私、ポツドールを鑑賞して

先日、三鷹くんだりまでポツドールという劇団の
人間失格」なる題の芝居を鑑賞して来たのですが、
評判に聞くほど特に際どい表現もなく、
(まあ冒頭からお尻が丸出しになっていましたが・笑)
割と普通に楽しめました。
ダメ人間の主人公のしょうもなく中途半端にダメな一日を
東中野のアパートの一室という舞台で延々表現しているのですが、
付けっぱなしのテレビ番組で一日の時間帯を現しているところや
(「はなまる」「いいとも」など定番の番組が続くんですが、
「はなまる」に館ひろしが出てたのが何か笑えました)
ほぼ7割がた携帯電話を使っての会話劇で構成されてるなど
独特な手法でリアルな生活感を表現していて面白かったですね。
前半は割と地味な展開なんですが、会話の構築も練られてるので
最後まで飽きなかったです。
舞台にいるの一人だけだし、ずっと同じ部屋だし、
それであれだけ保たせるのはかなり技量が問われると思うんですが。
「布袋のギター」とか「リンカーンにおけるダウンタウン
などといった細かいネタの入れ方にも笑いのセンスを感じましたし。
そのダメっぷり全開の会話に客席から笑い声も起こっていましたが、
ダメ人間だけどどこか憎めない視点で愛情をもって描いていて、
(何だかんだ言って助言してくれる友人や元カノ、
お金を工面してくれる母親がいるのですね)
その現代のダメ人間のぬるさが全面にちゃんと出ていたし、
その元カノの留守電で終わる結末もどこか救いがあったし、
結局言うほど失格にならない感じで着地している様が
後半に出て来るもうひとつの人間失格な展開で強調されるんですが、
あの夢オチ的な生々しい性と暴力描写のくだりは
芝居として動きがあったしかなりの迫力で良かったように思います。
(役者さんが稽古中に怪我したというのは
当然あのシーンだったのでしょう。
人を殴る鈍い音とかかなり臨場感ありました。)
テレクラ女とのリアルなやりとりとか間も良かったし、
(それこそダウンタウン世代が作りそうな笑いの間でしたね)
あの妙なプライドとか、キャラの描き方も巧かったですね。


私はポツドールの芝居を見るのは今回が初めてだったので
過去の公演との比較が出来ないのですが、
複数見ている人によれば割と今回のは甘口な感じだったようですね。
こういう芝居は過激な表現手法がまず話題に上りそうですが
それが排除されても芝居として高度に成立していると思ったし、
今後も面白い表現をしていくんだろうなという感じがしました。
また機会があれば見に行こうと思います。
今回は土佐くんに誘われて行ったんですが
歌人の枡野さんがチケをまとめて押さえてくれて
結局7人くらいで見に行く形になったんですが(笑)、
ファンが多いんだなーとか感心しましたよ。
いやーでも三鷹は遠かったです。


それにしても今日の地震、かなり揺れましたね。
被害に遭われた方々にはお見舞い申し上げます。