ジョバンニの記憶を読む

今、渋谷のパルコ地下のギャラリーみたいな所で
活版印刷、写植にまつわる展示がされていて、
色んな機具や道具やら写真やらが飾られているのを
先日ちょこっと覗いてみたのですが、
その歴史を感じさせる機具の佇まいに心惹かれつつも、
私が一番気になったのは奥でピンセットで自分の好きな文字を
小さな木箱にせっせと拾い集めているお客さんの姿で、
そこでは自分で好きな文字をひとつひとつ拾って買えるのですね。
箱とか道具とかも全部売り物になってて。
ああ、この文字たち全部売り物なのかーと
そのお客さんが文字を拾う様子を背後から覗いていたのですが、
その様子がまんま「銀河鉄道の夜」のワンシーンみたいで、
これで会場が暗闇だったら雰囲気あったのになあ。
とか思ったのですが、
またあのワンシーンを見たくなってしまいましたよ。
銀河鉄道の夜」自体かなり地味な作品なのに
ジョバンニが印刷所で文字を拾うバイトをするシーンは
さらに輪をかけて地味で(笑)、子供が見ても
何のことかわからないシーンだと思うんですが、
あの暗闇の中、不穏な電話や印刷機具の動くノイズなどが
静寂の隙間に何度となく落とされる独特の緊張感が
ある意味においてすごく音楽的で、
私は個人的に大好きなシーンではあるのですが、
(今度の新譜にもそういう雰囲気の曲を入れました)
まさにそれの現物を見るとある種のロマンみたいな、
郷愁ともいえるような不思議な感情を覚えるのですが、
会場にいた人たちはみなそういう感情を持って
見ていたのでしょうか。
銀河鉄道の夜」においてジョバンニは
1ページ分の文字を拾って5円をバイト代で受け取り、
その5円でパンと角砂糖を買うのですが、
その角砂糖が妙においしそうなバイブレーションを出していて(笑)、
茶店などで角砂糖を見るとジョバンニもこういうのを
ひとかたまり買ったのだな。とか思い出したりするのですが、
端的にそういう記憶の細部を思い出したりする瞬間て
みなさん、ありませんか。
私が活版印刷の機具を見て郷愁を感じたのも
そういう端的な記憶の参照に発するものだったのかもしれませんが、
実はもっと深い所からのものなのかもしれません。
よくわかりませんが、「銀河鉄道の夜」の記憶が
ふとまたよぎり、それをまたなぞるきっかけとなりました。


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このブログはたまに読んでるけどfwjの音楽は聴いたことがない。
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しかし楽曲を提供している私本人が
iPodも所有していないというのも何なのですが(笑)。