北欧旅日記 フィンランド編2

いよいよフィンランドでの展示の初日を迎え、我々は会場となるLocal+というギャラリーへ向かいまして。宿からちょっと距離がありそうなので、路面電車を利用しようかと相成ったのですが、これがまた昨日の電車同様、切符の買い方がわからないのです。調べたらスマホのアプリをDLして乗車券を買えるみたいなのですが、「もう時間ないし歩いちゃえばいっか!」と一同歩き出し。結局これがヘルシンキの街並を見ることが出来て結果的には良かったですね。海沿いには朝市のテントが立ち並び、食べ物や工芸品、アクセサリーなどを売っており。そしてかもめがたくさんいるのです。浅草の鳩くらいいると言えばわかりやすいでしょうか。かもめの鳴き声を聞いて「あー、フィンランドに来たなあ」と実感した次第です。
街の方へ歩いて行くとかなり都会的で、様々なショップやカフェやホテルなど立ち並び、東京の銀座とか日比谷とかに近い雰囲気を感じました。公園の銅像の上に、かもめが止まっている様は東京では見られない光景でしたけどね。
そして着いたLocal+はアート系のセレクト雑貨を扱うLocalというショップの並びにあり。聞いたらこちらで以前イラストレーターの福田利之さんも個展をされたことがあるそうで、勝手に縁を感じました。(敏腕コーディネーターの岩崎さんが「福田さんもやったところだよ〜」と自慢げに話しておりました。)ここのオーナーさんにご挨拶し、いざ会場のギャラリーに入ってみると、大きな窓から光が入るとても明るく心地良い空間で。「什器など好きに使ってね!」とオーナーさんは笑顔で言ってくれて、早速飾り付けをしまして。今回は千秋さんの洋服ブランドSa-Rahさんと一緒の展示だったのですが、「ゆうちゃん、メインのテーブル使って良いからね」と言ってくれて、結果張子のスペースが多めになってしまい少々申し訳なかったんですけどね。あやと岩崎さんとあやこさんと千秋さんと、ここにいるのは全員店主なので「ここはこう飾ったら良いんじゃない?」とみんなからアイデアが出て、飾り付けはスムーズに進みました。
そしていざオープンとなったのですが、お客さんが外を通ってギャラリーの中を覗く度に「あ、入るかな?」と見守る感じがさながら映画「かもめ食堂」のようで、主人公の小林聡美さんの如くそわそわした気分で店内におりました。メインの通りではないので心配していたのですが、オーナーさんがインスタのストーリーに商品を載せてくれたおかげか、ちょこちょこお客さんが来て手に取ってくれまして。ここぞとばかりに招き猫や犬張子の説明を英語で繰り出す私とあやと岩崎さんがおりました(私は変わらずルー大柴調です。)最初に招き猫が売れた時は「ひゃっほう」と心の中で喝采してしまいましたね。何せフィンランド初上陸なのです。インスタグラムって凄い宣伝ツールなんだなあと改めて思った次第です。その後もちょこちょこと売れてくれてほっとしました。
その後aCaeさんも会場に到着し。今回折角共演するのだからセッションでもしますかということで、以前一緒に演奏した宮沢賢治の「星めぐりの歌」もやることになりました。今回aCaeさんのフィンランド人の知り合いの方にギターをお借りしたのですが、ギャラリーの後ろの方でaCaeさんが爪弾くギターにあやが歌う練習の音をBGMに接客しておりました。
そして夕方、いよいよライブが始まりまして。まずはaCaeさんの演奏です。今回はギター弾き語りスタイルでしたが、繊細なギタープレイとその美声でフィンランドのお客さんを魅了しておりました。音の鳴りも良かったし、会場の雰囲気にも合っていましたね。聞いたらaCaeさんはギターのチューニングを1音下げて行っているそうで、その方が響きに重みが増して良いのだそうです。ラトビアでもカラオケバーのお兄さんにその歌声を絶賛されていましたが、aCaeさんが海外で人気な理由がよくわかりましたね。素晴らしかったです。
そして草とten shoesのステージですが、岩崎さんの英語のMCから始まり、最初は緊張していたあやも徐々にリラックスして歌えたようで、全体良い演奏が出来たように思います。途中たまたま通りがかった現地の人たちも入って来たりして、会場の雰囲気もとても良かったですね。最後のaCaeさんとのセッションでは私が急きょピアニカを吹くことになり。ほぼぶっつけだったのですが、とても良い演奏になりました。あやとaCaeさんのハーモニーもバッチリで。フィンランドマジックかしらと思ったのですが、ここまでずっと一緒に旅をして来て生まれたファミリー感がうまく作用したのかもしれません。オーナーさんにも演奏を褒めていただきました。
昨日までの練習では岩崎さんのあまりの演奏の出来なさに「本当に大丈夫なのかしら」と心配していたのですが、本番で何とか出来ちゃう辺りに社長の器を感じた次第です。aCaeさんも事前に岩崎さんの練習の様子を聞いていたせいか「草テン、本番めっちゃ良かったじゃないですか!」と何割りか増しで褒めてくれました。よっぽどハードルが下がっていたのでしょうか(笑)。
そんなわけでフィンランド初の張子の展示と草テンライブ、両方とも無事に終えることが出来ました。ギターを貸してくれた美人姉妹にはお礼に招き猫を贈りました。縁というのは大事なものですね。