非サイクル曜日

今日、自転車を可憐に颯爽と走らせての移動中、
突然「がたがたがたがたっ!」と音がしたので
何事かと見たら何とチェーンが外れていて、
さっきまで颯爽という表現で現されていたはずの
風切るスピードはみるみる失われ、
ペダルはからからと文字通り空回りし、
私の自転車は私の意志で動かぬものと成り果て、
颯爽とはほど遠いゆったりした速度を経た後、
やがてその動きを止めてしまったのでした。
仕方がないので降りて徒歩で自転車を引いていったのですが
これがもし「北の国から'87 初恋」だったら
バスから降りて来た純くんに「直してやろうか?」と
声を掛けられ、ドライバーをくるくる回す純くんに
すんなり直してもらったものを、と思ったのですが
残念ながらこれは現実社会で「北の国から」ではなく、
時代も06年なわけで、直して貰えなかったわけで。
私は自転車をただただ引いて行ったわけで。
泥の付いた一万円なわけで。
それにしてもチェーンの外れた自転車は
弦の切れたギターの如く哀しい佇まいで、
まるで翼の折れたエンジェルみたいだな、とか思ったのですが
そう思った直後よくよく考えたら「翼の折れたエンジェル
なる有名曲は私はサビ部分しか知らず、
翼の折れたエンジェルが果たして何のメタファーなのか
歌詞の内容をその場で伺い知ることが出来ず、
それなのに翼の折れたエンジェルとかいうフレーズを
安易に例えとして使用してしまったな。とか反省したのですが
しかし翼の折れたエンジェルなんて日常で使用しない
フレーズだなしかし、とか思ったのですが、
「あの人って翼の折れたエンジェルぽくね?」とか、
「最近エンジェルはどうよ、翼折れてる系?」とか、
「ばっきばっきに折れてるしー、翼ぁー、
マジやばいしー、エンジェル失格?みたいなー」とか、
そういう会話が成されていたら面白いかもしれないと
ふと思ったのですが、いや待て別にそんなに面白くもないな、
と直後に思い直して私は翼の折れたエンジェルの如き様相で
自転車を押して帰ったのでした。
みなさんも翼を折らないようご注意下さいませ。


それにしても寒いです。
「てめーら気合い入れっぞ、夜露死苦!」
みたいな族っぽい気合いが入ったんでしょうか寒さに。
あんまり頑張らなくて良いよ、とそっと言ってやりたいです。
寒さに。