ジュン、桜ガール、春の宵

石ノ森章太郎先生の作品に「ジュン」というのがあり、
70年代に「COM」に連載されていた実験的漫画なんですが、
台詞もストーリーもない「漫画のポエム」とも言うべき内容で、
映画的でもあり音楽的でもあり、絵画的でもあり、
その詩情溢れる美しい世界に私は大変感銘を受けたものですが、
今回BSの石ノ森特集でも重要作品として紹介されていて
何だか久々に読み返してみたくなりましたよ。
私は80年代に再発されたと思われる版を所有してるのですが、
(今手元に現物がないので奥付を確認出来ないんですが)
それでも古本屋で結構な値が付いていたと記憶しています。
この「ジュン」の中の「春の宵」という作品が私は特に好きで、
夜に乱れ咲きする桜の狂気を描いてあるのですが、
桜の花びらの妖艶なイメージとそれに翻弄されるジュンの姿が
豊かな動きと共に活き活きと表現されていて、
台詞の一切ないしかもモノクロの世界なのにカラフルに感じられ、
読んだ当時はかなり衝撃を受けたものです。
イントロとエンディングがループして繋がっているのですが、
そういうアプローチの仕方が音楽的でもあるし、
「ジュン」の中でも秀逸な作品のひとつじゃないかと思います。


fwjが去年イトケン、ジマニカのツインドラムとコラボした曲
「斬り翔べ、桜ガール」もこの作品にインスパイアされた部分があって、
自分では大変気に入っているのですけどね。
「春の宵」みたいな曲が出来ないかとずっと思ってたもので。
桜の歌って大体「別れと出会い」みたいなテーマに行きがちなので
あえて桜の妖婉さと狂気みたいなイメージに焦点を当てたんですが、
あの曲には実は石ノ森テイストが隠れていたというわけです。
二人には「死体が埋まってる感じで叩いて」と注文したんですけどね。
どんな叩き方だよって話ですけどね。
ぜひそんな死体ドラム(?)が聞けるfwjの「斬り翔べ、桜ガール」、
iTSや着メロなどで配信中ですのでぜひ聞いていただきたい所存です。
何か宣伝になっちゃって恐縮ですけども。
桜の曲ってこの時期こそが旬なもので、今が聞き時なのですよ。
夜桜の舞い散る中をiPodで延々爆音でループしながら聞いて欲しいです。
絶対ハマると思うんですけどね。
「ジュン」の「春の宵」もぜひ読んでみて欲しいんですけど、
現在は文庫版も絶版みたいなのでヤフオクとかブックオフとか、
オリジナルに挑むならまんだらけとかに探しに行くしかないですかね。
多分今回のBSの放送で市場の「ジュン」がたくさん動くと思うんですけどね。


しかし今回の番組で毎日変わるアシスタントの女子がみんな
「石ノ森なんて別に興味ねえし」みたいな佇まいなんですが、
何なら綺麗どころは必要ないんじゃないですかね、ああいう番組には。
しょこたんがいかに貴重な存在であるかがわかりますよね。
しょこたんは売れっ子なのでブッキング出来なかったんでしょうか。