夏猫回想

もう学生じゃなくなって何十年と経つのに8月31日になるともう夏休みも終わるのかと一抹の寂しさを感じてしまう現象はこの先60歳70歳まで生きたとしてもなくならない感覚のように思え、すでに秋の気配が濃厚な涼しいこの気候に似つかわない蝉の最期の合唱を聞きつつ、改めて夏の終わりを見送ろうとしている私がいます。もう8月も、夏も終わりです。
猫がやって来て初めての夏を過ごしたわけですが、家を留守にする際も猫のためにエアコンを付けっぱなしにするという、猫様のための環境維持とはいえ電気代どうなっちゃうのと心配する己を想像していたら、「この暑さにミルクを置いて行くことなど出来ぬ!」と率先してエアコンを付けている自分がいて意外だったのですが、温度設定を高めにして付けっぱなしにしておくとそんなに電気代もかからないという事実もわかり、それもまた意外だった今年の夏です。猫のいる部屋を涼しくしておいて自分が仕事をする部屋は暑いままというよくわからない環境で過ごしたのですが(私の仕事部屋にはエアコンがないのです)、この猛暑でもエアコンなしで全然大丈夫だった生粋の寒がりな己に感謝した次第です。
小さくてテーブルに登れなかったミルクも大きくなり運動能力も上がり、我々が食事をしているテーブルにもがんがん登るようになって来て「何食べてるの〜?」とご飯のお皿に鼻をくんくんさせるので、その度に「駄目だぞ!」と言って降ろすのですが、その直後にまた「何食べてるの〜?」と登って来るという繰り返しで、この運動で何かしらの発電でも出来ないものかと思ったりするのですが、我々の食事に興味があるのか毎回のように近寄って来るのですよね。「これはお前のご飯じゃないぞ」と手で制すと「うむ、そっかあ」と一度は引いて我々の食事を眺めているのですが数分経つとまた「やっぱ気になる〜」と近付いて鼻をくんくんさせるのです。
夜にお酒を飲んでる時も同様で、ハイボールなどを飲んでいると「何飲んでるの〜」と寄って来て鼻をくんくんさせるので「お前は飲めないぞ」と手で制すと「うむ、そっかあ」と一度は引いて寝そべりながら私の飲む様子を眺めているのですが、数分経つと「やっぱ気になる〜」と近付いて来るのです。まあそれを繰り返しているとやがて飽きるのか近くで寝そべるだけになるのですが、「いつまで飲むんだろうねこの人は」とでも言いたげな表情で私をじっと見るようになるので、「いや、あと1杯だけだから」とつい言い訳のような台詞を吐いてしまう私がいて、晩酌のお供ともいえるし、監視役ともいえるような感じになっているのです。
いっそ一緒にお酒が飲めれば楽しいものをとも思うのですが、猫が酔っぱらうと何だかとんでもないことになりそうでこわくもあり。猫カフェみたいに猫を肴にお酒が飲める猫バーみたいな店があればヒットするのではないか、こいつはビジネスチャーンス、などと酔った頭の片隅で思ったりもするのですが、酔っぱらった声の大きいおじさんなど猫は大嫌いだろうから無理か、なあミルクや、と即座に諦め頭を撫でようとすると「もう飲み過ぎだから寝たら?」と言わんばかりににゃーんと鳴かれるという、そんな自宅猫バーでお酒を嗜んでいるこの頃です。
猫の話しかないのか五十嵐は、と思われても何なので音楽系の情報を載せておきますが、fishing with johnのsoundcloudを始めました。
https://soundcloud.com/fishingwithjohn
今後音源などをアップしていこうと思っているのでぜひチェックしていただけたらと思う次第です。LASTorderくんという若干21歳のエレクトロニカ系のトラックメイカーがいるのですが、彼が高校生の頃fwjを好きでよく聴いてくれていたそうで。その話をSNS上で知るに至り、それなら記念に(?)一緒に曲を作ってみませんかということで1曲作りました。「掌のラストシーン」という曲です。若い人が自分の音楽を好きで聴いてくれていたという話は嬉しいものです。そしてその後その人が音楽家になり、一緒にコラボレーション出来るというのもまた嬉しいものです。生楽器と作曲を私が、打ち込みと電子音と編曲を彼が担当しております。夏を見送りながらぜひ聴いてみて下さい。
https://soundcloud.com/fishingwithjohn/tenohira_no_lastscene