北欧旅日記 リトアニア編3

この日は朝早くからみんなで出発し、電車に乗ってVarenaという街へ行きました。目的地は木彫り職人のAlgirdasさんのアトリエです。駅でキビナイというリトアニア料理を買って(ざっくり説明するとミートパイのような食べ物です)、車内で食べながら2時間ほどかけて移動しまして。車窓から見える風景がどんどん田舎になっていって、青い空に白いモクモクとした雲、緑の木々がゆらゆらと揺れる光景がとにかく風情があり、外国での電車移動って最高だなあと満喫してしまいました。
そして目的の駅に着き、郊外の景色の中ををしばし歩いて(路上で綺麗なシャム猫を見かけました)Algirdasさんのアトリエに到着し。この日はちょうど木彫りのスプーン作りのワークショップを行っており、先生の指導の元、たくさんの生徒が参加しておりました。(スウェーデンやイギリスなど遠方から来ている方も多数いて驚きました。)我々ジャパニーズ一行も折角だからと参加することになりまして。リトアニアに来てまさかスプーンを作ることになるとは思いませんでしたが。まずはAlgirdas先生が材料となる木を斧で切ってくれて。そこに鉛筆でスプーンの形を書いて、それに沿って掘り出して行くのですが、これがなかなかの力仕事なのです。(先生は機械を一切使わない伝統的な作り方を守っているのです。)知り合いにスプーン作家の宮園さんという方がいるのですが、彼女もこんな大変な作業を経てあれを作っているのか〜と、改めて感心してしまった次第です。岩崎さんもあやこさんも千秋さんも木を削り出す作業に没頭しておりました。(aCaeさんは周囲の風景を撮影しにどこかへ行ってしまいましたが。)私も普段とは違う筋肉を使う作業だったんですが、大変ながらも楽しかったですね。イギリスから来ている女の子がとても上手に掘っており、「イギリスの宮園さんや〜」という向こうからしたらよくわからない賞賛をしてしまいました。そしてAlgirdasさんの木彫りのスプーンや皿、人形などの作品も色々見せてもらい、気に入ったものをそれぞれ買い付けしました。(私も個人的に馬の人形が気に入ってしまい、購入しました。)
残念ながら帰りのバスの時間が迫っていたのでスプーン作りを途中で切り上げて、またみんなで駅まで戻りまして。ケバブなど売っている小さい売店があったのでそこでお昼ご飯を買ったのですが、ここの店員さんが英語が全く喋れず。私は缶ビールを買ったのですが、これが日光に当たっていたせいなのかぬるいを通り越して熱く、おいおい、こんなホットなビアは飲めねえぜと身振り手振りで「冷蔵庫から冷たいの出してくれ」と伝えたのですが、どうやら冷えている飲み物がないらしく。まあ諦めるかと思っていたら、さっきからどこかに消えていたaCaeさんが遠方から手にビールを持って現れ。「あっちに冷たいの売ってました〜」とニコニコしているのです。ヘイ、YOUのその冷たいビアへの熱い情熱は何なんだ、と初日のaCaeビア交渉事件を思い出したのですが、まあ結局バス乗り場の近くにスーパーがあったので、その後全員冷たい飲み物を買えたんですけどね。バスを待つ間みんなで林の景色を見ながらお昼を食べ、シャボン玉を吹く地元の女の子たちをaCaeさんが「撮らせてくれないか」とモデルにしてプチ撮影会をしているうちにバスが来て。今度は車に揺られながらまた宿へと戻りました。
夕食の前に岩崎さんとあやと私の草テンチームは来るべきヘルシンキでのライブのために練習することになり。西日の射す(といってもすでに夜の時間帯です)近くの公園で音源を流しながら練習をしました。リトアニアの空の下で日本語を歌う不思議さです。アユミさん不在を埋めなければならない岩崎さんが演奏に苦戦しているようだったので、「もうちょっと練習しましょう!」と、夕食後も部屋で練習することになり。買い付け旅のはずがここに来て急にバンド合宿みたいな様相を呈していたのですが、まあこういうのも楽しいものです。そんなわけでリトアニア滞在3日目を終えました。