素晴らしくナイスチョイスな世界で

近所に乱れ咲いていた紫の藤の花もすっかり真下の道路へと散ってしまい、
その残骸が風に吹き飛ばされては路上のところどころに集められ、
集合体となって何かの模様のように私の目の前に立ち現れるのですが、
何だろうと思っているうちにまた風が吹きそれら花の残骸は移動してしまい、
正体を把握出来ぬまままた姿を変えるという繰り返しで、
私は何だか翻弄されているかのような気にもなって
「風が、風の野郎が邪魔だぜ」と独りごちるのですが、
風は止むどころか私の髪までも乱れさせて颯爽と通り抜けて行くのです。
藤の花ってこんなに早く散るものかと驚きながら五月の風に翻弄されています。
花の残骸を低音でゆっくり踏みつけながら
何日か前に藤の花の咲く様子を綺麗だなと思いながら通った記憶を呼び覚まし、
何かが確実になくなったような、
心のどこかに穴が空いたような感覚を味わったのですが、
こういう感情を私は音楽にして誰かに聞かせていくのだろうと思います。
今日、ギターを久々にポロンポロンと爪弾いたのですが、
大変良い音で鳴ったので私は「素晴らしいぜ」と口に出してみました。
まずは素晴らしいと口に出していくのが大事です。
某缶コーヒーのCMのコピーに
「このろくでもない、すばらしき世界。」
というのがありますが、お前にろくでもないなんて言われたくねえよ、
とつい反論したくなってしまう自分がいます。
ろくでもないとかどうとかは自分が決めれば良いのです。
宇宙人如きにこの地球人の繊細な気持ちがわかってたまるものですか。
ていうかこのコピー、真心ブラザーズの歌詞と丸被りですしね。


何だか無性に遠藤賢司氏の「ミルク・ティー」という曲を聞きたくなったので
今聞いているのですが、良い曲ですねこれは。
「冬の長い陽がいっぱいの坂道で
わたしとあなたは黙って影をみてたわ
ああもっといっぱいのミルクティを
飲ませてあげればよかったわ
だってあなたがそんなに早く そんなに遠くへ行くとは
思わなかったから」
遠藤賢司「ミルク・ティー」)