りんごの詩

先日、不具合が生じたマイマシンを修理してもらうべく
銀座のアップルストアというところへ赴いたのですが、
私は普段、周辺機器を喜々として買い込んだり、
積極的にカスタマイズしたりなど、
パソコンを愛でたりする傾向が一切ないので
この店にも初めて足を踏み入れたのですが、
何かマックユーザーだぜ、みたいな変な達成感を味わいました(笑)。
入って店員さんに用件言ったら「ここで受付しますので」と、
コンピューターに名前を入力するよう言われるんですねあそこ。
で、「いがらし」と入れて「五十嵐」と変換して決定しようとしたら
いきなり消してしまう。というコントのようなミスをしてしまい、
いきなり店員さんに苦笑されてしまったのですが(笑)、
「それでは2階で名前呼ばれるまでお待ちください」とか言われて、
「へー2階もあるんですかー」とか言ってよく見たら
2階どころか3階、4階もあったのでまた苦笑されてしまって(笑)。
いきなりつまずいてしまったのでした。


2階ではまるで病院の呼び出しみたいに
iPodでお待ちのモモセさまー」とか客に声がかけられていて、
しばらくして私の名も呼ばれたのですが、
私に当たった担当の店員さんがいっぱいいっぱいな感じで、
仕事に余裕がないバイトくんみたいな印象で
大丈夫かしらとか思ったのですが、一応説明して症状も見せまして。
そしたら「この状態を写真に撮っておきますので」と言って
カメラを取りに行ったのですが、彼、なかなか戻ってこなくて。
このまま家に帰ってしまったのではなかろうかと思いつつ待ってると
隣では「モモセさまーいらっしゃいますかー」とまだ呼んでいて。
で、ようやく私担当が来たと思ったらカメラが調子おかしかったのか
「すいません」と言ってまた違うカメラ取りに行って。
相変わらず「モモセさまー」とか隣では呼んでるし。
なんつーか早くしてよーつーかモモセさんもどこ行ってるわけですか、
あなたのiPodに対する情熱ってその程度のものなんですか、
とか思ってたら私担当さんがようやく戻って来て。
そこからはまあさくさくと手続きもスムーズに進んだのでした。
しかし故障したのって自然にで、私が悪いわけじゃないのに、
もしあんたの不注意で壊れたのが後でばれたらお金もらうからねっ、
的なことを告げられると
「あれ、ひょっとして知らないうちに私の不注意で壊したのかもしれぬ」
とか自信がなくなってきてしまうのは不思議ですね。
それほどまでにパソコンに明るくないのですよ私は。
しかしまあこれで無事直って戻って来たら
レコーディングもスパートかけないといけません。
そんなこと思いながら帰ろうとしたら、
まだ隣では「モモセさまー」とか来ぬ人の名を呼んでいて。
その声を聞いていたら、
もうモモセさんは二度とここには戻らないのかもしれない。
なんてふと思ったりして。
ふいに気が変わった猫のような堂々さを持って。
夕方のかくれんぼにおいて前触れもなくフェイドアウトしてしまった
子供のような無邪気さを持って。
モモセさんはどこかへ旅に出てしまったのかもしれません。
漢字に変換すると「百瀬」でしょうか。
入り口ではちゃんと消さないで打ち込めたのでしょうか。