そうすればもうすぐに、すばらしいのか

何か連日チェルシーがどうのとか書いてて
まるで暇みたいですがそんなことはないのです。
慌ただしいのです。
日々追われています。
「すばらしい日々だ力溢れすべてを捨てて僕は生きてる」と
「すばらしい日々」をぼんやりと歌ってしまいそうな勢いです。
取りあえず地味に頑張っております。
そんな9月です。


ところでこのユニコーンの「すばらしい日々」という歌は
タイトル通り素晴らしい日々讃歌だと思ってる人も
結構多いと思うのですが、
実はこんな哀しい歌はないですよね。
何か以前ビデオカメラのCMか何かでこの曲がかかっていて
思い出に撮りましょうこの素晴らしい日々を。
みたいなニュアンスで使われていたのですが
歌詞をよく読んでないんだろうなこのCM制作者は。
と思ったものですよ。
これって出だしから「僕らは離ればなれ」ですしね。
いいんですか離ればなれで、家族の思い出が。
とか違和感を感じたものです。
これってサビでは
「君は僕を忘れるから その頃にはすぐに君に会いに行ける」
というひねた言い回ししているのですが
「君が僕を忘れてしまうほどに 君に会いに行くことが出来ない」
「君に会いに行けないので 君は僕を忘れてしまうだろう」
「君が僕を忘れた頃になったらようやく会いに行けるのに」
という言い回しのどれにも当てはまらない
独特の諦観や哀愁やそれを素晴らしいと言い切る自虐や
(もしくは素晴らしいと自分に言い聞かせているのでしょうか)
そんな複雑な感情やらが表現されていて
ここら辺に奥田民生氏の非凡さが現れていると思うのですが、
「君は僕を忘れる」という断言がすでに別れを予感させてるのに
「そうすればもうすぐに君に会いに行ける」という
強固な意志と可能性を述べている辺りが実に哀しいのですねこの歌は。
「そうすればもうすぐに」という性急な言い回しも変なんですが
それがより感情の複雑さを現していて哀しいのですね。


何かこの歌の矢野顕子バージョンを聴いてると
よりその哀しみに焦点を当てて深く歌ってる印象なんですが
ユニコーンの淡々としたようなエイトビートとギターリフと
妙なコード進行がやはりこの独特の
ひねた視線を体現してたような気もします。
当時はテレビで何度もこの歌を歌う彼らの姿を見ましたが、
「ああ、このバンド解散するんだな。」という
終わりの感じをひしひしと感じたものです。


この歌を聴きながら、そんなことをぼんやり思いながら、
地味に忙しい日々を送っています。
そんな9月です。
9月の海はクラゲの海じゃなくてクジラの海です。
座礁した方の。クジラのです。