低音仙人、象さんを積む

緊急事態宣言が延長され、それに伴いマンボウだかヤンボウだかの指定区域が拡張されたせいで「隣町ではお店で酒が飲める」現象が消滅しました。飲ん兵衛としてはやるせないのです。あの街この街どこでも禁酒状態です。「吉田類の酒場放浪記」や「町中華で飲ろうぜ」などの酒飲み番組を好んで鑑賞しているのですが、この期間、番組のロケはどうなっているのだろうと心配しています。あらゆる娯楽が自粛を強いられているのに五輪だけは強行されようとしているおかしな世の中です。酒でも飲まないとやってられないのです。

この頃はよく新調したばかりのベースを弾いているのですが、ギターと違ってベース1本だけだと独奏として物足りなく、しかもアンプを通さないと鳴らないという構造だし、リズムやメロディを鳴らす楽器と寄り添わないと活きないというこの感じ、つくづくバンドをやりたくなる楽器ですね。ベースを買ってバンドを組まないで家でひとりで弾いています、宅録もしません、音源に合わせての演奏もしません、単独で低音をぶんぶん鳴らしているだけで楽しいです、という低音仙人みたいな人っているのでしょうか。ストイックに低音だけを単独で鳴らし続ける孤高の仙人。たまに何かのフレーズをひとりで繰り返し練習している時に「あ、今自分、低音仙人になってる?」と思う時はありますけどね。低音仙人と聞いてイメージするのはMUTE BEATのベーシストだった松永さんでしょうか。(完全に見た目で)
ベース弾き語りという物珍しいスタイルで有名な芸人のはなわさんですが、ロケなどではアンプ内蔵のZO-3というベースをよく使っていましたね。エレキ楽器はアンプがないと鳴らないという弱点がありますが、その点ZO-3は画期的な存在だったのではないでしょうか。アンプを持ち歩かないでも演奏出来るという。名前の由来は形が象さんに似ているからだそうですが、海外では「NOMAD」という名称なのだそうです。元々遊牧民を意味するノマドですが、最近は決まった職場を持たないで移動先で仕事をするスタイルの人のことを称したりしますね。ネット環境さえあればどこでも仕事ができるという。アンプさえあればどこでも演奏出来る、遊牧民のように移動しながら演奏出来るという点ではノマドという名前の方がぴったりな気もしますが、ZO-3という親しみ易い名前だったからこそ、ここまでヒットしたのでしょう。丸みを帯びた可愛らしい造形は「ELEPHANT」という感じでもないし、まさに「象さん」という感じ。(しかし猫さんとか犬さんとか言わないのに、なぜ象にだけはさん付けなのでしょう)
コロナ禍でリモートワークが推奨され、ますますノマド化が進んでいる昨今ですが、逆にこの現象を「象さん」と呼んでみるのはどうでしょうか。「俺今、象さんだからさ。会社行かないでカフェで仕事してるわ」みたいな。スタバでパソコン開いている人がみな象さんだったら今より少しは平和になるような気もします。街のあちこちに象さん。勿論私も象さんです。
英語で「see the elephant」って「世を知る、経験を積む」という意味なのだそうです。昔の人はほとんど本物の象を見たことがなく、象を見たことがある人は経験豊富だということらしいです。象さんはそんな意味にも使われているのですね。
そんなこんなで象さんしつつ、ベースを弾きつつ5月を過ごしています。お店で酒が飲めるようになるのはいつのことでしょうか。果たして。f:id:fishingwithjohn:20210518082352j:image
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