万世橋にスマイルを

昨日は個人でリハすべく秋葉のスタジオを押さえてあったので
本番で使うであろう機材一式持参で出かけたのですが、
その前に楽器屋で小物を買おうと御茶ノ水に寄ったのですね。
かさ張るので駅のロッカーに機材詰め込んでから買いに行ったんですが、
千代田線の御茶ノ水駅のロッカー前に肉の万世というお店があるんですよ。
何か昨日は妙にその肉の万世の看板のマークが気になってしまって。
荷物入れながらしげしげと見てしまったんですけどね。
牛がにっこりと、とびきりの笑顔を投げかけてるマークなんですが。
自分が食べられる身だというのにああも嬉しそうな表情するとは、
これは悟りを開いてる境地じゃないかと思ったりして。
(そんなことはないでしょうけどね)
ああ、肉の万世の牛の笑顔って可愛いな、とか思いながら楽器屋行って、
その他諸々立ち寄ってからまた機材拾って秋葉に歩いて向かったんですけどね。


御茶ノ水から秋葉の方へ歩いていくと途中で万世橋に至り、
そこにも肉の万世のビルがあって、当然また牛のマークが目に入るわけで、
そこでも再び可愛いなとか思いながら足を進めてたんですが、
どうもお巡りさんがそこら辺にいっぱいいて様子が変なのですよね。
牛の可愛い笑顔とは裏腹な様相を呈していて。
牛がスマイルで迎えているのにお巡りが何をしているのだと
訝しく思いながらも道を渡って万世橋署の前へと至ったら、
何かそこが黒山の人だかりになっているのですよ。
テレビカメラとかレポーターとか警察の人とかがわんさかいて。
まさにジャーナリズムの最前線という感じだったんですけどね。
これは何事かと動揺しつつ署の前を通ったら、
「容疑を殺人に切り替え」とか「加藤容疑者が万世橋署に」とか聞こえて、
ああ殺人事件なんだなと思ったんですが、
その時はまだ事件のことを知らなかったので何だか随分大仰な感じだな、
とか呑気に思っていたんですけどね。
警察車両が入るのでそこで足止めくらったりして、
何だか署の前でおろおろしてしまったのですが時間もないし、
何とかそこを通り抜けてそのままスタジオに直行したんですけどね。
リハの前にやはりさっきの事件が気になったので携帯でニュースを見てみて、
そこで初めて事の重大さを知るに至ったんですけどね。
この事件の犯人がさっきの署の中にいたのかと驚いてしまって。


昨日はたまたま御茶ノ水寄ってから秋葉へ向かったわけですが、
気が向いて秋葉を散策でもしようとして早い時間に現地に来ていたら
もしかして事件に巻き込まれていた可能性もあるわけで、
それを思うと恐ろしいなと改めて思いましたけどね。
日常と隣合わせに狂気が在るという、そういう世界にいるのだな自分は、と
何だか嫌な気分にもなりましたし。
犠牲者の方のご冥福を祈らずにはいられないです。


帰り、肉の万世のマークをふと見たらやはり牛はにっこり笑っていて、
その邪気のない笑顔が何だか妙に哀しく思われてならなかったです。
牛があれだけ笑ってるというのに人間の世界にかくも笑顔が足りていないとは。
その笑顔をわけてあげて欲しいものですよ。
この殺伐とした人間の世界に。
昨日に限って何でああも牛の笑顔が気になったのか不思議なんですが、
取りあえずは目の前や周りの人をなるべく笑顔にしていくことが大事じゃないかと、
そんなことを思ったりしましたね。
牛に出来て私に出来ないことはなかろうという感じで。
音楽はそのために鳴らされても良いのではないでしょうか。