私、乱射して

先日、山下敦弘監督の新作である
松ヶ根乱射事件」という映画を鑑賞したのですが、
この監督独特の「間」と細かい演出に見え隠れする
笑いと狂気にまたも唸らされたのですが、
普通に面白い作品だなと感心しましたよ。
リアリズムの宿」「リンダリンダリンダ」を見て以来
私はすっかりこの監督のファンなのですが、
今回のは出て来る人間がことごとくダメ人間ばかりで、
そのダメさや情けなさが哀しくも愛おしく思える目線で描かれており、
退屈な田舎の日常に鳴らされるノイズと暴力を
笑いと哀愁に着地させている辺りがどこか上品というか、
(登場する要素は下品だったりするんですけど)
毒がありながら綺麗に収まってる感じが私には心地良かったです。
このタイトルの「乱射事件」自体、ある意味ネタばれというか、
見ている人は「どこかで乱射が起こる」と予想しながら見るわけで、
どうやって観客の予想を裏切るのかと思って見てたら
ほう、そうなるのか、というような展開で、
見ていてすごく腑に落ちたのですが、
このタイトルをあえて掲げたのは成功じゃないかと思いました。
世代的にダウンタウンのコントを見て育った人だと思うんですけど、
木村祐一氏の使い方が秀逸だなと思いましたよ。
全体的に私はすごく共感出来るのですよねこの監督の世界観に。
この監督の次回作はくらもちふさこ原作の映画化らしいので
そちらも楽しみです。
あと今作の劇中の音楽がパスカルズだったんですが、
素晴らしかったのでCD全部買おうと思いました。
このバンド名ってパスカル・コムラードから来てるそうなんですが、
(そのまんまじゃないですか・笑)
最近またパスカル・コムラードとかフランク・パールとか
そういうアヴァンポップなんかをよく聴いているのです。
こういう奇妙で毒があるんだけどすごくポップで美しいものに
結局私は惹かれてやまないのですね。