与太者の唄 葛飾柴又散策

先日は大人の遠足で葛飾柴又へ。最近netflixで「男はつらいよ」をよく見ているので、聖地巡礼ということで映画の舞台である帝釈天を訪問しました。大学生の頃に訪ねて以来なので、20数年振りです。

柴又駅に降り立つと寅さんと妹のさくらの銅像がお出迎え。早速記念撮影する私。寅さん、さくらが劇中に登場するマドンナを迎えたり見送ったりした柴又駅に久々にやって来て感激する私。その足で参道を進み帝釈天を参拝。劇中の源公や御前さまの姿が私にはうっすら見えました。
帝釈天敷地内の彫刻ギャラリーは圧巻の見応え。匠の技に見入りました。庭園も美しいし、回廊も見事。人も少ないし癒しのスポットとしておすすめです。ここで半日は過ごせます。
その後近くの山本亭へ。ここも見事な日本家屋と庭園。ゆっくりお茶も飲めるのでここでも半日は過ごせます。
その後は寅さん記念館へ。とらやとタコ社長の印刷所がそのまま再現されているので、映画の世界へ入り込めます。この日は小学生の団体が遠足に訪れており、大騒ぎしていてゆっくり見られなかったのが残念。小学生が寅さんクイズにキャッキャと興じていましたが、君たち映画見たことないやろ(笑)。寅さんファンとおぼしきソロおじさんがとらやのセットを眺めながらしみじみしておりました。タコ社長の印刷所、活版印刷の機械がそのまま展示されていて「銀河鉄道の夜」のジョバンニのアルバイトのシーンを思い出したりしました。ここで働くひろし(さくらの夫)は黙々と言葉を紡ぎ印刷し、寅は流々と言葉を空に放ち物を売り捌く。
男はつらいよ」は安定の予定調和で、毎回旅先でマドンナと知り合い恋に落ちて柴又に帰って来てとらやのおいちゃんおばちゃん、妹のさくらとタコ社長、ひろしや満男を巻き込んでひと騒動あって、結局フラれてまた旅に出るというワンパターンなのですが、私は古典落語を嗜むように鑑賞しています。
今見ると寅さんの無知、無教養、無責任、傍若無人振りは酷いし、昭和のコンプラどうなってんだよという差別やハラスメントの横行が酷いのですが(家事と男の世話するのは女性という悪しき家長制度よ)、それを愛嬌と可愛げでカバーする渥美清の役者としての身体性が見事で、他の役者の巧みな演技と佇まい、哀愁の音楽と帝釈天の鐘の音や昭和の地方の美しい画や間の良い会話などで「何となく良い映画だったな〜」という読後感に仕立て上げる山田洋次監督の手腕に惹かれついつい見てしまうのです。昭和に幼少期を過ごした者に響くサウダージ。 
現代社会からのはぐれ者の寅さんに学ぶ生き方みたいな持ち上げる論評をたまに見かけますが、あんなやつ家族にいたら迷惑なだけの単なる与太者です(笑)。でも与太者の存在すら許されないような現代社会の空気は息苦しいよなと寅さんを見ながら思う私なのです。寅さんが居てあなたも居る。みんな居て良い緩やかかつ穏やかな社会。

展示を見た後はお隣のTORA CAFEで寅チーノを飲んで江戸川沿いを散歩して、寅さんが旅に出るかのような仕草で柴又を後にしました。初秋の良い遠足になりました。

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海流の沸点 貸切り図書館84冊目

貸切り図書館84冊目、高橋徹也さんのライブも無事終了しました。たくさんのご来場ありがとうございました。

猛暑の中さわかやな風のように颯爽とmolnに現れたタカテツさん、恒例となったレコードプレゼントし合いをしつつ、談笑などしつつリハーサルを行いまして。(タカテツさんが長年探していたレコードを今回プレゼント出来て良かったです。)

リハからギターの鳴りも良く、久々にタカテツさんの歌声をmolnで聴けるのだなと早くも感慨深くなりましたね。

そして開場していっぱいのお客さんの前に現れたタカテツさん、ライブは壮大な「ブラックバード」からスタート。すぐに会場をタカテツワールドへ引き込みます。続けて歌われた新曲「美少年」では私のユニットfishing with johnの楽曲「草原ヘッドフォン」について言及いただき。両方とも歌詞に自転車に乗る少年が出て来るという共通点を語ってくれて嬉しかったですね。(「草原ヘッドフォン」はサブスクで聞けますのでぜひ。)

本の紹介コーナーではまずは好きな短編括りということで、村上春樹「中国行きのスロウボート」とモーパッサンモーパッサン短篇選」を紹介してくれました。今回は深夜ラジオのような丁寧な語り口でじっくりと本の紹介をしてくれて、とても聞き応えありましたね。その後短編ぽい曲というチョイスで数曲歌ってくれたのですが、「夢の中へ 霧の中へ」という幻想的な曲がとても良かったです。(そして予定になかったという「かっこいい車」に沸く客席!)

その後は最近読んで印象的だったというカーソン・マッカラーズ「心は孤独な狩人」「カーソン・マッカラーズ短篇集」を紹介してくれました。女性作家の心の内の激情について語るタカテツさん。その流れで披露してくれた「怪物」の弾き語りが圧巻でしたね。ちょうど外の雨の音と雷鳴がディストーションのように響きに共鳴しておりました。molnライブの醍醐味です。

その後はタカテツさんと言えばのヘミングウェイ著書紹介コーナー。その流れからのヘミングウェイの世界に共鳴するかのような海や夏、夜や車の不穏な風景が浮かぶ楽曲群が本当に素晴らしかったです。美しい悪夢のような言葉と旋律とコード感。海辺を旅している気分を味わいました。

その後は晩年についてを描いたポール・オースター「ブルックリン・フォリーズ」とヘミングウェイ「移動祝祭日」を紹介。この日はタカテツさんのお母さんの命日ということもあり、少し前に亡くなられたお父さんの話など、家族への想いを語ってくれました。7年前まさにタカテツさんのお母さんが亡くなった翌日がmolnのライブの日で、その時はそんなことおくびにも出さず素晴らしいライブをしてくれたのですが、そんな縁もあり普段語らないプライベートな話をこの会場でしてくれたのだと思います。その後歌ってくれた「feeling sad」

「夕暮れ星」はとても沁みましたね。彼の両親もきっとmolnにいて一緒に聞いてくれていたように思います。

その後はこの日紹介した本をお客さんにプレゼントするじゃんけん大会in鎌倉2023(笑)が開催され。タカテツさんとお客さんとのじゃんけん勝負に会場は大盛り上がりでした。そんな盛り上がりに乗じてアンコールではmoln店主あやがコーラスで参加し「Summer Soft Soul」を熱唱。暑いそして熱い夏の一夜を締めくくりました。

終演後はタカテツさんと軽く打ち上げをし、再会と再開に乾杯しました。山田氏とタカテツさんは今年友達記念10周年という名目でライブを行っていますが、山田氏とタカテツさんが友達になったとされる夜は私も同席していたので(いきなりタカテツさんと2人きりも何なのでという理由で私も誘われた次第)、私も同様に友達10周年なんだなあという話をしみじみしました。そして山田氏との打ち上げでも話したけど、友達って良いなあと思った次第です。また来年も楽しみです。

そんな貸切り図書館は次回は猫界の貴公子、近藤研二さんの登場です。そちらもよろしくお願いしますということで。

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長期休暇の夜 貸切り図書館83冊目

貸切り図書館83冊目、山田稔明さんゲストの回は満員御礼で無事終了しました。たくさんのご来場ありがとうございました。

山田氏のmolnライブは実に4年振りでしたが、夏の歌満載のセットリストと本にまつわるトークで濃密な2時間となりました。

ライブはまだ夏の日差しが残る中、「夏の日の幻」からスタート。草とten shoesに提供してくれた「冬の日の幻」の元曲から始めるという彼なりの粋な演出でしょうか。(この日は草テンのアユミさんも会場で見ておりました。)そして「何もない人」「長期休暇の夜」と続く夏の青春歌のキラキラっぷりと外の蝉の声の相性の良さよ。(「長期休暇〜」の歌詞の通りこの日本当に花火を持って遊びに来ていた山田氏。)

そして早速の本の紹介コーナーではピーター・キャメロン著「ウィークエンド」と「ママがプールを洗う日」を紹介してくれました。アップダイクと共にゴメス初期時代に歌詞を書くのにインスパイアされた作品だそうで、一部朗読もしてくれました。

その後ゴメスアニバーサリーに合わせて書き下ろしたという新曲「レモンティーと手紙」と「余韻」を歌ってくれたのですが、これが2曲とも素晴らしかったですね。ゴメスの持つ青春感を大人の高度な筆致で書き上げたまさに手紙のような曲でした。

そして鎌倉と言えばサザンの「鎌倉物語」。彼のギタレレで涼しげに歌われるサザンもとても良かったですね。ちょうど日も沈む頃の「夕日に別れを告げて」も沁みました。

そして草テンの曲「桃色爆弾」に呼応するかのように「桃色の空」を歌う山田氏。夏の海辺の桃色の空の情景が浮かぶ歌唱でした。桃色爆弾という言葉を作ったあやもしみじみと喜んでおりました。

そして次の本の紹介コーナーから私もステージに合流し一緒にトークを。ミュージシャン劔樹人さんの書いた怪談漫画「怪のリディム」が面白いと力説する山田氏。劔さんの在籍するバンド、あらかじめ決められた恋人たちへはfishing with johnと一時期レーベルが一緒でメンバーとも交流があり、山田氏にこれだけ響いてくれて妙な嬉しさがありましたね。

あと前々から私も彼から推薦されていた伊藤聡著「電車の窓に映った自分が死んだ父に見えた日、スキンケアはじめました。」も紹介してくれました。コロナ禍にスキンケアに目覚めたという山田氏によるコスメトークに会場は大ウケでした。韓流ドラマやK-popからじゃなくコスメから韓国にアプローチするという山田流の独自さよ。私もラトビアに行っている間は乾燥していたので毎日パックをしており、スキンケアに少し目覚めたタイミングなので参考になりました。

その後私もベースで演奏に加わり「glenville」「hanalee」「光の葡萄」の3曲を。例によって前日に「明日ベース弾かない?」と提案されたのですが、ギターとベースという編成は新鮮でしたね。バンド編成とはまた違った響きがあって良い感触でした。また機会あればやりたいです。

そして私が捌けた後はサニーデイ・サービスの本、北沢夏音著「青春狂走曲」と曽我部さんの「晴れた日には君の好きなレコードを」を紹介してくれました。コロナ禍の間に生まれたという曽我部さんとの交流話が興味深かったですね。(曽我部さんも以前貸切り図書館に出演してくれました。)その流れで披露してくれたThe Smiths「There is the Light that Never Goes Out」のカバーもとても良かったです。

そして今読んでいる本としてミシェル・ザウナー著「Hマートで泣きながら」を紹介してくれました。アメリカ人と韓国人のハーフである彼女が韓国料理を通じて母を回顧するという内容だそう。彼女のユニットJapanese Breakfastは私も好きで聴いていたので、読んでみたくなりましたね。(ここでも韓国の話題が出て繋がるというトーク構成!)

その後「小さなハートブレイク」と「memoria」と続き本編は終了。アンコールは「high tide」。鎌倉の夏の海と会場が繋がるような波音が印象的でした。そして「セラヴィとレリビー」でライブは大団円を迎えました。お客さんも喜んでくれていたようで良かったです。

そしてライブ後は美味しいご飯を食べながら近況報告など。その後「花火を持って遊びにゆくよ」の歌詞の通り彼が持参してくれた花火をささやかに行いました。(ささやかなのが大人にはちょうど良い。)

その後我が家にも立ち寄ってくれて、例によってミルココにシャーシャー言われながら挨拶してくれました。「俺はシャーなんて怖くないんだぜ〜」とカメラを向ける山田氏。滅多に怒らないココ坊からもシャーを引き出すという、シャー生産者としての力量を見せつけられました。

こんな夏休みみたいな一日があって良かったです。ご来場のお客さんもありがとうございました。貸切り図書館、次回は8/26に高橋徹也さんが登場します。こちらもぜひにということで。f:id:fishingwithjohn:20230822094623j:image
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ミル坊モデルデビュー

先日は絵本の取材と打ち合わせで、彫刻家、画家のはしもとみおさんが我が家に来てくれました。今回はカメラマンのかくたみほさんも一緒に。
大の仲良しだというみおさんとみほさん、私はfishing with johnのジャケ写で、あやもオズマガジンの取材などでみほちゃんにお世話になっており、今回みおさんの付き添いという形で来てくれました。(絵本の仕事と関係なくプライベートで・笑)
今回はしもとみおさんが挿絵を担当される絵本は保護猫がテーマで、絵を描く際のモデルとしてミル坊を選んでいただき、すでに何度か取材に来てもらったのですが、我々が過去にインスタに上げた数々のミル坊写真がみおさんの手によって絵として生き生きと蘇っていて、原画を生で見て感動しましたね。どれも本当に素晴らしく。
さらにイメージ写真を追加で撮るためにみんなで協力してミル坊を撮影したり、その場でみおさんがスケッチしたり、ミル坊もモデルとして頑張ってくれて、何とか形が見えました。(みほちゃんによる画面の作り方や撮影の角度などのプロのアドバイスが役に立ちました。)今から絵本の完成が楽しみです。
我々今度台湾に行くので、みほちゃんから台湾のおすすめのお店情報を聞いたり、みほちゃんが取材のためアルプスの少女ハイジを見返さないといけないんだよね〜と話していたので私所有のハイジのDVD全13巻を貸してあげたりなど色々交換も出来ました。(今度ハイジの取材でスイスに行くのだそう)
「何か友達の家に遊びに来てご飯食べてお喋りしてDVD借りて帰るって夏休みみたい〜」と言いながら帰って行きました。本当に夏休みみたいで楽しかったです。
絵本の完成までの様子はみおさんのインスタなどをぜひご覧下さい。とても良い作品になりそうです。ミル坊のモデルデビューです!f:id:fishingwithjohn:20230815133420j:image
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夏のシンクロ 貸切り図書館82冊目

貸切り図書館82冊目、カーネーション直枝政広さんのライブも無事終了しました。たくさんのご来場ありがとうございました。

調べたら前回出演いただいたのは2020年1月だったので(まさにコロナ直前)、実に3年半振りのライブでした。その間に直枝さんの髪は綺麗な金髪になっていたけど(白髪が黄色っぽく見えるだけだよとのことでしたが)、その美声は変わらず。そして1年かけて調整したというマーチンのアコギの鳴りも良く、リハーサルから感激していた私でした。

開場して満席のお客さんを見るなり「あれ、後ろの人たち見えにくいよね?」と椅子を高めのスツールに変える直枝さん。「俺がコレクターズくらい足が長かったら良かったけど!」と客席の笑いを取りつつ、ステージは始まりました。

予告通り夏の曲が多めのセットリストで、「市民プール」や「1/2のミッドサマー」など暑い日にぴったりの曲が沁みました。コーラスのように窓の外の蝉の声が聞こえて来たり、「幻想列車」では電車の走る音が被るなど、外音とのシンクロがとても良い雰囲気でした。特に「霧のスーヴェニール」の「次の列車に乗るこの駅から」のくだりで本当に次の列車がホームに到着した時は「え、直枝さんひょっとしてJRと打ち合わせした?」と思わされるほどのナイスなタイミングでした。

本の紹介のくだりではコロナ禍の間ハマったという韓流ドラマの話から「マイ・ディア・ミスター〜私のおじさん〜」のOSTを。直枝さんお勧めの韓流ドラマをメモするお客さんたち。私もコロナの間ハマったクチなので勿論メモです。そして直枝さんと言えば演芸。立川談志の「談志の日記1953 17歳の青春」を紹介してくれました。日記には女の子のことばかりで落語のことはあまり書かれてないとのことでしたが、それでもちゃんと稽古してあれだけの落語をしていたのだから凄いと直枝さん。直枝さんはコロナで2週間入院していたそうですが、その間落語家さんの本をたくさん買って読んで励みにしていたそう。

そして前衛短歌にもハマったそうで、塚本邦雄の「驟雨修辞学」と葛原妙子の「葛原妙子歌集」を紹介してくれました。難しい漢字の読みを調べながら朗読してくれましたが、短い文字数に凄い世界観が埋め込まれていました。私は穂村弘という歌人が好きで、彼がよくエッセイで塚本邦雄の短歌を引用しているので知っていたのですが、現代短歌を飛ばしていきなり塚本邦雄や葛原妙子に辿り着く直枝さんの言葉へのアンテナが凄いなと思いました。

そんな本にまつわるトークをしながら(なぜか歯ブラシの話に脱線したりしながら)ライブは進み。レアな「空色のコンビナート」や原田真二さんのカバー、「いつかここで会いましょう」や「JUICY LUCY」など充実のセットリストを堪能出来ました。繊細なアルペジオからグルーヴ感溢れるストロークまで、改めて直枝さんはギターの名手だなとほれぼれしましたね。来週からカーネーションのレコーディングも始まるそうで、新譜も楽しみになりました。このほどアナログでリイシューされた名盤「LIVING/LOVING」にサインをいただき記念撮影をして貸切り図書館の再開を実感しました。(あやは前回の友部さんライブを風邪で欠席してるので今回が再開後初です)

この日の夜は東海道線横須賀線が止まって帰宅難民が発生したそうですが、ご来場のお客さんは大丈夫でしたでしょうか。(さすがの直枝さんもこれはJRと打ち合わせ出来なかった模様)

今回来られた方も残念ながらチケット入手出来なかった方も、ぜひまたいつかここで会いましょう。次回の貸切り図書館は8/12山田稔明さんの登場です。こちらもよろしくお願いします!f:id:fishingwithjohn:20230808104357j:image
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再開と再会 貸切り図書館81冊目

貸切り図書館81冊目、友部正人さんのライブも無事終了しました。たくさんのご来場ありがとうございました。4年振りの貸切り図書館でしたが、molnの空間が音楽で満ちる光景を再び見られて感慨深かったです。

友部さんと奥さんのユミさんと会うのも4年振りでしたが、会うなりこのぽっかりと空いたコロナ禍の隙間を埋めるようにお互いの話をあれこれし盛り上がりました。今後こういうアーティストさんたちとの再会がずっと続いて行くのだろうなと改めてライブの再開を嬉しく思いました。

そんなタイミングなのにあやが夏風邪でダウンし不在というのもらしいと言えばらしいですが。「最近子供たちの間で夏風邪流行ってるんだって。あやちゃんはまだ子供だから流行りに乗ったんじゃない、アハハ〜」と豪快に笑うユミさん。その後「家で寝てるあやちゃんに動画で励ましのメッセージ送ってあげようよ〜」と提案し送ってくれるユミさん。その優しさにあやは家で感激していたそうです。いつも明るい太陽のような方です、ユミさん。

そんなこんなで始まったライブ、「にんじん」「遠来」「朝は詩人」など40年のキャリアをまたがる名曲をたくさん披露してくれました。そんな中でもコロナ以降に作ったという新曲「銀座線が消えちゃった」がとても心に響きました。コロナが落ち着いて久々に渋谷駅に行ったら様変わりし過ぎて銀座線乗り場を見失った体験をユーモアに描いているのですが、私も渋谷駅で同じような体験をしたので共感してしまいました。「街はどんどん変わって行く 人々を置いてけぼりにして」という一節が現在批判を浴びている神宮外苑の再開発のことなどもよぎり、こういう視点が友部さんらしいなと感動しましたね。

その後貸切り図書館恒例の本の紹介のコーナーでは高階杞一著「早く家に帰りたい」と「千年の歓喜と悲哀 アイ・ウェイウェイ自伝」の2冊を紹介してくれました。元々ユミさんが好きだったという詩人高階さんの詩を友部さんが朗読してくれたのですが、友部さんの朴訥とした語り口も相まってとても良かったですね。アイ・ウェイウェイは父が詩人、自身は芸術家という立場で中国の国家権力の弾圧を受けて来た歴史が生々しく語られているのですが、友部さんの語りで紹介してくれてとても興味が湧きました。国家権力のよろしくない横行は日本も似たようなものじゃないかと聞きながら思いましたけどね。

そしてアンコールは名曲「一本道」からの「ぼくは君を探しに来たんだ」でフィナーレを迎え。素晴らしいステージとなりました。4年振りとなる貸切り図書館の第一弾として大成功だったのではないでしょうか。

終演後に友部さんに75年発売の「誰もぼくの絵を描けないだろう」の裏ジャケにサインをいただきました。若き日の坂本龍一さんと友部さんの2ショットが裏ジャケに映っている印象的なアルバムです。(このアルバムが教授の録音盤デビューなのです。)

「私が坂本龍一ってサイン書いてあげようか?」とユミさん。坂本さんと同じく今年亡くなった鮎川誠さんとここ数年バンドを組んでいた友部さん、そのバンドの曲も歌ってくれましたが、「周りの人たちみんな次々に亡くなっていくよ」と寂しそうにしておりました。

終演後には4年振りの再会の喜びを赤ワインで祝いました。(ワイングラスの隙間から覗いてみるとそこには幸せがありました。幸せはほっぺたを寄せ合っておりました。)色々な話をしてお見送りの際、「じゃあまた来年!」と友部さんと強い握手を交わしました。特別な一夜となりました。

次回貸切り図書館はカーネーションの直枝さんが登場です。直枝さんにお会いするのも4年振り。再開は再会を呼んでくれますね。

再開と再会 貸切り図書館81冊目

貸切り図書館81冊目、友部正人さんのライブも無事終了しました。たくさんのご来場ありがとうございました。4年振りの貸切り図書館でしたが、molnの空間が音楽で満ちる光景を再び見られて感慨深かったです。

友部さんと奥さんのユミさんと会うのも4年振りでしたが、会うなりこのぽっかりと空いたコロナ禍の隙間を埋めるようにお互いの話をあれこれし盛り上がりました。今後こういうアーティストさんたちとの再会がずっと続いて行くのだろうなと改めてライブの再開を嬉しく思いました。

そんなタイミングなのにあやが夏風邪でダウンし不在というのもらしいと言えばらしいですが。「最近子供たちの間で夏風邪流行ってるんだって。あやちゃんはまだ子供だから流行りに乗ったんじゃない、アハハ〜」と豪快に笑うユミさん。その後「家で寝てるあやちゃんに動画で励ましのメッセージ送ってあげようよ〜」と提案し送ってくれるユミさん。その優しさにあやは家で感激していたそうです。いつも明るい太陽のような方です、ユミさん。

そんなこんなで始まったライブ、「にんじん」「遠来」「朝は詩人」など40年のキャリアをまたがる名曲をたくさん披露してくれました。そんな中でもコロナ以降に作ったという新曲「銀座線が消えちゃった」がとても心に響きました。コロナが落ち着いて久々に渋谷駅に行ったら様変わりし過ぎて銀座線乗り場を見失った体験をユーモアに描いているのですが、私も渋谷駅で同じような体験をしたので共感してしまいました。「街はどんどん変わって行く 人々を置いてけぼりにして」という一節が現在批判を浴びている神宮外苑の再開発のことなどもよぎり、こういう視点が友部さんらしいなと感動しましたね。

その後貸切り図書館恒例の本の紹介のコーナーでは高階杞一著「早く家に帰りたい」と「千年の歓喜と悲哀 アイ・ウェイウェイ自伝」の2冊を紹介してくれました。元々ユミさんが好きだったという詩人高階さんの詩を友部さんが朗読してくれたのですが、友部さんの朴訥とした語り口も相まってとても良かったですね。アイ・ウェイウェイは父が詩人、自身は芸術家という立場で中国の国家権力の弾圧を受けて来た歴史が生々しく語られているのですが、友部さんの語りで紹介してくれてとても興味が湧きました。国家権力のよろしくない横行は日本も似たようなものじゃないかと聞きながら思いましたけどね。

そしてアンコールは名曲「一本道」からの「ぼくは君を探しに来たんだ」でフィナーレを迎え。素晴らしいステージとなりました。4年振りとなる貸切り図書館の第一弾として大成功だったのではないでしょうか。

終演後に友部さんに75年発売の「誰もぼくの絵を描けないだろう」の裏ジャケにサインをいただきました。若き日の坂本龍一さんと友部さんの2ショットが裏ジャケに映っている印象的なアルバムです。(このアルバムが教授の録音盤デビューなのです。)

「私が坂本龍一ってサイン書いてあげようか?」とユミさん。坂本さんと同じく今年亡くなった鮎川誠さんとここ数年バンドを組んでいた友部さん、そのバンドの曲も歌ってくれましたが、「周りの人たちみんな次々に亡くなっていくよ」と寂しそうにしておりました。

終演後には4年振りの再会の喜びを赤ワインで祝いました。(ワイングラスの隙間から覗いてみるとそこには幸せがありました。幸せはほっぺたを寄せ合っておりました。)色々な話をしてお見送りの際、「じゃあまた来年!」と友部さんと強い握手を交わしました。特別な一夜となりました。

次回貸切り図書館はカーネーションの直枝さんが登場です。直枝さんにお会いするのも4年振り。再開は再会を呼んでくれますね。