口裂け女と金竜飛

新型コロナウイルスの影響で、何とも落ち着かぬ日々ではありますが、手洗いうがいをこまめに行い、マスクを着用し、健康的に粛々と過ごしております。仕事をし、猫と戯れ、ハイボールを飲んでいる日々です。

行き交う人みなマスクをしていると、中にはひとりくらい口裂け女がいるのではないかと妄想するのですが、これだけマスク人口が広がると口裂け女としての個性が出せないし、裂けた口を披露する場面も少なく困っていることでしょう。縦読みすると「くちさけおんな」と読める文章をインスタで上げるなどして匂わせたりするのでしょうか。たまにマスク越しにも「この人綺麗だな」とわかる女性を見かけると、裂けた口を隠しているのかと疑ってしまいます。みんなそろそろマスクの下に秘密を隠し出しているような気がします。
調べたら口裂け女が大流行したのは1979年辺りだそうですね。次の年にはすぐに廃れたようですが。新型ウイルスの流行も口裂け女の噂の如く、すぐに収まると良いなと思っているところです。しかし当時は口裂け女騒動でパトカーが出動するなど、子供たちがパニック状態になったそうで。トイレットペーパーがないという不確かな噂で店頭から消えてしまう2020年の状況を見ると、当時からあまり日本人の体質は変わらないのだなと実感しますね。新型コロナは口裂け女が形を変えて現れたのかもしれません。


手を洗うことに意識的になると思い出すのは「あしたのジョー」に出てくる金竜飛というボクサーです。彼は朝鮮戦争の際、誤って自分の父親を殴り殺してしまったトラウマから、毎回試合が終わる度に一晩中手を洗うのです。洗っても洗っても血が落ちない妄想に取り憑かれて。それだけ手を洗えば金竜飛はインフルエンザにもならないし、免疫力も高いからコロナウイルスも大丈夫だろうなと思いながら金の如き丁寧さで手を洗っています。思えばリングで死んだ力石やパンチドランカーになったカーロスなど、あしたのジョーに出て来るボクサーってみんなどこか哀しいのですよね。ボクシングから足を洗ったマンモス西が一番幸せになるのです。手を洗うより足を洗う方が幸せになるという。落語のオチのようですが。
最近はすっかり春めいて来ました。花々も綺麗に咲いています。花は口裂け女のように「私、綺麗?」とは聞いて来ないですが、「綺麗だなあ」と口に出して愛でるようにしています。いつもと変わらぬ春ですが、いつもとは違う春です。

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