台風クラブ

台風はどうなるのでしょうか。
やって来ちゃうんでしょうか。
屋根を軋ませるのでしょうか。庭のバケツを転がすのでしょうか。
海沿いでリポーターが、ほとんど差す意味もない傘を風に飛ばされぬように
しっかり握って「すごい雨、風ですっ!」と叫ぶのでしょうか。


ところで僕の台風の記憶というのは専ら部屋の中で、
外の出来事を音によって想像するという心地の良い孤独感で、
決して強風の中を歩いて死に損なった、というような
体験はフラッシュバックされません。
「台風の日は出かけない」という心掛けがなぜか今まで守られているからで、
自分の体験として台風を思い出すことはないということが
得なのか損なのかわからないところなんですけども。
これが例えば雪とかだったら、仕事で仙台に行った時にものすごい吹雪に遭って、
しかも道に迷った時などの心理が今でも細部に渡り思い出され、
「ライトが綺麗で泣きそうだった」とか、
「寒い、という単語をここまで実感持って発したことが今までなかった」とか、
「雪に静かなる殺意を感じた」など様々な感情が
身を持って思い出され、雪の度に思い出したりするわけです。
しかしこれが台風だと、
「部屋の中で、外で発揮される強風の暴力性に戦いた」とか、
「部屋の中で、外から雨戸を叩くビートにいらだった」とか、
「部屋の中で、テレビの向こうで展開される台風の壮絶さをぼんやり見ていた」
とか、全部部屋の中なわけです。
まあ直接家を破壊されたりなどの被害を受けたことがないのは幸いなのでしょうが。


そんなわけで部屋にいて台風のことを思ったりするのですが、
台風にいちいち番号振るシステムはどこから生まれたのか
ちょっと気になったりします。
「えっ?オレ13号?縁起わりぃなー」とか台風も思わないのでしょうか。
「せっかく7号もらったのにすぐ温帯低気圧になっちゃったよー」とか。
間違って20号を重複しちゃった、とかはありそうな気がします。
これが台風13ペソ、とか13ドルとか13元とか、硬貨と同じだったら
威厳ないですね。13円、とか。
安っ、て感じで。
缶コーヒーも飲めないですからね。



とかこういう話しといて結局関東には上陸しなかったりするのでしょう(笑)。
そのほうがありがたいですが。