焼き鳥迷子

気が付けば3月も半ばなのです。早いのです。2月は短かったな、あっという間だったなと思っていたら3月も同様の早さで過ぎて行こうとしているのです。何とか振り落とされぬようついていかねばと思いつつ、桜の開花などを待ち望んでいるこの頃です。
先日は高橋徹也氏から「今週鎌倉に遊びに行きますね!」とメールが来たので「じゃあいつもの焼き鳥屋で!」と返したのですが、というのも近頃はタカテツさんが鎌倉に来るイコール焼き鳥を食べるという恒例行事のようになっており、タカテツさんとどこか他所で顔を合わせても「また焼き鳥行きたいっすね」という会話になるほど我々の中で定着しているコースなのです。
そんな恒例と化した鎌倉焼き鳥会を催すべくタカテツさんと直接お店の前で待ち合わせと相成ったのですが、その日はたまたま開店が早かったようで、私と妻が焼き鳥屋の前に着くともうすでに開いていたので先に入って待っていようとなり。その旨をタカテツさんに連絡して先に入店しビールなど飲みながら待っていたのですが、約束の時間になってもなかなかタカテツさんがやって来ないのです。電車が遅れてるのかな、どこか寄り道でもしてるのかな、などと心配になり彼に電話をしてみると「すみません、道に迷ってます!」というまさかの迷子宣言が飛び出しまして。果て、もうこの店には何回も来ているはずだが?恒例行事のはずだが?と思いつつも、確かに細い脇道に入るのでちょっとわかりにくいかもと思い、「ちなみに今どの辺にいます?」と尋ねると「molnの先のよくわからない場所にいます」と言うのであり。そもそもこの店はmolnとは反対口にあるので駅を降りる方向からして間違っているのです。最初から道を見失っているのです。何度も行っている場所を目指しているのに結果よくわからない場所を歩いているとは彼の書く歌詞みたいじゃないかと思いつつ、「えーとまずは駅の反対側に来て貰ってですね」と細かく道順を教え、しばし待っていると果たしてタカテツさんは春風のように颯爽と現れ。「いやーmolnの方向かと勘違いしてました〜」と濁りのない瞳で言うので、改めて面白い人だなと思った次第です。ここに来るの今回で4度目なんですけどね。タカテツさんには現実の道や風景が何かのフィルターがかけられたように見えているのでしょうか。それとも単なる方向音痴なのでしょうか(笑)。
そんなタカテツさんと美味しい焼き鳥に舌鼓を乱打しつつ、世間話などしつつ。楽しい時間を過ごしました。ちょっと前に山田氏と共に名古屋と京都を回ったツアーを「ただただ楽しい旅でしたねー」と振り返ったり、ちょうど前日にはベースの鹿島さんの30周年ライブを終えたばかりで、そちらも「楽しかったなー」と振り返っておりました。レコーディングも再開したようで充実の活動っぷりが伝わって来ましたね。タカテツさんが山田氏に対して「佐賀の狂えるひとりっ子」という秀逸なキャッチコピーを付けていたのが面白かったですね。さすがの言語チョイスだなと。
そしてアフター焼き鳥はカフェディモンシュに立ち寄り。美味しいコーヒーとパフェをいただきました。ちょうどタカテツさんが店主の堀内さんに渡すものがあったそうで、手渡しつつレコード話を交わしておりました。タカテツさんはブラックコーヒーにミルクを入れず砂糖だけ入れるスタイルなのですが、カップの持ち方にもこだわりがあるらしく。取っ手部分を持たず中指と親指でカップの端と端を持ち口に運ぶのだそうです。昔デヴィッド・ボウイがそうやってコーヒーを飲んでいたらしく、「つい真似してしまうんです」と嬉しそうに語っておりました。ボウイと同じ飲み方でコーヒーを飲む男。そして何度も行った場所を目指すもよくわからない場所に至ってしまう男(笑)。タカテツさんはそんな人です。愉快な一夜でした。
そんなタカテツさんには夏頃にまたmolnでライブをやって貰う予定です。みなさんもぜひ鎌倉で彼と待ち合わせをしてみて下さい。そしてその時にはくれぐれも。迷子にならぬようお気を付け下さい。