時間と時計についてオリーブの森で語り合う

私の携帯の時計は常に正規の時刻より2分進んでいて、
というのも「2分余裕を持って行動出来るから」という
それなりの理由があるからなのですが、
段々それに慣れてくると頭の中で2分引くようになり、
「あ、47分か。じゃあ45分だな。間に合う間に合う。」
などと計算してしまって結局2分余裕を持つその余裕が
失われていくのであんまり意味がないのですが、
それでも常に2分進んでいる状態が
その携帯の時計の通常の表示になっているのです。
その一方で腕時計の方は電池のせいなのか2分程遅れていて、
正確な時刻に合わせるやり方がよくわからないから
そのまま放置してあるので、腕時計で時刻を確認する場合は
「あ、47分か。じゃあ49分だな。間に合わないぞ。」
などと2分足して時間を見るので少々ややこしいのですが、
常に2分先と2分遅れの間に私はぼんやりといて、
時間を把握しているという感じの日常なのです。


しかし思うに「目覚まし時計」とか「腕時計」とか
「自分の部屋の時計」などのマイプライベート時計は
時間の表示において常にその所有者の癖が現れているはずで、
毎日時報通りの正確な時刻を表示させてる人って
実はあんまりいないと思うのですよね。
目覚まし時計に至っては目覚めの悪い人は
15分とか30分進めてあったりとかあるかもしれないですし。
(まあそれも計算するようになって結局寝坊するわけですが)


あとはそうやって故意に時間をずらしている場合もあれば、
時計自身が勝手に狂ったりする場合もあり、
「あの部屋の時計は古いせいかすぐ遅れる」とか、
時計自身の癖によっても時刻の表示が変わったりもありますよね。
部屋によって個々に違う時計を置き、
そのどれもが微妙に違う時刻を表示してしまっている人などは
「風呂場の時計は3分遅れてる」とか
「居間の鳩時計は5分程進んでいる」とか、
「ビデオデッキの時刻だけは正確だ」とか、
生活における個々の時計の癖を把握していて、
それぞれの癖を頭の中で計算しながら時間を確認していたりして、
そういうのって何だか「時間の個性」みたいな感じがして
私は面白いと思うのですよね。


「常に10分遅れになってしまう古時計」とか、
時計としては決して優秀ではないのでしょうが、
こいつっていつも時の流れがスローなんだよ。みたいな
温かい眼差しで見てしまう時もあって、
そういうのを獲得出来た時計って最早時計ではない、
時間の個性を表示するものに変わっていると言えるわけで、
そういうのも面白いものだなと思ったりします。
時計って実は曖昧な、人間的なものだったりするんですよね。


例えば人に時間を聞いてみても
「オレの時計ではジャスト15分だな。」
「あれ、私の時計では17分だけど。」
「え?僕の遅れてるのかな。14分くらいじゃない?」
みたいな2、3分の誤差って出ると思うのですが、
そういう曖昧な個々の時間の認識をお互い補完しながら
社会って動いてるんじゃないかと思ったりもする私です。
時計の表示を見ることによってその人の時間への意識が
垣間見れるような気がして面白いですよね。


あとは本当の時計じゃないにせよ
その人の体内時計がずれてるケースもあって、
例えば「いつも遅刻して来る人」とかって
その人の時計が常に遅れてるということじゃないでしょうかね。
時期によっても
「ああ、最近のオレって世間の時の流れより確実に遅れてるわ。」
とか感じたりすることもあって、
時間て個人の感じ方によって変わったりするものなのですね。
そういうのが所有する時計にも現れるんじゃないかと思うわけです。


まあそんな時間の哲学を時計を見ながらふと思ったりした私ですが、
みなさんの時計はいかがでしょうか。
ちなみに私のレコーディング機材のそばに掛けてある時計の
秒針の音がたまに曲と一緒に録音されてしまってる場合があり、
それを聞く度に「ああ、その曲を録音してる瞬間の時間が流れ、
それがここに記録されているのだ。」とか感慨深くなったりして、
時計の動きがメロディーと共に残されている様に
こういう時間の残し方もあるのだな、などと思ったりするのですが
みなさんもぜひ一度耳を澄ませてみてください。
「夜に塗れて」という曲で微かに聞くことが出来ます。


ちなみにiTMSの2回目のシングル配信ってどうもまだのようで、
律儀に締め切りを守った私の時間はどうなるのかという感じですが
こうなったら7月何日とか明記しないでだいたい7月くらい。
とか曖昧な時間表示にした方が良いかもしれません。
体内時計が遅れてるのでしょうきっと。
梅雨がなかなか明けないのもきっとそのせいかもしれませんね。


ちなみに「オリーブの森で語り合う」って
中学の頃一度読みましたがよくわかんないまま今日に至っています。
なんとなくふと思い出したので。
今読むと多少わかるかもしれませんけどね。