賑やかなるノスタルジー 貸切り図書館69冊目

先日は貸切り図書館69冊目、中山うりさんのライブにたくさんのご来場ありがとうございました。もうmolnには4回目の出演となるうりさんですが、今回は初めての編成で新鮮でしたね。うりさんの凛とした歌にトランペットにアコーディオン、南さんのウッドベースと小林創さんのピアノによる鉄壁のアンサンブルが素晴らしかったです。特に小林さんのピアノ、初めて聴きましたが主役を食う勢いの超絶プレイに耳を奪われっ放しでした。(星野源の「恋」でピアノを弾いてるのが小林さんだそう。知らずに何度も耳にしていたのですね。)トリオなのにビッグバンドみたいな賑やかで迫力ある演奏にうりさんの楽曲の良さも際立っておりました。個人的にはデスメタル好きな女の子を好きになる女の子の歌「デスメタルラブ」にグッと来てしまいました。この曲はカバーだそうですが、歌詞がうりさんのキャラクターに合っていてすごく良かったですね。

うりさんの紹介してくれた本は金沢の古本屋で買ったという金子みすゞ「日本語を味わう名詩入門」、エレカシのインタビュー本「俺たちの明日」上下巻でした。金子みすゞの言葉には自分にはない感性があるとのことで、いくつか詩を朗読してくれました。合わせてうりさんの子供の頃の思い出話なども語ってくれました。

エレカシはライブを見に行って以来「エレカシ沼にハマってしまった」とのことで、このインタビュー本を紹介してくれました。しかもちょうどこの下巻を読んでいた時に偶然飲食店でボーカルの宮本さんに遭遇し、勇気を出して話しかけたらお連れの人がたまたまこの本の編集者さんだったそうで。宮本さんは「自分より売れているミュージシャンに好きと言われると嬉しいけど、売れてない人に言われてもそうでもない」みたいな発言をしているらしく(まあ冗談なのでしょうが)、うりさんは自分がミュージシャンであることは明かさなかったそうです。うりさんと宮本さんのコラボなどもぜひ見てみたいですけどね。何より思っている相手に出会えるうりさんの引きの強さが凄いなと思いました。

ベースの南さんは「ISAN 旅するタイ・イサーン音楽ディスクガイド」という本を紹介してくれました。この本で紹介されているタイの音楽に興味はあるけど、タイ語で検索出来ないし、英語の検索にも引っかからないので内容を聞けずモヤモヤするとの話でしたが、非英語圏の文化へのアクセスに検索がネックになるというのはなるほどと思いましたね。Siriに聞くにも何て発音するのかわからない場合もありますしね。南さんはタイ映画の特集上映会があるのを知り、タイ音楽に触れられるかもと見に行ったらたまたま見た作品がぶっ飛んだ前衛的な内容だったらしく、よりモヤモヤしたというエピソードを語ってくれました。

小林さんは棋士村山聖を題材にしたノンフィクション小説「聖の青春」を紹介してくれました。小林さんは将棋を指している間だけ現実世界のことを忘れられるというくらい将棋が好きなのだそうで。小林さんの緻密なピアノプレイを聴いていると何だか合点がいきましたね。二手三手先を読みながら構築していく感じというか。「聖の青春」が映画化された際に村山聖役が松山ケンイチだったことについて「全然本人に似ていない、ドランクドラゴン塚地の方がぴったりだ」と小林さんは話していて、後で画像を検索したらなるほど塚地さんの迫真の演技だったら本人に迫れるかもとそのキャスティングの妙にも納得してしまった私です。三者三様の本の紹介が聞けて面白かったですね。

あと図書館つながりで言うと2月から北区の図書館の閉館を知らせる音楽とナレーションをうりさんが担当するそうです。図書館に閉館までいた経験は学生時代以来ないなあと思ってちょっとノスタルジーな気持ちになりました。これはぜひ北区まで聴きに行かねばと思った次第です。

貸切り図書館、次回はNRQ、yojikとwandaをゲストに迎えてお送りします。ヨーワンさんはバンド編成なのでイトケンさんも来ます。ぜひこちらもよろしくお願いしますということで。

2月10日(日)鎌倉moln

「貸切り図書館70冊目」

出演:NRQ/yojikとwanda(+itoken、服部将典吉田悠樹

開場18:00 開演18:30

 

前売り¥2800 当日¥3300(+1drink)

ご予約はmolnまで。

http://cloud-moln.petit.cc/banana/2848417

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