不思議、大好き、みたいな。

みんなCM音楽を歌っていた―大森昭男ともうひとつのJ‐POP

みんなCM音楽を歌っていた―大森昭男ともうひとつのJ‐POP

という本を読んだんですがなかなか面白かったです。
大森昭男というCMプロデューサーが手がけた作品を中心に
名CMソングの生まれた背景や裏話などが語られてるんですが、
大瀧詠一山下達郎細野晴臣坂本龍一矢野顕子
矢沢永吉、宇崎竜童、鈴木慶一大貫妙子などといった
錚々たる面子が取り上げられていてかなり読み応えありました。
CMソングといえば80年代の資生堂の一連のシリーズとか
清志郎&教授の「いけないルージュマジック」が鮮明ですが)
リアルタイムで見ていたし結構覚えてるんですよね。
CMからヒットして時代を作った歌って本当に多かったなーと
読みながら思い返したりしました。


CM曲は作家性だけでなくクライアントの意向などの制限があるゆえ
逆に思いもしなかった傑作が生まれる面白さがあるわけですが、
それに確信的だった人の作品てやっぱり残るんですよね。
鈴木慶一氏の手がけた「今の君はピカピカに光って」とかも
鮮明に覚えていますもんね。
(あれ歌ってるの斉藤哲夫なのっ?と後から驚いたものですが)
矢野顕子さんの「自転車でおいで」って私の好きな曲なんですが
あれってサビ部分の歌詞とメロしか最初なかったそうですね。
あとから付け足してあんな名曲に仕上がっちゃうのかよーと、
大きな発見がありました。
(「今の君も〜」も実は最初サビしかなかったそうですね)
不思議、大好き。」の曲とかって全然記憶にないんですが、
そういうのまとめて聞きたくなりますよね、読んでると。
大瀧詠一、大森昭男両氏の対談も面白かったです。


あと安全地帯の「ワインレッドの心」が生まれた裏話とか
個人的には興味深かったですね。
CMとのタイアップでヒット曲が生まれる背景の
理想型みたいなものってこうなのかと思ったり。
あとTHE BOOMの「島唄」も実はCM曲として沖縄から広がったんですね。
全然知らなかったんですが。
沖縄の人にこの歌を届けたいという強い想いから
沖縄の泡盛メーカーのCMソングに決まってそれから徐々に広まったという
CMきっかけでヒットが生まれたこれも美しい形と言えるわけで
そういう背景を知ると曲を聞く印象が変わりますよね。


他にもいずみたく小林亜星樋口康雄など
(彼のピコ名義の「abc」ってアルバムは超名盤ですよ)
色々な作家が取り上げられてるので
そこら辺の人に興味ある方はぜひ読むと良いかと思います。
分厚い本なので持ち歩くの大変ですけどね。