油壺マリンパーク、ONE NITE BLUES

京急油壺マリンパークが今年9月に閉館になると聞き、そういえば1回もいったことがないなと思い、この間訪ねてみたのです。三崎口からバスで15分なので、鎌倉からだと1時間半くらいでしょうか。前にmolnの展示のために永井宏さんの作品を借りに三崎口に来たことがあるのですが、その時以来です。

三崎口へ行くには途中久里浜から京急に乗り換えるのですが、久里浜と聞くといつも仲井戸麗市の「久里浜年少〜」と歌われる「ONE NITE BLUES」という曲を思い出してしまいますね。久里浜の少年院は「あしたのジョー」でジョーが収監されたという設定なので、「ジョーははるばるここまでやって来て力石と会うのか」と感慨深くなりました。東京からだとまさにはるばるといった距離感ですよね。そういえば電車で向かい側に座っていた大学生らしき男子が力石にちょっと似ていて、「力石の生まれ変わりか?」なんて思いながら電車に揺られておりました。

三崎口の駅前は小さいセブンイレブンくらいしかなく、本当に何もないのです。そこからバスに乗ってようやく油壺マリンパークに辿り着きまして。こちらの施設、創業が昭和43年だそうですから私よりも年上です。あやは幼少期の頃1回だけ来たことがあるそうですが、水族館としてはベテランといった感じでしょう。約450種6000点の生き物が展示されているそうです。わんちゃんも一緒に連れて行ける水族館とのことで、犬連れの方が多数いらっしゃいましたね。
早速会場内に入り、様々なお魚くんたちを見て回る我々。こちらにはたくさんのサメの生体や標本を見られるので、サメ好きな方は必見ではないでしょうか。特に円柱上の建物の壁面に設置された回遊水槽では巨大なサメがこちらに向かって泳いで来るのを眺めることが出来て、迫力満点です。大小たくさんの魚の泳ぐ姿を見られてまさにお魚天国です。我々は「わーイカだ〜」「熱帯魚だ〜」「クラゲだ〜」とパシャパシャスマホで写真を撮っていたのですが、同じようにパシャパシャと本格的な一眼レフのカメラで撮るおじさんが我々と同じペースで回っており。やけに太ったおじさんでそれこそ「あしたのジョー」のマンモス西みたいな体型なのです。「何だこのおじさん、マンモス西の生まれ変わりか?」と思って見ていたのですが、西と違うのはこのおじさん、やけに臭うのです。そう、体臭がきついのです。年齢は60代前半といったところでしょうか。年齢的にはむしろ丹下段平に近いのですが、彼が近くに来ると「あ、臭いな」とすぐにわかるのです。私は西を避けながら展示を見て回ったのですが、なぜか気付くと彼は近くに来て撮影をしているのです。私たちに懐いているのでしょうか。もはや「西を避けながらお魚を見るゲーム」をプレイしているかのようでしたが、それでも楽しめましたね。途中「お魚の学校」みたいな魚ショーもあったり。こちらは昭和な雰囲気で懐かしい気持ちになりました。
外に出るとペンギンくんがいたり、カワウソくんがいたり、絶滅危惧種の生き物を展示するスペースもあったり。ペンギンを撮影していたらぷ〜んと臭って来たので「あ、うんちでもしたのかな」と思って横を見たら西がいたので「何だ!またお前か!」となる場面などありつつ。こちらのマリンパーク、結構広大で三浦の海も眺めることが出来るし、くつろげるスペースもたくさんあるし、のんびりするには最高な場所じゃないでしょうか。(西さえ離れていてくれればですが。)
こちらの施設、レストランや売店もあり、売店では三浦のイチゴを使ったアイスなど販売されており。あやが「イチゴのアイスを食べたい!」と言うのでベンチに座って食べていたら、ふと見覚えのある人物が目の前にいたのです。そう、先ほど電車の向かい側に座っていた力石似の男子なのです。力石がひとりでイチゴのアイスを黙々と食べているのです。何なのでしょう、ここはマリンパークではなくてあしたのジョーパークなのでしょうか。力石は生前減量に苦しみ白湯さえ飲まなかったから、生まれ変わってイチゴのアイスをむさぼっているのでしょうか。しかし西もそうですが力石も男子ひとりで水族館に来ている様子で、家族連れ、犬連れでも楽しめるし、ひとりでも楽しめる懐の深い場所なんだなと思った次第です。
そして本日のメイン、イルカとあしかのショーが始まるとのことで、別会場へ移動し。ここでも我々の斜め前に陣取る西。もう一緒のチームみたいなものです。そして始まったショーですが、いやー素晴らしかったですね。指示通りに手を振ったりピアノを弾いたりするあしかくんに、アクロバティックに水中からジャンプし旋回し鳴き声を上げるイルカくん。息の合ったパフォーマンスに「おお〜」と感嘆してしまいました。イルカって本当に頭が良いし、ここまで人間に懐くんだなあとその愛情にグッと来てしまいました。隣では感動で泣いているあや。
油壺マリンパーク、昭和な懐かしい風情もありますが、とても管理の行き届いた現役の水族館といった感じで、とても心地良かったですね。老朽化のため9月に閉館とのことですが、きちんと最後まで成績を残して綺麗に引退していくスポーツ選手のような矜持を感じました。あしたのジョーのように真っ白に燃え尽きてリングを去るのでしょう。まだ閉館まで時間があるので、お近くの方はぜひ訪ねてみてはいかがでしょうか。
それにしてもマンモス西も力石もたくさんの生き物を前に一体何を思ったのでしょうか。久里浜年少、ONE NITE BLUES。

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