8月の童心リターン

もう8月も半分過ぎてしまいました。
何たることだと天を仰ぎつつこの夏の熱気を受け止めている私です。
夏バテなどはしていませんでしょうか。
みなさまにおかれましては。


そんな折、東京都現代美術館にて催されている「特撮展」を鑑賞して来ました。
庵野秀明監督が監修したというだけあって、
かなり本気度の高い内容とボリュームで見応えありました。
入場までに30分待ちという人気っぷりで。
入っていきなり60年代の怪獣ものやSFものの映画ドラマに登場した
ロケット、戦車などのメカがこれでもかと展示され、
さらに原画やデザイン画、ポスターの他、庵野監督のコメントも付いており。
それらを読みながら小松崎茂先生の画に興奮しながら、
メカデザインの洗練された造形にふむふむと唸りながら見て回りました。
シルバーに赤のラインという色彩のかっこよさと宇宙感を考えついた人は凄いですね。
(個人的にはマグマ大使のシンプルなゴールドのロケットも改めて良いなと思いました)
ゴジラモスラが壊すことでお馴染みの東京タワーも勿論展示されておりました。
(改めて東京タワーのデザインて美しいなと思いました。
スカイツリーを壊す怪獣はまだ現れていませんが、
あれは壊すには背が高過ぎるんじゃないでしょうかね。ゴジラじゃ届かない気が。)
さらに進むとウルトラマン系のヒーローものが登場し。
この昆虫のような菩薩のようなデザインを発明した人は偉いよなと思いつつ
ご本人の描いたデザイン画を眺め、初期の造形や貴重なマスク、バッジや銃などの
ファンの心を躍らせる展示をじっくり見て回りました。
ウルトラマンタロウのメカの水色と赤の組み合わせが今見るとポップで良いんですよね。
私のリアルタイムのウルトラマンウルトラマン80なんですが、
昔からウルトラマン系の本やムック本、漫画などは熟読していたし、
再放送やDVDで見直したりでどの兄弟も馴染みがあるんですが、
ウルトラマンが凄いのは今の子供たちもそういう状況で知っているし、
何世代にも渡って親しまれているところなんですよね。
実際お父さんと子供が揃って「お、カラータイマーだ!」などと
興奮して居る様は美しいなと思いました。
ウルトラマンの他、アイアンキングとかミラーマンとか、流星ゾーンとか、
スペクトルマンだとかライオン丸だとかのピープロ関係のマスクも展示されていて、
よくこんなの保存されてたなと感心してしまいました。
サンダーマスクなんて映像自体封印されたままだった気がしますが。
さらには壊される運命にある(笑)街の建物のミニチュアの展示も凄かったですね。
職人の技による細かい家屋やビルの造形に、同じ物を作る者として大変心動かされました。
その後今回の展示の目玉である特撮映画「巨神兵東京に現わる」の上映があり。
スタジオジブリ制作の10分足らずの短編なんですが、
CGを一切使わず全部アナログな昔ながらの特撮技術で撮影されたそうで。
見ているとそこかしこCG技術じゃないかと思ってしまうんですが、
その後公開されているメイキング映像を見ると、
東京の街の光景やビルや家屋や公園など街全体をわざわざミニチュアで制作し、
それらが破壊される描写も全部手作業で行っているんですよね。
ビルが溶ける描写も絵の具を仕込んでとか、
爆発後のキノコ雲も綿で手作りしている様子は圧巻でした。
またそれらを撮影しているスタッフの人たちが
「最高だよ〜」「これが俺たちの特撮だよ〜」と子供のように楽しんでいて。
ここまで童心に帰れるものなのかと思いつつ(笑)、
こんなに手間隙掛けて撮影するモチベーションは「特撮が好きだから」という、
物をクリエイトする原点みたいなものを垣間見た感じで感動しましたね。
私も斯様に熱意を込めて物を作らねばなるまいと自戒した次第です。
その後の造形スタッフさんの仕事場を再現した展示や
倉庫を再現した展示など、どこまでも特撮愛に溢れた展示が良かったですね。
さらには東京の街並を再現したミニチュアに自分も入ることが出来て、
撮影も出来るという画期的な展示は圧巻でしたね。
みんな思い思いのアングルで撮影しておりました。
そんな感じでお腹いっぱいというくらい特撮の世界に浸れました。
結構見終わった後はぐったりしましたね(笑)。
展示を見ているおじさんたち(私もですが)がみな少年の顔に戻っていて、
あの頃の夢に心躍らせている様子はとても良かったし、
それを自分の子供と共有出来るというのはコンテンツとして何と優れたものなのかと
改めてヒーローもの、特撮ものの素晴らしさに感心した次第です。
こういう充実した形でまとめた庵野監督の手腕も素晴らしいと思いました。
ぜひ興味ある方にはおすすめです。
東京都現代美術館に行ったのは久々だったんですが、
(前見に行ったのは確か池田亮司の展示だったと思うんですが)
なかなか良い空間だなあと改めて思いました。
「え?趣味?そうだなあ美術館巡りかなあ」などと
しれっと言えるくらいになってみたいものだと思いつつ
8月の美術館を後にした私です。
夏もいよいよ後半戦ですね。