Re:サイクル曜日

先日、突如としてチェーンの外れた自転車、
すなわち翼の折れたエンジェルを傍らに私は自転車屋に赴き、
そこの店員さん(30代後半とおぼしきお姉さん)に
マイサイクルを直してもらえるよう告げ、
しばし店内にてそのお姉さんの仕事ぶりを眺めつつ
獏たる時を過したのですが、
そのお姉さん、実にテキパキと工具を操りチェーンをはめ、
自転車の歪みを整体師の如く整え、油を注して、
非常に調子良くマイサイクルのメンテナンスを遂行したので、
おおグッジョブとはこのお姉さんのためにある言葉なのかも、
などと思いつつも、いや別にこのお姉さん限定でもなかろう、
グッジョブな人は他にもたくさんいるぜ、とか思ったものの、
でも取りあえずこの瞬間はこのお姉さんリスペクトで!
とか思いながら「あ、ありがとうございますすいませんー。」と
麒麟の川島くんの声くらい低い腰具合で応対して
自転車を受け取ったのでした。
いやー元に戻って良かったです。


それにしても私はこのお姉さんの仕事ぶりを眺めながら、
これは旦那の仕事を手伝っているうちにすっかり手順を覚え、
単独でも客を捌けるようになったため
お姉さんがソロで店番しているのか、
それともこのお姉さんはこの店の娘さんで
「この店はあたしが守る!私の人生自転車に捧げるの!」
みたいな男気で技術面をひとりで賄っているのか
どっちだろうとか思いつつも
いずれにせよかっこいいんじゃないでしょうか、
とか思うわけで、私はこのお姉さんの子供が作文か何かで
「うちのお母さん」というタイトルで
「うちのお母さんはいつも軍手を真っ黒にして
油まみれで自転車を修理しています。
軍手は洗濯しても汚れがなかなか取れません。
いつも真っ黒です。
でも軍手を取ったお母さんの手はとても綺麗です。
その手で毎日おいしいご飯を作ってくれます。
そして私の頭を撫でてくれます。
お母さんの手、とても好きです。
いつもありがとうお母さん。」
みたいにマミーへの愛を述べるところを想像し、
嗚呼、私はその手で直してもらった自転車に乗っている!
とか思って感激してもらい泣きまでしてしまったのですが、
まあこれはあくまで私の想像でしかないので
実際にはそんな作文は書かれていないかもしれません。
でもそんな作文が書かれていたら素敵じゃないか、
WOULDN'T IT BE NICE!
などと、私はすっかり調子良くなった自転車に跨がり、
颯爽という表現が適したスピードにて走らせながら
思ったりしたのでした。