アタゴオルの森で、ギターを

昨日は漫画家のますむらひろしさんの原画展&ライブを見に谷中まで。
個展以来久々に猫町ギャラリーを訪ねました。
以前板東さんに「僕、ますむら先生のファンなんですよ」とぽろっと言ったところ
「じゃあ紹介してあげますよ」とのことで今回特別にお誘いいただいたのです。
私がますむら先生の作品を熱心に読んでたのは中学生の頃で、
猫が立って喋り歌うアタゴオルという架空の世界に繰り広げられるファンタジー
夢見がちだった当時の自分に何とも言えない甘美な感覚を与えてくれたものです。
「ガロ」に載ってた独特の毒気のある初期の作品とかも好きだったんですけどね。
ますむら先生は大のビートルズ好きで有名で、
ご自分でもオリジナルの歌を作って歌っておられてレコードも出しているのですよね。
(私もそのレコード持っていますがなかなかの名曲揃いなのです)
今回のライブではアコギにブルースハープというディランスタイルで弾き語ってくれました。
私自身ライブを見るのは初めてだったんですが、
ますむら先生のギターが左利き用だったことにちょっと驚きましたね。
アコギの左利きスタイルの人を見るのは松崎しげる以来です(笑)。
あとで先生に「漫画も左手で描いてるんですか?」と聞いたら
「漫画を描くのは右手なんだよね」と仰ってました。
使う脳が違うのでしょうか。
ますむら先生の声がちょっとエンケンぽくて(凄い通りの良い声でした)、
アタゴオルな世界観の歌詞とマッチしていて良かったです,ライブ。
最後にレコードに入ってる曲もやってくれましたし。
原画に囲まれてのライブで雰囲気も良かったですね。
で、ライブ後は芋煮が振舞われてお客さんみんなで食しました。
芋煮付きのライブというのもなかなか良いものです。
芋煮、板東さんの奥さんが作ってくれたそうで非常に美味しかったです。


で、その後は谷中の商店街にあるトンカツ屋さんにみんなで移動して。
そこは貸し切りということで二次会と相成りました。
そこでは先生がギター弾いてビートルズナンバーを歌うのをファンが飲みながら聞くという
これもある意味ライブだったんですけどね。
板東さんが気を利かせてギターを用意してくれて
「五十嵐さん、ぜひ先生と一緒に弾いて下さい」と言ってくれたので
先生の目の前に座って最初から最後までずっと一緒にギター弾いてました(笑)。
かつて熱心に読んでいた漫画の作者さんとこうしてセッションする日が来るとは思いませんでしたが。
中学時代の自分に伝えてあげたかったですね。
きみは20年後にますむら先生と一緒にギター弾くことになるよと。
しかも谷中のトンカツ屋で(笑)。
なぜかシタールを持って来てる方もいたので一緒に「ノルウェイの森」やったりして。
ビートルズナンバーをこれだけ弾いたのは大学時代以来かもしれません。
本物のシタールを初めて弾かせてもらいましたがなかなか魅力的な楽器ですねあれは。
先生が「上に置いてもシタール」と唐突にオヤジギャグを言ったので、
「嗚呼、アタゴオルのキラキラしたイメージが!」とか思ったりしたのですが、
先生も普通のおじさんなのだなと逆に親しみを感じた次第です(笑)。
その後拓郎とかのフォークやなぜかピンクレディまでやったりして大盛り上がりでした。
先生には「ギターをちゃんと弾ける人がいると良いねえー」とか言ってもらいました。
ギターをちゃんと弾ける人で良かった自分、とか思ったりしました(笑)。
最後は清志郎追悼ということで「雨上がりの夜空に」で締めて。
何だかよくわかんないけど面白いライブでした。
ますむら先生のファンの方々がまたみんな温かい雰囲気で感動しましたね。
今回先生へのお土産として私は自作のビートルズの招き猫を持参して行ったんですが、
それを見せたら周りの人たちが「うわー写真撮って良いですか?」となかなかの評判をいただいて。
「もしかして張子の五十嵐さんですか?伊勢の招き猫祭り行きましたよ!」という方や
偶然瀬戸のお招き猫祭りのスタッフさんの息子さんが来てたりして
「どうも瀬戸では母がお世話になりまして!」と挨拶されるなどの
思いがけない交流が生まれたりしました。
招き猫持って行って良かったです。
やはり猫好きな方が多いのですね。
快く一緒にギター弾かせてくれたますむら先生や
その機会を与えてくれた板東さんに感謝せねばなあと思った次第です。
まるでアタゴオルの世界に入り込んで演奏会に参加したみたいな気分で帰りました。
楽しかったです。


上に置いてもシタール
私はこの日生涯忘れられない駄洒落を得たのです。
谷中にて。