猫と侍

妻がお店の買付けでリトアニアとラトヴィアに1週間行っており、周囲からはしばしの独身生活ですねえなんて言われていたのですが、ミル坊もいるしその間春日部行ったり招き猫の絵付けワークショップで西荻窪行ったり(これがかなり盛り上がって楽しかったです)、しみじみ独りの時間というのも少なくまあ普段通りの日々でしたね。普段食べないお菓子を夜中に食ったりちょっとうるさめのレコードを聴いたり香港映画(「Mr.Booヒルの警備保障」)を深夜に見たりするくらいの羽根の伸ばし方はしましたけどね。これが羽根だとすると私の羽根は何と小さいのかという向きもありますが。ミル坊は「あれ、いつも騒がしいあやくんがいないな」と思うと同時に「ひょっとして今後ゆうくんと2人だけで暮らしていくのかな」と不安に思ったのか妙にみゃあみゃあ私に鳴くのであり、「ねえまさかゆうくんまでいなくならないよね?」みたいな目で見るので「大丈夫だ、ずっとミル坊と一緒だよ」と抱いてやろうとすると「みゃあ!」と逃げるので何ごとかと見やるとカリカリを入れている皿が空っぽなのであり。何だお腹減ってるだけかとうなだれながらカリカリを足したら「ふむふむ、上出来だね」みたいな目で私を見るのであり、ミル坊にはかなわないなと思った次第です。でも寝る時もずっと私のそばにいたし、昼間も常に私の姿の見えるところにいて、この1週間でより男同士の結束が固まったような気もします。まあ私の気のせいなのかもしれませんが。
そんな様子を知ってか知らずか高橋徹也さんが「独身気分の折、一緒に野郎メシでもどうですか?」と誘ってくれまして。この「野郎メシ」という無骨な表現が侍みたいだなと思いながら待ち合わせて一緒にお酒など飲みました。実はmolnで予定されていたタカテツさんのライブの日程を先に変更する機会があったのですが、そのお詫びとのことでレコードをいただきまして。そんなことでいちいちお詫びすることもないのですが、この律儀さが彼を侍たらしめているのだよなあと思いながら受け取りましたけどね。彼がツイッターでよくお気に入りのレコードを紹介しているのですが、その内の私が気になっていた1枚だったので嬉しかったですね。2人して居酒屋に入ったのですが、最初店員のおばちゃんに強引にカウンターに通されそうになったところを「や、テーブルでも良いですか?」とタカテツさんは侍の如き鋭い眼光で強くテーブルを希望し。その後注文を頼む際に「この店の売りの串焼きを頼みましょうか」と言うので「別に串焼き以外の1品物でも良いんじゃないですか」と言うと「や、さっき無理矢理テーブル席に座っちゃったので悪いかなと思いまして」と店員のおばちゃんにも筋を通すとはどんだけ侍やねんと思った私ですけどね。そこで四方山話をしながらご飯を食べて楽しい時間を過ごしました。少し前にタカテツさんの「Reflections-ep」というアナログ盤の中古をディスクユニオンで見付けて買ったのですが、何とそれがタカテツさんの直筆サイン入りで「2015.9.18」と日付けも書いてあり。その写真を見せて「これって本物ですか?」と聞いたら「俺の書いたサインですね」とのことで。「2015年って結構最近ですね」とタカテツさんは苦笑しつつ「まあ仕方ないですね〜」と言うのであり。もしこれを売った本人がこの記事を読んでいるとすれば猛省を促したく思った次第です。サインをいただいたものを売るなよと。ご本人が見る場合があるのだぞと。まあそれを見付けて買って、本人に見せちゃう私も私ですけどね。(コレクションとしてどうしても欲しかったのですよね。)その後お互いの近況やタカテツさんの若き日のトンガったエピソードや過去の辛酸を嘗めたエピソードなども拝聴し。初めて耳にする話などもあり面白かったですね。若き日のタカテツさんの写真を見るとまたキレッキレで眼光鋭く、触る者みな斬りそうな侍然とした様相なのですよね。思わず「侍」という漢字に「タカテツ」というルビを振りたくなってしまった私です。今でこそ柔和なタカテツさんですけどね。しかしその剣の覚えは衰えないどころか鋭さを増しているのです。近くリリースされるという新譜も楽しみになりました。molnでのライブもそのうち発表出来るかと思います。
そんな1週間でしたが、妻も買付けの旅から帰国し。ミル坊は外国の強烈な匂いを嗅ぎ取ったのかやたら荷物をクンクンして不審がってしましたが、ようやく慣れたようです。
6月はまだ始まったばかりです。どうなることやらです。