マギーズ・ファーム

夜、近くのゴミ収集場にカンとビンを捨てに行ったら、
ふと、黒くうごめく不気味な虫が目に入って。
「うわっ、ゴキブリだっ!」
とか思ってさっと避けたのですが、
向こうは逃げるでもなくそこに留まっていて、
なんかじたばたしているのです。
よく見たらその虫、
カメのように裏返しになったまま表に戻れないようで。
ひたすら手足をばたばたと動かしていて、
その様はホント、
「必死!俺必死!」
という感じで大変だったのです。
まあ間抜けなゴキブリもいたもんだとよくよく見てみたら、
なんとそれ、ゴキブリじゃなくてカブト虫(!)で。
なんでこんなカンとビンの近くにカブト虫が?
夏の王様が?と訝ってよーく見たのですが、
裏返しになったカブト虫さんてのは実にゴキブリさんに
そのルックスが酷似しているので、
「あれ、やっぱゴキちゃんじゃないの?」
と疑いつつも見たらやっぱり正真正銘カブト虫で。
なんつーか夜に蠢く昆虫というのは
もうすっかり大人になった僕には
大変気味悪い物体なのであって、
とても触る勇気もないのであって、
そこで拾って行くわけでもなく
もうこのまま帰ろう。と立ち去ろうとしたわけです。
でもいつまでもそのカブト虫、裏返しのままばたばたやってて。
なかなか立ち直れないようなのです。
そのばたばたと必死な様がなんだか
「夏の哀愁。」つーか、
「夏の舞台裏見ちゃった。
仮面ライダーの背中のチャック見ちゃった。」
みたいな哀しさで(笑)、
「自分、先輩のそんな弱いとこ見たくねえっす!」
とせめて表向きに戻してあげようと
手を伸ばしたのですが、その刹那にそのカブト先輩、
自力で表に戻って。
やおらのそのそと動き出したのです。
「おー戻ったよー。よかったよかった。」
と思って結局そのカブト虫を拾って来るでもなく、
何事もなかったように帰って来たのですが(笑)、
なんとも不思議な光景を見てしまったものだなあ。
とか思ったのです。
まさか近くに森があるわけでもないのに、
なぜにあんなとこにカブト虫がいたのか
全くもって謎なんですが。
そしてなぜ裏返しになっていたのも謎なんですが(笑)。
まあそれもこれも
「夏だから。」
ってことじゃないですかね(笑)。
まあ先輩のことだからしっかりとこの夏に
その命を燃焼することでしょう。
白い灰になるまで。
真っ白に燃え尽きるまで。
あしたのジョーより。)
つーかカブト虫とかセミとかが確実に恐くなってる自分に
あー大人になっちまったな。
と言いたい感じですね(笑)。
やーだって気持ち悪いんっすよ〜(笑)。