サーチエンジン・システムクラッシュ

疲れてる時なんかによく、
「試験が始まってるのになかなか会場に辿り着けない夢」とか、
「ライブが始まってるのにライブハウスに
なかなか辿り着けない夢」とか、
道が入り組んで歩みも鈍くて途中で邪魔が入ったり
トラブルに巻き込まれたりして、
(あるいは全く予期せぬ別な場所へ来てしまって)
なかなか目的地へ到達できない夢なんかを
もう本当に良く見るのですが(笑)、
今日電車の中で宮沢章夫
サーチエンジン・システムクラッシュ」という小説を
読んでたらまさにそんな感覚の描写ばかりで、
「あーこれ夢でみたことあるなあ」という
既視感みたいなものを強烈に感じてしまいました。
主人公のかつての同級生が殺人を犯したニュースをきっかけに、
昔の記憶を次から次へと辿り、その記憶を確かめるように
池袋の街を次から次へと徘徊する迷路のような展開の話で、
これと同じような夢をホントに何度も見たので、
読後は夢見の悪い感じというか、
軽い疲れも感じたのですが(笑)、
つい一気に読んでしまいました。
まさにネットで検索してリンク先を次から次へと飛んでくうちに
元の場所へ戻れなくなっちゃった感じというか、
結局自分は何を探そうとしてリンク先をこんなに
彷徨ったのか、見失う感じというか、
この感覚はとても強く実感できましたね。
メインから一歩はずれた通りなどを歩くうちに
予期せぬ場所へ導かれる感じというのも、
僕は旅先でもなるべくはずれた細い通りを歩く癖があって、
歩いてるうちに思いもせぬ闇を見たり、
真理の糸口や、郷愁や疑問や様々な感情を発見したりして
なんとなくそういう感覚が日常としてあるので
読んでてよくわかるような気がしました。
それにしても作品通して到達への鍵となる
(そして到達そのものでもあったと言える)
「赤」という強烈な色の様々な印象は
読んでて見事で、特に涙で流れた女の子の化粧の色が
「赤」だったというラストの描写は哀愁具合といい
凄く良かったと思いました。
なんとなくこの迷路のような風景(舞台)の移動具合に
ナンバーガールの曲を思い出したりしました。
ピッタリだと思います。
しかしあっと言う間に読み終えてしまうと
もったいない感じもするのですが、
そういうスピードで読む小説もあるのですね。