャンとのコラボで織りなす、美しきささやかなる日々を謳う11曲。


Guest:
LASTorder/G.M-KAZ/aCae/itoken/pasadena

 


Produced by 五十嵐祐輔
Mastered by 上野洋


Photograph かくたみほ
Title yuko hoshi
Design 吉積里枝(hoop line)


Amazon、全国のCDショップでお買い求めいただけます。
サブスクは旧作含め近く解禁予定です。
どうぞよろしくお願いいたします!

 

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猫たちの目線、fwjジャケット撮影

気が付けば10月なのです。早いのです、時の流れは。ありがたいことにコロナの影響で落ち着いていた仕事も7月辺りから徐々に増えて忙しくなり、9月は「あれ?ひょっとして自分プチ売れっ子なんじゃない?」と思われるくらい仕事に追われ、あわあわとそれらをこなしつつ、合間に山田バンドのリハーサルや配信ライブもしつつ、fishing with johnのレコーディング作業もしつつで、馬車馬の如く働いているうちにあっという間に過ぎ去ってしまいました。そして今年もあと3ヶ月で終わりという。本当に早いのです。こんなに時の流れが早いのはきみのどーるちぇあーんどがっぱーなーの香水のせいだよ〜とか歌ってみたくなるのですが、この歌のそこの部分しか知らないし、きっと香水のせいではないのでしょう。
まだ完成していないfwjのアルバムですが、何があるかわからないご時世、先にジャケット写真とアーティスト写真を撮ってしまおうと先月カメラマンかくたみほさんに我が家に撮影に来ていただきました。fwjのファーストからサードまでかくたさんに撮影してもらっているのですが、ファーストのロケを行ったのが2003年の暮れのこと。だいぶ時が経ったけどお互い変わってないね的な感じで緩やかに撮影が始まりました。スピッツのジャケット写真で有名な彼女ですが、何と言っても名猫ジャケであるきのこ帝国の「猫とアレルギー」のジャケットを撮影した方なのです。今回猫ジャケにしたい旨を話したら「私動物の撮影が得意で、ムツゴロウならぬカクゴロウって呼ばれてるから」との力強いお返事。
撮影されるとは知らずのほほんとしていたミル坊は見知らぬ人が来た!とソファー下に隠れるも、ココ坊はかくたさんの荷物の匂いを嗅ぐなど興味津々の様子。ならばまずはココ坊から攻めるかとシャッターを切り始めるカクゴロウ先生。今回警戒されないようシャッター音がしない設定にして来たそうで、さくさくと撮影が進みます。今回カメラ目線を撮りたいと希望していたので、おもちゃや全猫が好きでお馴染みのちゅ〜るなどを餌に「ほら、ココ坊こっち向いて〜!」と視線をカメラに向かせ、背景を変えつつ何パターンか撮りました。「昼間だと黒目が小さいんだよね〜」と目の大きさにも配慮するカクゴロウ先生。流石です。その後ミル坊もようやく慣れて来たので、抱きかかえてミル坊の目線も撮影。ミル坊とココ坊どちらを表のジャケットにするのか悩むところだねと話すと「ジャニーズみたいにジャケット2種類にしたら?」とカクゴロウ先生。果たして表のジャケットはどうなるのでしょうか。
その後猫たちを抱いてのアーティスト写真も撮影し、家の中で遊んだり寛いだりする猫たちを撮影し。合間に我々もコーヒー飲んだりして休憩していたんですけどね。逃げ回るミル坊と違ってココ坊は「こんなショットはいかがかしら」とサービス良く色々なポーズをしてくれました。ついでにあやも一緒に入り家族写真も撮ってもらっちゃいました。どの写真をどこに使うかはこれから選別するのですが、良いジャケットになるのではないでしょうか。
一日中モデルをさせられて、次の日はふたりともぐったりと寝ておりました。よほど疲れたのでしょうか。fwjの11年振りとなるニューアルバム、完成間近です。


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窓の向こうのサムシングニュー

先日行われた恵比寿天窓Switchでの山田稔明with夜の科学オーケストラの無観客配信ライブ「夜の科学vol.60-窓の向こうのサムシングニュー」ですが無事終了しました。たくさんのご視聴どうもありがとうございました。7月以来の配信ライブでしたが、楽しく演奏出来ました。山田氏から「9月にも予定入れてるんだよねー」と聞かされ「へー弾き語りでやるんだー」と思ってたら、「バンド編成でやろうと思うんだよねー」「今回音源化されてないセットリストにしようと思ってるんだよねー」「実は新曲もあるんだよねー」と次々とだよねーラインが到着し。「サブタイトル何か良いのない?brand new seasonみたいな新しい区切りなんだけど」と言われたので、まさにそれは「夜の科学」の歌詞の「きっとそこにあるサムシングニュー」ではないかと返したら彼の中でピンと来たらしく、すぐに「窓の向こうのサムシングニュー」というサブタイトルが決まりました。会場の天窓にかけたタイトルです。60回目にして夜の科学の原点に立ち返ったのではないでしょうか。
リハーサルの2日前に新曲の譜面と音源が届くといういつものパターンに「だよねー」と思いながらリハーサルに臨み。今回初めて演奏する「長距離ランナー」という曲はまさにランニングを習慣にし始めた自分には何だかぐっと来るものがありましたね。音源未収録曲っていつの間にこんなに増えていたのかとセットリストを見て思いつつ、何年も長距離をランし続けて来た積み重ねがこれなのだなとこれまでの彼の道のりを振り返った次第です。
そして迎えた本番ですが、お客さんのいない会場でのライブも2回目となると慣れたもので、割と落ち着いて演奏出来ました。テレビ中継ってこんな感じなのかなと思いつつ。本番前に山田氏と近藤さんが出演するオンラインイベント「みんなイヌみんなネコ」用に演奏を収録したのですが、それこそテレビ収録みたいで楽しかったですね。テイク2を撮ったりして。2曲バンドで演奏したのですが、イベント内で放送されるそうですので、ぜひ見ていただけたらと思います。
今回もお客さんのコメントを見ながらの演奏で、感想がリアルタイムで可視化されるのって凄いシステムだよなと思いながらネットの向こうのお客さんの拍手を目で眺めておりました。やたら「近藤さん〜」と近藤さんファンの熱い声援ばかりが続き、山田氏が「近藤さんばっかりやな!」とツッコミを入れておりましたが、あまり近藤さんにばかり声援が集中して可哀想だからしょうがねえ五十嵐にもひと声入れてあげっか、みたいな優しさによる「五十嵐さ〜ん」コメントを目撃し、野に咲く花を見付けたような温かな気持ちになりました。その花摘んで帰りますありがとう、と思いながらベースを弾いておりました。「長距離ランナー」は「45歳からのヒット曲」がテーマとのことで、まさに45を過ぎてランを始めた自分にぴったりではないかと思いながらランの気持ちで演奏しました。「notebook song」や「吉祥寺ラプソディ」はツアー先の大阪でも演奏したなあ、あれ何年前だっけと回想しつつ、思えば我々は山田氏の長距離ランニングに並走してこれまで付いて来たのだなあとつい己の道のりも振り返ってしまいましたね。そしてここからまた始まるサムシングニューなのです。
今回開演が20時半からで、夕方からリハーサルして終わったのが22時でそこから片付けして、早い時は23時には寝る朝型生活をしている自分には夜更かしだよねーという感じでしたが心地良い疲れでした。メンバーと雑談して近況を話したりしながら「何はなくともみんなが元気でいればね」としみじみ思った次第です。ネットの向こうのお客さんたちも元気でいてくれればと思いつつ。次回恵比寿天窓Switchでのライブはすでに12月に決まっております。その時は直接お客さんと会えたら良いなと思いつつ帰路に着いた私です。窓の向こうのサムシングニュー。

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9月のランニングマン(猫は膝)

気が付けば9月なのです。早いのです。そして「9月になったらすぐ大晦日」というプチ鹿島氏の名言がよぎるのです。もうすでに年末を見据えながら残暑を過ごしています。

8月は毎日海辺をランニングし、仕事をして猫を可愛がり、「北の国から」を見ているうちにあっという間に過ぎました。海辺での日焼け止めなど効かぬ猛烈な日差しにすっかり焼けて黒くなりました。その間ドラマ内で純くんは横山めぐみ宮沢りえと付き合い別れて、最終的に内田有紀と付き合っておりました。実生活でもふたりは結婚したのだから純くんはモテるのだなーと想いを馳せていたら何と純くんコロナ罹患だとのこと。五郎さん高齢だし黒板家は大丈夫かなとつい北の国から世界線で現実を見てしまいましたが。吉岡秀隆(50)という表記を見てその年齢に驚いたのですが、そりゃあ年も取るはずだよと己を顧みた私です。
私のソロユニットfwjのアルバム作りも地味に進んでいます。先週短い夏休みをいただき、その間も作業を進めておりました。ちまちま自宅で録音とミックス作業をしています。昼間こそ暑いですが、夕方にはすっかり秋めいて虫の音が鳴り響くので、自ずとマイクがその音を拾ってしまうのですが、録音していたらギターの持続音と虫の音が一緒になって良い感じだったのでそのまま使うことにしました。その時録っていたのは「文を書く(猫は膝)」という曲で一番新しい曲です。夏の終わりの虫の音が入っています。一番古いのは2011年頃の曲ですかね。何しろこの10年の間、断続的に制作していたのです。何とか年内に出せたらなと思っているところです。それこそ猫を膝に乗せて作業しています。
毎日海辺の入口に門番のように座っているおばあさんがいて、何するでもなくただそこにいる様子が猫のようで密かに猫おばあさんと呼んでいたのですが、毎日のように顔を合わせるので「こんにちは」と挨拶を交わすようになりました。高齢の猫を人間化したらこんな感じなのかなという可愛らしいおばあさんで、見たらサーファーとか犬の散歩の人たちと挨拶や会話をしているようなので、それを楽しみに海辺の入口に座っているようなのです。猫っぽいとはいえおばあさんの頭を撫でたり喉元をゴロゴロ言わせたりするわけにもいかず、ただ挨拶をするだけなのですが、私の中では街に数いる猫の1匹と認識しています。猫のように海辺に佇む生活ってある意味理想な気がします。佇むという行為を一生懸命に行う猫を見ていると生きているなと思うのですが、おばあさんも猫のように生きて海辺の景色の一部になっているのです。もしスケッチブックがあったらおばあさんを猫の姿に描くことでしょう。嗚呼、美しき光景哉。また私と同じように毎日のように海辺を走っているランナーたちがいて「あ、今日は赤パンがいる」「あ、緑のシャツのおばさんだ」「今日は黒のおじさんもいるのか」とだいたい着ている運動着の色で認識しているのですが、それで言うと私は「青いやつ」と呼ばれているに違いありません。青いアシックスのシャツで走ることが多いからです。青いやつは戦隊物では主役のレッドに次ぐサブながらクールな役どころなので、そんな心づもりで走っています。ブルーなラン。
波に乗るサーファーの姿を見ているとサーフィンをする人生も悪くないと思うのですが、その波に乗れなかった自分というものも意識するものです。同じくスケボーに乗らなかった自分も。ヒップホップを聴きながらスケートボードに乗ることはない自分と、サーフミュージックを聴きながらサーフボードに乗ることのない自分をつい省みてしまいます。伝説のサーファーの驚異的な波乗りをYouTubeで見ながら夏の終わりを感じています。

9月、私は何とか元気です。

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