夏のシンクロ 貸切り図書館82冊目

貸切り図書館82冊目、カーネーション直枝政広さんのライブも無事終了しました。たくさんのご来場ありがとうございました。

調べたら前回出演いただいたのは2020年1月だったので(まさにコロナ直前)、実に3年半振りのライブでした。その間に直枝さんの髪は綺麗な金髪になっていたけど(白髪が黄色っぽく見えるだけだよとのことでしたが)、その美声は変わらず。そして1年かけて調整したというマーチンのアコギの鳴りも良く、リハーサルから感激していた私でした。

開場して満席のお客さんを見るなり「あれ、後ろの人たち見えにくいよね?」と椅子を高めのスツールに変える直枝さん。「俺がコレクターズくらい足が長かったら良かったけど!」と客席の笑いを取りつつ、ステージは始まりました。

予告通り夏の曲が多めのセットリストで、「市民プール」や「1/2のミッドサマー」など暑い日にぴったりの曲が沁みました。コーラスのように窓の外の蝉の声が聞こえて来たり、「幻想列車」では電車の走る音が被るなど、外音とのシンクロがとても良い雰囲気でした。特に「霧のスーヴェニール」の「次の列車に乗るこの駅から」のくだりで本当に次の列車がホームに到着した時は「え、直枝さんひょっとしてJRと打ち合わせした?」と思わされるほどのナイスなタイミングでした。

本の紹介のくだりではコロナ禍の間ハマったという韓流ドラマの話から「マイ・ディア・ミスター〜私のおじさん〜」のOSTを。直枝さんお勧めの韓流ドラマをメモするお客さんたち。私もコロナの間ハマったクチなので勿論メモです。そして直枝さんと言えば演芸。立川談志の「談志の日記1953 17歳の青春」を紹介してくれました。日記には女の子のことばかりで落語のことはあまり書かれてないとのことでしたが、それでもちゃんと稽古してあれだけの落語をしていたのだから凄いと直枝さん。直枝さんはコロナで2週間入院していたそうですが、その間落語家さんの本をたくさん買って読んで励みにしていたそう。

そして前衛短歌にもハマったそうで、塚本邦雄の「驟雨修辞学」と葛原妙子の「葛原妙子歌集」を紹介してくれました。難しい漢字の読みを調べながら朗読してくれましたが、短い文字数に凄い世界観が埋め込まれていました。私は穂村弘という歌人が好きで、彼がよくエッセイで塚本邦雄の短歌を引用しているので知っていたのですが、現代短歌を飛ばしていきなり塚本邦雄や葛原妙子に辿り着く直枝さんの言葉へのアンテナが凄いなと思いました。

そんな本にまつわるトークをしながら(なぜか歯ブラシの話に脱線したりしながら)ライブは進み。レアな「空色のコンビナート」や原田真二さんのカバー、「いつかここで会いましょう」や「JUICY LUCY」など充実のセットリストを堪能出来ました。繊細なアルペジオからグルーヴ感溢れるストロークまで、改めて直枝さんはギターの名手だなとほれぼれしましたね。来週からカーネーションのレコーディングも始まるそうで、新譜も楽しみになりました。このほどアナログでリイシューされた名盤「LIVING/LOVING」にサインをいただき記念撮影をして貸切り図書館の再開を実感しました。(あやは前回の友部さんライブを風邪で欠席してるので今回が再開後初です)

この日の夜は東海道線横須賀線が止まって帰宅難民が発生したそうですが、ご来場のお客さんは大丈夫でしたでしょうか。(さすがの直枝さんもこれはJRと打ち合わせ出来なかった模様)

今回来られた方も残念ながらチケット入手出来なかった方も、ぜひまたいつかここで会いましょう。次回の貸切り図書館は8/12山田稔明さんの登場です。こちらもよろしくお願いします!f:id:fishingwithjohn:20230808104357j:image
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