アラウンド秋葉

気が付けば8月になっているわけです。
暦の上ではオーガストなわけです。
もう真夏と呼んで差し支えないんじゃないでしょうか、これは。
真夏の果実をもぎ取るように日々の頁をさくさくと捲っているわけですが、
特に何ら変わったこともなく、淡々と生活というやつを営んでいる次第です。
今はどこの乗り物も建物もこれでもかと冷房が効いていて、
「冷房が凶暴、まるで真冬の様相」と韻を踏んだフレーズがつい口をついてしまうのですが、
凶暴冷房か猛暑かの極端な2択によって身体が疲れてしまうのであり、
あのギャップは何とかならないのかといつも思うわけです。
ちょうどいい感じの情緒ある夏の暑さはもう得られないのですかね。
茶店やカフェの類いもあまりに寒いので長居出来ないし。
エアコンに「夏の情緒」みたいなスイッチがあれば良いのにと思うんですが。
程よくぬるい空気の中で扇風機の微風に煽られる頁を押さえながら、
文庫本など読みながらアイスコーヒーなどを飲むという夏の情緒を想いつつ、
冷房フル稼働の建物でブルブル震えながら過ごしています。
求む、情緒。


ここ最近はまた秋葉原御徒町の間にある2k540という施設の
匠の箱というお店で展示をしているので連日秋葉原に通っているのですが、
秋葉原に集う人たちを見てて思うのはみな路上によく座ってるなあということで、
ほとんどのガードレールは腰を掛けている人たちで溢れているし、
道路やビルや駅の端っこなどに直に座ってゲームしたり携帯見たり、
漫画読んだりぼーとしたり、
集団でその日買った戦利品を広げて盛り上がっていたり、
ジュースなど飲みながらお菓子など食べながら、談笑したりしているのですよね。
ああいうのは喫茶店とかお店に入ってやれば良いのにと思うんですが、
みな街中で済ませてしまうのですよね。
(そんな風に私には見えるのですよね)
買い物に集中していると喫茶店で休憩する間も惜しいので仕方なく路上でひと休みしているのか、
はたまた喫茶店で使うお金も惜しんでいるのか、
そういえばあの辺りは長居するようなお店があまりなく、
飲食店はどこもファストフードだし、歩きながら食べられる物ばかり販売している印象があります。
専門的なお店に集う同士たちがたくさんいて、街の喧噪も自分たちの嗜好と合っていて、
コスプレをした女子たちがチラシを配っていたり、目に入る物も楽しいものばかりで、
秋葉原の街全体が落ち着く空間として感じられるのでしょうかね。
もうここが居間だしここがカフェじゃね?みたいな。
両手に買い物袋を抱えて路上に座って休んでいる青年たちを見ると、
秋葉原で戦う者たちが羽根を休めている、戦士の休息だなと思ってしまうのですが、
嗜好の合う人にとってはこんな居心地の良い街はないのでしょう。
この間は駅前のコンビニの横のコンクリートのところに正座をしてお弁当食べている青年がいて、
何もそんなところで食べなくてもと思ったのですが、
あの駅前の喧噪と街の看板の色味や情報などがいいスパイスになって
あそこで食べると落ち着くのかもしれません。
(コンビニにとっては迷惑なんでしょうが)
こんなある意味ピースフルな街にトラックで突っ込んで来てナイフで人を刺すなんて愚行は
到底許されるものではないなと思うわけですが、
そんな鬱屈した気持ちを解消してくれ犯行を止めてくれる素敵なサムシングを得られなかったのか、
何とかならなかったのかと秋葉原を笑顔で闊歩する若者たちを眺めながら
思ったりする私です。
確かめて見つけたいものです。
素敵なサムシング。