キツネの嫁入り、幻の4月

ここ2日間の伊勢の天気は晴れて良い天気なのかと思えば
急に雨が降り出し、かと思えばまた晴れ、
かと思えば俄に雪が舞い、かと思えば急に強風が吹き出し
また晴れたと思ったら今度は晴れながら吹雪といった具合で
次々と様子が変わって落ち着かない感じだったのですが、
こういう猫の目のようにくるくると変わる天候によく見舞われるのですよね。
伊勢に来ると。
まあ変わるのは良いとしても真冬並みに寒いというのはいただけない事態なのであり、
私は芯から冷えるこの雪と強風模様にぶるぶると子猫のように小さく震えながら
「嗚呼、この寒さが和らぐのだったら僕の体なんて百ぺん焼いても構わない」と
思わず宮沢賢治の台詞を引用してしまうほどだったのですが、
堂本剛じゃなくても正直しんどいです。
この寒さたるや。
何たることでしょうか。


ところで復活した赤福の本店の様子は如何かしらと見に行ってみると
連日ドラクエの発売日の如く長蛇の列が出来ており、
しかもそれが開店前から閉店までキープオンという状態で、
もの凄い大フィーバーが巻き起こっておるのですね。
復活初日などはひとりで100個買っていった強者がいたそうで
私はテレビでその様子を見ていて「業者か!」と思ったものですが、
昨日も私の見てるそばで段ボール2箱分豪快に大人買いしていく人がいて、
本当にいるんだー業者みたいな人ー、と驚いたのですが、
本当にひとりがいくつもまとめて買っていくので
文字通り飛ぶように売れていくのですよね。
「飛ぶように売れる」とは本当に飛ぶように売れるのだなと実感した次第です。
聞くところによると復活後はさらに餅が柔らかく美味しくなったそうで、
「並んででも買って食べるべき」と関係者に勧められましたが、
私には行列に並ぶガッツがないので今のところ買えてないのです。
残念ながら。
どこかにそのガッツ売ってたら買いたいところですが。
367円(税込み、送料別)くらいで。
それにしても本店の前で記念撮影していく人が本当に多いです。
伊勢経済全体を支える重要な存在なのだなと改めて思った次第です。
言ってしまえばただの和菓子なのに凄いですよね。


それにしても晴れ間が見え陽が強く差し込んでいるのに
大粒の雪が舞い落ちて来る光景は見ていて何とも不思議で、
こういうのもキツネの嫁入りと呼ぶのかしらと思ったりしたのですが、
風に揺られて落ちる雪の白が陽の光を反射して輝く際に
それがぼんやりと薄いピンクのような発色に見えなくもなく、
そこが桜の花びらが路上を乱れ舞い散る4月であるかのような錯覚に陥るのですが、
実際にはここはまだ2月で、芯から冷える真冬の天候なのであり、
私は刹那に見える春の幻のような晴れ間の雪という光景に
それこそキツネに幻影を見せられているかのような気にもなって
何だか心がざわついたりしたのです。