新幹線と太極拳

気が付けば8月なのです。早いのです。時の流れは。この勢いだともう来週辺り年末になっているのではないかと思われるほどの早さです。いや、早さというより速さと表した方が的確でしょうか。プロバドミントンプレーヤーの渾身のスマッシュ並みのスピードで日々が過ぎて行くのです。プロの放つスマッシュは新幹線よりも速いなんて話を聞いたことがあります。人の手で新幹線を超えるスピードが出せるなんて奇跡じゃあありませんか。

何しろ日々作業に追われて忙しいのですが、我が家の猫どもはあくまでマイペースに、スローに生きているのです。南佳孝よろしくスローなブギを奏でているのです。おそらく太極拳の達人の繰り出す腕並みのゆっくりなスピードで彼らの時は過ぎているのではないでしょうか。太極拳の達人の腕がスロー過ぎてそこに鳥が止まったなんて話を聞いたことがあります。人の手が宿り木になって鳥を飛翔からの休息に導くだなんて素敵じゃあありませんか。

ミル坊とココ坊はすっかり仲良しで毎日寄り添ったり追いかけっこしたりレスリングしたりコンビ活動に励んでいるのですが、ふわふわの生き物2匹が家の中でわちゃわちゃと好き勝手している様子は好ましいものです。平和そのものです。猫をこの世に生み落とした神的な存在に感謝せずにはいられません。こうして新幹線と太極拳のスピードが同じ家で交差しながら日々が過ぎて行くのかと思うと何だか不思議な気持ちになります。
先日は知人から猫のDIY家具のムック本の撮影で自宅と猫を貸して欲しいと頼まれ、人見知り全開のミル坊は難しいけど好奇心の塊であるココ坊ならいけるかもと快諾したのですが、いざ知人とカメラマンさんが我が家に来て撮影に及ぶとココ坊はモデルとして一流の働きをするに至ったのです。DIYの猫用かまくらやおもちゃなどに猫が興じる絵を撮りたいとのことで、私はココ坊お気に入りのじゃらしグッズを駆使し、カメラマンさんから「爪研ぎに乗っている絵を」とリクエストされれば「了解!(ラジャとルビを振って下さい)」とココ坊を巧みにそこに導き、爪研ぎに上った瞬間カメラマンさんが「カシャカシャカシャ!」と必殺の連写を繰り出し、「おもちゃと戯れる絵を」とリクエストされれば「了解(ラジャ)!」とココ坊を巧みにそこに導き、またカメラマンさんが「カシャカシャカシャ!」と必殺の連写でその刹那を永遠に閉じ込めるという名コンビプレーが続き、気が付けばあっという間に撮影は終了していたのです。私のココ坊使いとしての腕が一流であることがここに露見したのです。結果ナイスショットがたくさん撮れました。このムック本、発売は来年とまだ先なのですが(私の体感では来年などあっという間なのですが)、私の導きによって撮影されたココ坊の勇姿をぜひ見ていただきたく思う次第です。ちなみにミル坊は人見知り全開でソファの下に隠れっぱなしでした。
全然違う場所で生まれて、偶然鎌倉の我が家で一緒に暮らすことになった2匹なのに、本当の兄弟のように仲良く家族になるというのは奇跡のようで素敵じゃあありませんか。ご飯を待っているミル坊とココ坊の鳴き声が夏の空気を震わせる朝に私はそう思ったのです。

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