fwj@福岡レポート

そんなわけで初の福岡ライブの日をいよいよ迎えたfwj。
旅は現地入り前日の10日、次の日の第1便で福岡へ飛ぶに当たり
私の家からだと始発でも羽田まで間に合わないため、
前もって吉川くんの家へ泊まるというところからスタートしたのです。
長いですがざっとレポートしていきたいと思います。


10日土曜日、仕事を終えて準備して家を出て電車を乗り継いで、
夜の10時過ぎにようやく最寄り駅に到着した私は
リハ終わりの吉川くんと合流し、彼の家へ。
「向こうの天気はどうなのか。」「予報によると寒いらしい。」
「南の国なのに関東よりも寒いのか。」など、
主に天候のことを話していたらあっという間に12時を回ってしまい、
慌てて私はビールなど飲んで、酔った勢いで寝ちゃうよ作戦を敢行し、
吉川くんはいつも通りに寝ますけど的スタンスで眠りに入ったのですが、
入ったと思ったらあっという間に起床時間の3時半を迎えまして。
ほとんど寝てない状態でそそくさと起きて雨のそぼ降る街を歩き、
タクシーで池袋まで向かい始発に乗り込み品川まで行き、
その品川では石本さんも合流し、赤い電車に乗り換え、
わーい赤い電車だー、などといい大人3人ではしゃぎながらいたら、
あっという間に羽田空港に到着。
そこでキシくんとも合流してようやくフライトと相成ったのでした。
(フィジキさんはご家族と一緒だったので別便でした。)
もうその時点で起床から大分時間が経過しているので
朝ご飯を食べても良い頃合いだったんですが、
何となく折角だから向こうで美味しいものを食べようよ的な空気が流れ、
パン1個だけ食べて飛行機に乗り込むことにした我々は
「あーパン美味しいな。」とそのままな感想を述べつつ、
行く先の福岡へ想いを馳せたりしたのですが、
その時点で時計を見てもまだ朝6時半という早さなわけで、
「今日は一日が長くなるな。」
という予感を実感として皆が持ち始めた頃に飛行機は離陸し、
一行は福岡へ向かったのでした。


そして飛行機の中でうとうとしながら2時間、
無事福岡空港に到着した一行はまずは荷物を受け取り空港内のカフェへ。
これからの予定を練りつつまずは一服したのですが、
何となくここでご飯をがっつり食べてしまうのも何だから
あえて待ってお昼のラーメンを美味しく食べよう的な空気がまた流れ、
(昼はラーメンが良いんじゃないの、という計画が
何となく暗黙の了解になって来てたのですね)
ひとまずここではコーヒーなんか飲みながら、
取りあえずは近くの温泉付き健康ランドに赴き
しばし休憩しようということになったのでした。
カフェを出た我々は空港内にてなぜか作家の志茂田景樹氏に出くわし、
「おお、志茂田景樹だ、あれ。」などと言ってたら吉川くんがぼそっと
「オレ、こないだ上野で志茂田景樹を見かけたばっかりですよ」と呟き、
彼の志茂田景樹遭遇率の高さがなぜか福岡で明るみに出たのですが、
そんな事実が露呈されるとは恐るべし福岡、と思いつつ
一行はロックバンドのイメージからはほど遠い、
「万葉の湯」なる健康ランドに向けてタクシーで出発したのでした。


その健康ランドでは風呂に入る者有り、ひと眠りする者有り、
という感じで皆がそれぞれリラックスタイムを過したのですが、
私はというと湯冷めすると嫌だからという、割と消極的な理由で
風呂にも入らずごろごろしながら体を休め、
また同時にライブへのモチベーションも上げつつ過ごしたのですが、
そんなこんなで過ごすうち出かける時間になり、
そろそろ街へ出てラーメンを食べてスタジオに入ろう。となった際
(リハ用に現地のスタジオを手配していたのですね)、
何と吉川くんのロッカーの鍵が見当たらないという
思わぬトラブルが発生して。
鍵を返却せねば出発することが出来ないわけで、
彼のカバンやらポケットやら鍵をさんざ探したのですが、
結局見つからないという結論に達しまして。
最終的には彼が弁償として鍵代4200円を健康ランド側に
支払うという羽目になったのでした。
旅先で思わぬ支出に見舞われた彼はがっくりと肩を落とし、
「ああ、よんせんにひゃくえん・・・。」と呟いたのですが、
4千円に消費税5パーセントを追加した金額である4200なる数値を
ここまで哀愁込めて述べた人がかつていただろうか、と、
私は彼の哀しい背中に落涙を禁じ得なかったのですが、
鍵を探しているうちに時間はすっかり押し気味になっており、
泣く暇もなく急いで我々はライブ会場近くのスタジオへ向かったのです。
本番直前のリハをするために。


「スタジオに入る前にまずはラーメンを食べる。」
というミッションを遂行する気満々だった我々は
「食べるぜ、ラーメンを、絶対に。」
とあえて倒置法を用いて述べたいほどの腹具合になっていたわけですが、
慣れない土地でスタジオの場所を探すのに手惑い、
スタジオに辿り着いた頃には結局食べる時間がなくなっており、
やむなくそのままライブ直前の練習を敢行するに至ったのですが、
ここで合流するはずのフィジキさんが遅れる。
というプチトラブルも発生して。
彼に電話をしたら「すいません!もうすぐ到着します!」とのことで
先にリハを開始した我々ですが、
「ラーメン食べたい」という気持ちがマックスを迎えようとしており、
今ほど矢野顕子さんの気持ちがわかる時があろうか、いや、ない。
とあえて反語を用いて述べたいほどになっており、
逆に私はテンションが上がるという現象に見舞われたのでした。
こんなテンションの上げ方があるでしょうか。
あったのです。
吉川くんはというと「嗚呼、腹減った。」と、
先ほどの「よんせんにひゃくえん。」と同等のテンションで呟きつつも
4200円分の哀愁のピアニカフレーズを続々と繰り出し、
合流したフィジキさんも他のメンバーもそれに釣られて気合いを入れ、
本番に向けてバンドが動き出したのです。
このスタジオの看板にはなぜか大きくリー・ペリーの写真が載っており、
石本さんがそれを気合いを入れて写真に収めていたのですが、
それがそのままステージの気合いに繋がるような雰囲気で
リー・ペリーを後に残し我々はいよいよ会場まで向かったのでした。


ライブ会場はスタジオからすぐ近くの奥まった所にある
不思議な外観のちょっとサイケな建物で、
取りあえず会場入りした我々は挨拶をしつつもすぐに荷物を置いて
「ちょっとラーメンを食べて来ます。」と外へ。
近くの「普通のラーメン屋ですけども」みたいな風情の店へ入り、
いよいよ満を持してラーメンとの対面を果たしたのですが、
ここは本当に普通の街のラーメン屋さん。みたいな店なのに
出て来たとんこつラーメンは東京で食べるのより格段に美味く、
「さすが博多。」と我々は感心するに至ったのですが、
やはり東京とは違うのだなと改めて思いましたよ。
まあひとまずこれでミッションは無事遂行というわけで、
ようやく我々は一息付けたのですが、
思えばここまで長かったです(笑)。
ちなみにこの店は今回の会場とはまた別な
某ライブハウスの隣だったのですが、
何と隣で演奏しているバンドの音が丸聞こえで、
ライブ@ラーメン屋。みたいな状態になっていたのですが、
この近辺はライブハウスが密集しており、
ラーメン屋を出た後、歩いているうちにもあちこちで
ライブハウスから漏れる音が聞こえて来て、
ここら辺の騒音問題はどうなっているのか、
防音はされているのかなどと、
周辺住民が地域ぐるみで考えるべき環境問題を
なぜか埼玉県民の私が考察するに至ったのですが、
音に寛容な街なんでしょうか。
果たして。


そんなこんなで戻って来た我々はリハ及びモニターチェックをし、
終えた後は私と石本さんとで今回呼んでいただいたCRJさんの
インタビューを受けるということになり、
代表のAさん相手になぜか車の中というシチュエーションで
トークを展開し(このインタビューはCRJ-Fukuokaのラジオで
流されるそうなので福岡近辺の方はぜひ聞いてみて下さい。)、
インタビューを終えた後はそのままAさんの車でホテルに向い、
チェックインし、再び会場に向かうという慌ただしさの中、
ようやく本番を迎えるだけとなったのです。


本番前は本番前で、近くに石本さん行きつけの旨い店があるとのことで、
今しか時間がないからということで一行でそこへ赴き、
先ほどラーメンを食べたことをすっかり忘れ
魚の刺身なんかをつまむという行動に出たのですが、
この刺身がまた新鮮で旨くて。
石本さんは「ひゃっほう。」などと子供のように喜び、
皆も「これは旨い。美味である。」とか言いながら
魚に舌鼓を打ち、本番前なのに打ち上げみたいな豪華料理を食し、
みそ汁まで飲んだところで再び会場まで戻り、
いざ本番を迎えることとなったのです。


そして本番ですが、今回のセットは以下の感じでした。
1、鈍行ブックモービル
2、アゲハに映る
3、一人二役のスキップ
4、疾風スカート
5、サイクル曜日
6、夏でもなく秋でもなく
7、夜に塗れて
8、読みかけの夏
9、ラブの10月革命
10、夕方ループ
レコ発の時と同じくらいのボリュームだったんですが、
演奏してる方は意外に短く感じました。
MCで言おうとしていたモーサムネタはインタビュー時に
Aさんに話してみたら受けがいまいちだったので(笑)
吉川くんの4200円ネタに変えました。
4200円で笑いを取ることになるとは誰が予想したでしょうか。
(彼には悪いですけども・笑)
自分的には後半の静かな展開が気持ち良く演奏出来ました。
今回共演のバンドさん達が比較的ラウドだったので
逆にうちらだけ浮いてて良かったような気がしましたよ。
あと今回オファーをいただいたNさんが
「サイクル曜日」を気に入っているとのことだったので
彼に曲を捧げたりしました(笑)。
楽しい演奏になりましたよ。


演奏後には熱い感じのファンの方に「良かったです!」と言われつつ、
サインと握手と、あとなぜかハグも要求されたので驚いたのですが、
ハグしつつも「欧米か!」と心の中でツッコんでしまったんですが(笑)
それを見ていたフィジキさんが「情熱的ですね。」と
冷静にコメントしていたのが面白かったです。
その冷静と情熱の間で私は「そうですね。」と同意した次第です。
遠くの地にそういう熱いファンの方がいるんだなあとか思って
嬉しかったです非常に。


で、イベントも終了した後、
打ち上げがあるとのことで会場に向かったのですが、
場所を間違えるなどまたトラブルもあり(笑)、
あちこちと歩き回ってようやく打ち上げになった頃には
もう時間は零時を過ぎており、疲れも1周してしまって
私は逆にテンションが上がるという状態になっていたのですが
他のメンバーは疲労していたようですねどうも(笑)。
焼きラーメンや肉など、ヤングなメニューが出て来る中、
フィジキさんが「ごまさばはありますか?」と
大人なメニューをリクエストしてたので面白かったのですが、
先ほど魚を食べたというのにまたここで食べたりして
今日の食事のサイクルはどうなっておるのかと思いつつ、
ビールを飲んで私は博多の夜に酩酊し出したのですが、
他のメンバーが皆「限界なので先に帰るわ。」と言い出したので
私もそれなら帰るとするか同じ部屋だしなと、
「帰りますー。」と申し出たところ、
それまで静かだったCRJのスタッフさん達が急に
「あのー、ファンなのでサインして下さい。」とわらわらと寄って来て、
いきなりプチサイン会みたいな状態になったので
私はなぜもっと早くに申し出てくれなかったのかと思いつつ、
写真撮られたりサインしたりして最後に交流を図りましたよ。
福岡のファンの方々と。
CRJのスタッフの可愛い男の子や女の子が
皆1枚目から3枚目までの私のCDを持参し、
サインを求めて来てくれる様に私は素直に感動し、
「嗚呼、この思い出を糧に今後生きて行こう。」
などと思わず胸が熱くなったりしたのですが、
その割にAさんの名前を書き間違えるなど
酔っぱらい状態も露呈されてしまったので(笑)
失敗したなあとか反省したのですがどうだったんでしょうか。
「私が1位にプッシュしたんですよ」と女の子に言われたりして、
すごく嬉しかったです。
遠くの地でこうして気に入ってくれてる人がいるのだなと、
実際顔を見ることが出来ると嬉しいものですね。


そんなわけで感激しながら会場を後にし、タクシーでホテルへ戻り、
シャワーを浴びて倒れ込むようにして寝たのが
夜中の2時くらいだったのですが、
「今日は一日本当に長かった。」と思いつつ、
私は「あしたのジョー」で、長屋の連中に歓迎されて感動して泣いた時の
矢吹丈の気持ちに同調しながら、
福岡で深い深い眠りに落ちて行ったのでした。
なぜ一日の最後にあしたのジョーが出て来たのかと問われれば
「好きだから」と答えるしか術はないのですが。
何しろ胸をいっぱいにさせながら眠ったのです。
そう、夜に塗れて。