芝浜とおでんと鍋と

先日はミルブックス藤原さんのお宅で鍋を食べながら落語を鑑賞するという、最早恒例となりつつある会に参加して来ました。前回は藤原さんが3日前から仕込んだという壮絶に美味い出汁と味の染みた大根に驚かされたのですが、その味は今回も健在でございました。
彼の家に着くともうテーブルの上は完璧に準備されており、「鍋の前にまずはおでんから行きますか」といきなりの接待モードで絶品大根を出されまして。冒頭からメインとも言える大根を出して来るとは、ライブ1曲目から「ホテルカリフォルニア」を演奏するイーグルスみたいなもんだぞとよくわからない例えをしつつ食べた大根は勿論美味いのであり。ご丁寧に角を取って仕上げられた大根に続き、たまごやら練り物やら熱々でハフハフ言いながら食べてビールで追っかければもうキマりなのです。風呂に浸かってるかのような心地良さなのです。「藤原さん、もうこれだけで満足〜」と私も妻も堪能しているうちに遅れてまどかちゃん、イラストレーターの木下綾乃さんも合流し。同じようにおでん風呂を堪能しておりました。
その後藤原鍋奉行による本格的な鍋が始まり、みんなで持ち寄った日本酒を飲みながら美味しい鍋を堪能しました。「この美味い出汁をミルブックスで販売すれば良いのに」「料理本を出せば良いのに」などと言いつつ、日本酒のチェイサーで美味い出汁をぐびぐび飲む私。やたら鍋をお代わりする妻。(また太るぞと注意する私。)仕切る藤原さんに黙々と食べるみんな、という図が展開されておりました。
その後落語関連の番組など見つつ、「今日は古今亭志ん朝の芝浜を見ましょう!」と相成り。事前に志ん朝のドキュメンタリーを見てからの一席だったので、みんなその名人芸に引き込まれ真剣に見入ってる中、藤原さんだけは何やらちょこまか動いているのです。みんなが落語を見ている間に締めの絶品雑炊を仕込んでいるのです。そして食後のコーヒーを同時に仕込んでいるのです。我々、内心「藤原さん、そこまでおもてなししなくて大丈夫よ、充分よ」と思っていたのですが、この完璧な仕切りが藤原さんの真骨頂なのです。「また夢になるといけねえ」と芝浜のサゲがキマると「はい、真打登場〜」とばかりに熱々の雑炊が出来ており。夢になる前にみんなで美味しくいただきました。この日はまどかちゃんがサプライズで妻の誕生日ケーキも用意してくれていて、みんなで食後にいただきました。まさに至れりつくせりな食卓です。その後遅れて綾乃さんの旦那さんも合流したのですが、藤原さんによる一連のおもてなしを受け「家に欲しい」「お母さんみたいだ」と感激しておりました。我々、藤原さんの女子力が高いという認識でいたのですが、もうここまで来るとお母さんというか、おかん力が高いということなのだなと思った次第です。取った大根の角を使って漬け物として出すおかん力よ。(藤原さんは私と同い年の男性なのですが。)
その後お土産までいただき、みんなで藤原さん笑っちゃうくらい凄かったねと言いつつ帰路に着きました。芝浜を聞いてもう年末なのだなと実感しつつ。今後は芝浜を聞く度にこの日の鍋と雑炊の味を思い出しそうです。楽しい一夜でした。
ちなみにこの日藤原さんに頼まれていた招き猫を渡したのですが、それが劇作家、ミュージシャンのケラリーノ・サンドロヴィッチさんと緒川たまきさん夫妻の愛猫ごみちゃんをモデルにしたもので、後日藤原さんがケラさんに直接プレゼントしてくれたそうです。ケラさんのツイッターに画像が上がっていて感激した次第です。(写真はケラさんのツイッターから。)緒川たまきさんの自宅に私の作った招き猫が置いてあると思うと感慨深いものがあります。molnに高野寛さん呼んだ時もそう思ったソリトンSIDEB世代の私です。藤原さんのおかん力に感謝です。(それは果たしておかん力なのかという話ですけどね。)