4月のクール MUTE BEAT

ミュート・ビートの一夜限りの復活ライブを鑑賞したのですが、
CDでしか聞けなかった名曲の数々を生で聞ける喜びを味わい、
侍の如きメンバーの侠気溢れる佇まいに感動を覚え、
私は大変満足した次第です。
こだまさんが間違えて最初からやり直すくだりが何度となくあり、
ちょっとこだまさん飲み過ぎじゃないのという節もあったんですが、
まあそこら辺も彼らの重ねてきた年輪や雰囲気と共に
生ならではの味わいとして楽しめましたけどね。
しかし屋敷豪太松永孝義の鉄壁のリズム隊は圧巻の一言でしたね。
松永氏は微動だにせずにぶ厚い低音を繰り出しておりましたが、
ビル・ワイマン然り「道を極めたベーシストは動かない」という
定説(?)のようなものを目の当たりにした気がします。
「SUMMERTIME~FROZEN SUN」の哀愁にも程がある美メロと
終盤のダブワイズの応酬はまさにハイライトという感じで、
夕陽のような紅いライトを浴びたメンバーの姿に
「闘う男の背中」みたいなものを見たような気がします。
こだまさんがしきりに言っていた
「メンバーがみんな生きていて音楽を続けているから今ここにいる」
という言葉にそれぞれ歩みを続けてきて再結集した喜びが伝わって来て、
実に感慨深かったですね。
石本さんのようなリアルタイムで見ていたファンも
私のような完全後追いのファンもこうして一緒の現場で見られるし、
バンドのメンバー同士の再会は同時にファン同士の再会でもあるし、
バンドの再結成って私は素晴らしいことなんじゃないかと思うのですよね。
「ノスタルジーじゃない」とこだまさんは言ってましたけど、
ノスタルジーの甘美な感覚が刺激される装置としても音楽は機能するものだし、
その時感じた感動をリアルに今現在再確認出来るものとして
かつて懐かしく鳴らされた音楽を今再び鳴らす行為というのは
全然後ろ向きじゃないと思うのですよ。
寧ろ継続していることの確認だと思うし。
そういう意味でもとても良いライブだったと思います。
あとライブ前のDJ KRUSHのDJプレイにも感銘を受けました。
MUROとかがDJするとわかってたらもっと早くに会場にいたんですけどね。
あと関係ないけど会場で東京ダイナマイトハチミツ二郎氏を見かけました。
彼の意外な音楽趣味が明らかになってしまいました(笑)。


しかし私がリアルタイムで体験したバンドであるフィッシュマンズなんかは
もうこういう形で再体験出来ないのだと思うと寂しい感じがしますけどね。
楽家にはぜひ長生きしてほしいよなあと思う次第です。