友よ、また会おう

もう3月も終わろうとしているのです。早いのです。独立してからというもの仕事量が莫大に増え、毎日目の回るような忙しさが続き、ひーひー言いながら馬車馬の如く(ばしゃうまと漢字で書くと山本山みたいに字面がシンメトリーになるのですね)ひたすら休みなく働いていたのですが、「きちんと休みを設けないと倒れるぞ!」とあやから注意を受け、強制的に休むようにしたら身体も楽になったし仕事の効率も自然と上がりました。オンとオフのスイッチの大切さを実感しているこの頃です。そんなオフの日にタカテツさんこと高橋徹也さんが鎌倉に遊びに来たので、折角だからとあやと3人で一緒にお寺巡りをして楽しみました。この日颯爽と鎌倉に現れた細身の青年タカテツさんは「これこの間のライブのお礼です!」と我々にレコードをプレゼントしてくれ。1月にタカテツさんがmolnに出演した際、あやがゲストシンガーとして歌ったお礼だと言うのです。こちらがお礼を言いたいくらいなのに律儀なお方なのです。タカテツさんは毎回何かしらレコードをくれるのですが、どれもセンスが良くて我が家の愛聴盤になるのです。「愛聴盤贈り人」という愛称を彼に捧げたい思いです。あいちょうばんおくりびと
そんな贈り人と散歩に繰り出しまして。この日は天気も良くお散歩日和で。人気のない裏道を歩き、小さな公園の桜を撮影したりしながら進んでいたら突然猫のような犬のような狸のような不思議な生き物に遭遇し。「え、ハクビシンじゃない?」「狸かな?犬にはみえないな!」と大騒ぎする我々。結局正体のわからぬままその生き物は逃げてしまったのですが、果たして何者だったのでしょうか。
そんな謎の生き物との遭遇もありつつ、風情ある鎌倉の小径を他愛もないお喋りをしながら歩き、鶴岡八幡宮をお詣りし。(八幡宮に長い時間手を合わせるタカテツさん。)そして八幡宮からまた風情のある通りを歩いているうちに「そろそろランチでも食べますか?」となり。一行はベルグフェルドという美味しいパン屋さんでトーストとサラダと紅茶(私とあやはワイン)をいただきました。「何名様ですか?」と聞かれ、あやが間違えて「4人です」と答えてしまい、水が4つ来たのですが、タカテツさんが「この水はさっきのハクビシンの分ですね」とフォローを入れておりました。本当にさっきの謎の生き物が同行していた可能性も捨て切れませんが。白いシャツに明るいイエローのカーディガンを羽織り紅茶を嗜むタカテツさんの姿がOLさんの昼休みの様相で、そういえば1月のライブの時に「OLさんみたいな生活がしたい」という発言をしていたな、あれはタカテツさん流のボケなのかなと思ったのですが、どうやら本気なのだなと悟った我々です。
その後お土産にお菓子など買い(チョイスがOL!)、また結構な距離を歩いて浄妙寺というお寺に行きまして。ここがあまり観光客が来ない穴場なのです。庭の花や寺の佇まいを愛でながら散歩し情緒を楽しむ我々。「う〜む、良いですねえ。決まった!」と喜ぶタカテツさん。この境内には枯山水を眺めながら抹茶を楽しめる茶屋があり。ここがまた風情があるのです。先客は高校生くらいの地味で大人しそうな女子3人組のみで、空いていて快適なのです。ここでは長い竹筒に耳を当てると井戸の水が滴る音が聞こえるという粋なアトラクションがあり、早速耳を傾ける我々です。「わー、水の音が聞こえる〜」と小さくはしゃぐタカテツさん。その後美味しい生和菓子と抹茶をいただくタカテツさん。その様子を写真に撮ったらオズマガジンの旅特集の如きOL感溢れる仕上がりでございました。店内にいた地味女子3人にあやが「写真撮りましょうか?」とスリーショットを撮ってあげると向こうさんも「撮りましょうか?」と申し出てくれて。「いいんですか〜」とこちらもスリーショットを撮ってもらいました。こんな交流も嬉しいものです。「ありがとうございました!」と大きな声で女子たちにお礼を言うタカテツさん。OLみたいな細身の青年が孤高の音楽家であることを彼女らは知る由もないのでしょう。
その後竹林が有名な近くのお寺にも足を運んだのですが、こちらはさっきとうって変わって観光客で溢れかえっており。竹林を愛でながらも「さっきの方が満足度高かったですね」「我々あっちを堪能出来て良かったですね」などと言い合い。竹林にヒョウ柄のスニーカーを置いて撮影しているEXILEもどきな輩を見かけて「ありゃないっすね!」と一刀両断なタカテツさん。侍なタカテツさんは刀が鋭いのです。ヒョウ柄のスニーカーを寺の竹林に置くような無粋な人はタカテツ侍に斬られてしまうのでお気を付け下さい。
その後もふらふらと寺を寄り道しながら、季節の花を愛でながら、写真撮影などしながら散歩をし。散歩ってこんな豊かなものなのだなとつくづく思った私です。猫を見かける度に「あ、猫だっ!」と騒ぐ我々をタカテツさんは猫クレイジーだと思ったことでしょう。散歩で猫を見かけるとテンションが上がるのです。
そしてミルクホールというレトロな内装のカフェでお茶をいただき。タカテツさんはミルク紅茶、我々はビールをいただきました。前回のライブの時にも言ったのですが、タカテツさんの柔らかな笑顔を見ていると性別を超越した菩薩のような存在に感じることがあるのです。それを言うと「それロック営業妨害だから!俺はロックのイメージで売ってるから!」と否定するのですが、いざギターを持って歌うとナイフのようにキレッキレなタカテツさんが、オフの時は菩薩の如き存在というのもギャップがあって素敵なのではないでしょうか。そもそもロック営業妨害って言葉何やねんと静かに思った私ですけどね。ろっくえいぎょうぼうがい。
そして夜は今日一日を振り返りながら美味しい魚料理など食べまして。タカテツさんは「じゃあまた!」と颯爽と去って行きました。そのうしろ姿に彼の新曲「友よ、また会おう」が大音量で流れていたのは言うまでもありません。
久しぶりに休日らしい休日を過ごしました。ギターの弦は張りっぱなしでは疲弊してしまうのです。たまに弛めるのも大事なのです。しかし我々の前に現れたあの謎の生き物の正体は一体何だったのでしょうか。また会えるのでしょうか。果たして

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