秋のオリーブ

もう9月も終わりなのです。この時期ともなるとすでに来年のスケジュールを決め始めているのです。来年の話をすると鬼が笑うなどと言いますが、もう笑い声がそこかしこで聞こえて来ている感じです。鬼の笑い声って果たしてどんな声なのかしらと想いを馳せながらスケジュールと向かい合っています。何となく米津玄師の「Lemon」という曲の合間に聞こえる謎の「クェッ」というカエルを踏みつぶしたかのような声に近いのではないかしらと今書きながら思っています。たくさんの小さな鬼たちが米津さんの歌う背後(総理風にせごと読みます)で「クェッ」という笑い声を上げていると思うと何だか愛おしく思えますね。鬼さんキュートだねという感じで。
キュートといえば、この間ご近所カフェのディモンシュさんでカジヒデキさんと堀江博久さんのライブを見させていただきまして。(店主の堀内さんにお誘いいただいたのです。)とても50代とは思えないカジさんのキュートな佇まいにすっかり魅了されてしまいました。ボーダーに短パンというスタイルをあそこまで貫くともうそれはロックだなと。私が90年代に愛聴していた過去の名曲と最新曲が全く違和感なく並び、フレッシュに鳴らされ歌われるのです。私の好きな音楽性に間違いなく「ネオアコ」「ギターポップ」というキーワードが入るのですが、カジさんの音楽はその琴線に触れまくりですっかり胸キュンしてしまいました。カジさんはカポタストを使わないで全部ハイポジションでコードを押さえていて、「あ、この人はエレキの人なんだな」とその演奏スタイルにもロック魂を感じました。新曲「秋のオリーブ」も良かったし、素晴らしいステージでした。
そして堀江博久さんもロックスター然とした色気に満ちており。カジさんにツッコミを入れながらのMCも面白く、改めて魅了されてしまいました。私は堀江さんが松田岳二さんと組んでいた(今も組んでいる)ニール&イライザというユニットの大ファンで、それこそ90年代に聴き倒していたので、青春が蘇りましたね。振り返ればニール&イライザも、堀江さんがカジさんと組んでいた「ドッツ&ボーダーズ」も、堀江さんのソロも、堀江さんがサポートしているコーネリアスも、全部好きで聴いているのです。堀江さんとくるりCoccoさんとドラマーの臺太郎と組んでいた「SINGER SONGER」は何年前のことでしょうか。(堀江さんに「私、臺太郎と一緒に昔バンドをやっていたんですよ〜」と伝えたら「あ、そうなの〜?」と気さくに応えてくれました。)オケを流しながら鍵盤やギターやら持ち替えての演奏で、インストも弾き語りもどれも最高でした。特に最後にカジさんと一緒にやったニールの「ヴィオレッタ」には感涙でした。
この日は山田氏も見に来ていて、ゴメスの新譜の推薦コメントをカジさんに書いてもらったお礼を直接述べておりました。カジさんと山田氏のニコニコの2ショットを撮る私。そして「私もいいですかっ?」とカジさんとの2ショットを山田氏に撮ってもらう私。このキャッキャしてる感じは何なのだろう、これがネオアコの成せる技かと思いつつ。全員40代50代のおじさんなんですけどね。
スタイルを貫いて続けることの大切さをカジさんに改めて教えられた私です。そしてかっこよくて面白い堀江さんにも大人の男の魅力とは何ぞやと教えられました。取りあえずドットとボーダーを着続けることから始めようと思った私です。
それにしてももう10月に突入とは驚きです。いよいよ年末が見えて来ました。そりゃ鬼もキュートに笑うというものです。(米津玄師の歌声の背後で。)