草とten shoes 台湾ツアー記 その4 台南編

台湾ツアーも4日目となりました。この日は台中から台南へ移動してライブというスケジュールです。大人数でえっちらおっちらスーツケースを引きずり、新幹線に乗って台南へ大移動です。南というくらいだから暖かいのだろうな、くらいの認識だったのですが、いざ台南に着いてみたら猛烈に暑いのであり。30度近い真夏の気候なのです。よくよく地図を見てみたら沖縄より南側に位置していたのでさもありなんです。まさか11月に半袖を着るとは思いませんでした。
この日の宿泊先は築何十年という古い建物をお洒落にリノベしたとおぼしき民宿のような場所で。置いてある家具や小物などもセンス良く、素敵な空間でしたね。元々アパートだったと思われるこの建物は周りも民家やアパートなどに囲まれており、ベランダに干された洗濯物などで地元住民の方々の生活の様子を垣間見られました。そんな建物なので当然エレベーターがなく。重たいスーツケースやギターを4階まで運ぶのが大変だったのですが、それもまあ旅の醍醐味なのです。管理人の美人のお姉さんから流暢な日本語で「今回はポケモンのイベントで来たんですか?」と聞かれ、「いや違います、今回はライブしに来たんです、私たちバンドやってるんです!」と答えると、「え〜、そうなんですか?じゃあライブ見に行きますよ!」と、後で本当に見に来てくれてCDも買ってくれたのでありがたかったですね。(メンバー誰もポケモンをプレイしてないのでイベントのことは初耳でした。)
今回のライブ会場は屋外ということで、我々からしたら外での演奏は初体験なのです。ホテルから20分ほど歩くと正興街という地域があり。この地域には飲食店や露店などが賑やかに並び、日曜日ともあってここは原宿かと言いたくなるほどの人で溢れているのです。そこかしこで路上パフォーマンスを行う芸人がいたり、天才ドラマー少年がドラムを叩いていたり、おじさんが路上カラオケを披露していたり、何というかカオスと化しているのです。まさかこのカオスな感じの中で我々も演奏するのではあるまいなと思ったのですが、そのまさかだったのです。人気アイスクリーム屋の目の前と聞いていた会場に着くと人がさらに溢れかえっており。この暑さでアイスクリーム屋は大人気です。こんな人の多いところでライブをするとはと一同驚きつつ、今回の現場を仕切ってくれるコウさんの事務所にまずはご挨拶に行き。コウさんは小林賢太郎似で、話していて頭の良さが伝わって来るナイスガイで。元々何もなかったこの地に店を開き、現在の原宿並みの人通りを呼び集める先駆となった方だそうで。海外でしかも屋外、我々どんな悪環境でも頑張りますよ〜という心意気だったのですが、コウさんの仕切りでPA環境もキーボードも譜面台も用意してくれ、まさに至れり尽くせりの状況でライブを出来ることになり、感謝しきりでしたね。スタッフさんに何と草テンの看板まで作っていただき。(「東京職人」という肩書きが付いていたのが面白かったです。)取りあえず我々は会場近くのそば屋で腹ごしらえをし。ここの5歳くらいの男の子とブルドッグが可愛くて、すでにミル坊ロスになりつつあった私は「わ〜、可愛い〜」とわしゃわしゃとブルドッグくんを撫でまくって癒されてしまいました。猫と犬は世界を繋ぐのです。(「撫でる姿が異様でこわい」とメンバーから再び評されました。)
そしていよいよ本番です。我々がセッティングしている間にも「何だ何だ、何が始まるんだ?」と人がさらに集まり。超満員といった様子です。不思議なもので人がたくさんいると逆に緊張しないというか、みんな我々を目的に来ているわけではないし、全体リラックスして演奏出来ましたね。PA環境が整っていたので演奏もやりやすく。あやの歌も今までで一番良かったように思います。岩崎さんが英語でMCをしたのですが、英語がわからない人もいるだろうからという判断でスタッフさんが通訳してくれ、お客さんの反応も上々でした。アイスを食べながらライブを聞くという、みなさんの日曜日のお楽しみを演出出来たのではないでしょうか。(かおりんに頼んでインスタで生配信もしてみたのですが、いかがだったでしょうか。)
ライブ後にはいつものようにCDを売ってサインをして記念撮影をして交流が出来ました。ハナさんもわざわざ来てくれてライブを見守ってくれました。終演後には事務所でフルーツとアイスをご馳走になり。疲れていたので甘いものが身体に染みましたね。
休憩をしてコウさんのお店で買い物して、夕方にはご近所の食堂で打ち上げを行いました。観光客というよりは地元の人が食べに来る家庭料理のお店といった様相で、ジャッキー・チェンが映画内でもりもりご飯を食べるようなお店だなと思いながらふとテレビを見たら偶然ジャッキー・チェンの映画を放送しており。チラチラとそれを見つつ、みんなでライブの感想など話しながら食べたのですが、これがまたどれも美味しく。台湾は本当に料理にハズレがなかったですね。メニューにビールがなかったのでコウさんがわざわざコンビニで買って来てくれて、食べながらそれをぐびぐびいただいちゃいました。(ビールのない店では持ち込んでも大丈夫なのだそうです。)テレビではジャッキーが悪人に追い詰められ、すわ、どうなるジャッキー!あやうしジャッキー!というシーンになっており、「ここからどうやって切り抜けるんだろう〜」と思って見ていたら、そこでおもむろに店主がテレビのチャンネルを変えるのであり。「ええっ?一番良いところで変えちゃう?ジャッキーあの後どうなるん?気になる気になる〜!」と思ったのですが、みんなと会話しつつもチラチラジャッキーを見ていたことに気付かれても何なので、店主に抗議することなく黙ってコップのビールを飲み干しました。私の中で台湾のジャッキーはピンチのままです。あの後どうなったんでしょうか。
その後台南の街並みを眺めながらエレベーターのないホテルに帰り。今回は広めの和室にメンバー4人が寝るという修学旅行スタイルだったのですが、毎日移動してライブを繰り返して疲れていた我々は枕投げをしたりトランプをしたり「クラスに好きな子いる〜?」などと話す元気もなく、すぐに寝ました。暑さの中を路上で演奏したというのもあり。
台湾ツアー、明日もまだ続くのです。我々の体力は保つのでしょうか。果たして。