二人の印象、なしくずしの死

近所の古本屋で鈴木いづみ荒木経惟の写真集
「IZUMI,this bad girl.」を見つけ、
ピンクの表紙の迫力に惹かれて購入したのですが、
いやーすごい存在感ですよ、この本。
部屋に置いておくと空気が変わる感じです。
鈴木いづみ氏ってモデル、作家としても有名なんですが、
サックス奏者の阿部薫氏の奥さんとしても有名で、
二人はシド&ナンシーの如く伝説化しているわけなんですが、
(詳しくは両者のはてなキーワードなどお読み下さい)
阿部氏の音楽をバックにこの写真を見ていると
くらくらしてきますよ。
二人をモデルにした「エンドレス・ワルツ」という
若松孝二監督の映画があって、
ここ灰野敬二氏出演シーンのところが一部見られるのですが、
これを見てるとこの映画、全部見たくなってしまうのですけど、
改めて二人の存在に惹かれてしまいますよ。
町田康氏の薫役なんて実にハマってますよね。
これってDVD化される予定はないんでしょうかね。
何だか今無性に見たいんですけどね、この映画。
これの灰野敬二役の灰野敬二氏の演技(?)が何か
気取ってて実に良いのですが、
演奏シーンのテンションたるや本物、という感じですよね。
ギターがギターに見えない感じですもんね。


ところで灰野氏みたいな人でも普段赤ちゃんを相手に
「いないいない、ばぁ〜。」などと
全力の笑顔であやしにかかったりなどするのだろうか、
または朝食の目玉焼きをうっかり焦がして
「てへ!」とか舌を出しておどけたりするなどの
茶目っ気を持ちえておるのだろうかなどと
ふと考察するに至るのですが、
そういう可愛い行為にもノイズのフィルターを
通すのならなかなか興味深いと思う私ですが、
実際、赤ちゃんをあやすのにギターをアンプに突っ込んで
全力で轟音を鳴らすと、胎内の記憶を思い出して
案外安らかになるのかもしれません。
阿部薫鈴木いづみの子供も胎内であの壮絶な、
切り裂くようなサックスプレイを聴いていたのだろうか
などと思ったりしますが
意外に心地良い響きだったのかもしれないですね。


若松監督の「13人連続暴行魔」での
阿部薫の演奏シーン
何だか妙に哀愁漂って染みるのですが、
こうやっていつも川縁で演奏していたのでしょうか。
この人と一緒に暮らしてたのか鈴木いづみって、
と何だか想いを馳せたりしてしまいますよ。