鉄腕アトムとPerfume

鉄腕アトム・音の世界」というアトムの効果音を収録したアルバムがありまして。
電子音楽家の大野松雄氏が手掛けたものなんですが。
これがミュージック・コンクレートの傑作として海外でも有名で、
DJや音楽家がネタで使う定番のアルバムでもあるのですよね。
私もアナログとCDで持っているんですが。
今回これについて氏が新しい言及をしているということで興味深く読んだんですが、
「手塚先生と大喧嘩して一度降りたけど無茶な条件が通ったので仕方なくやった」とか
初耳の出来事が語られていて面白かったですね。
色々揉めて一度降りたのは「電子音楽イン・ジャパン」でも語られてましたけどね。
それが手塚先生だったとは知りませんでしたが。
手塚先生とどんなことで揉めてどうやって和解したのかそこが気になりますよね(笑)。
そもそもアトムの足音って最初は普通に「コツコツ」だったのが
例の「キュキュッ」になったのは彼の仕事なんですよね。
あの赤い長靴は未来のプラスチックだから柔らかいだろうという発想で。
そもそも自然の音の再現とかならともかく、
アトムの音って当時この世になかった音ですからね。
(アトムの誕生は2003年なので今は「ある」ことになってます)
未来の音を作っちゃうんだから凄いことです。
そのアトムの足音って元ネタはマリンバの音だったそうですけどね。
電子音楽イン・ジャパン」によると。
それをテープを擦ってああいう音を作ったそうで。
他にもアトムの飛行音とか漫画の擬音の再現とかあって聞いてて面白いんですよね。
未来の音だけど懐かしい感じがするレトロフューチャーな感覚は
手作りで創作したそういう過程によるものもあるんじゃないですかね。
あと氏が語っていた「日本人は森と木の国だから木霊の世界なんだ。
だからリバーブが好まれるんだ」というのはなるほどと思ったりしましたね。
シュトックハウゼンが日本人に好まれないのは残響がなさ過ぎるかららしいですが。
それ以前にシュトックハウゼン聞く人口自体少ないんじゃないかと思いますけどね(笑)。


あと今現在「PLUTO」でアトムの再解釈を行なっている浦沢直樹氏ですが、
彼が「Perfumeを聞いて久々にアトムの音楽だと感じた」という発言をしていて、
私的には「お、そうっすよね!」と非情に共感したんですが、
硬質な未来感の中にヒューマンな手触りがあってしかも切なさがあるというのは
両者に共通しているテイストですよね。
去年のZeppでのPerfumeライブ見てブログにも書きましたが、
その時のメンバーの衣装が赤いハイソックス(タイツ?)か何かで、
それが遠目にアトムの赤い長靴に見えて。
それで「エレクトロ・ワールド」歌った時ののっちの佇まいが実にアトムぽくて、
「これって鉄腕アトムの世界だよなあ」と見ながら思ったんですよね。
アトムのテレビ版の最終回って「熱を持ち過ぎた太陽が地球に悪影響を与えるので
冷却装置を作ったはいいがそれを太陽に打ち込む術がない。
そこでアトム自らがそれを持って太陽に突っ込んで行く」というもので。
さよなら〜とか言って人類の為に太陽に飛び込んで行くんですよね。
自ら犠牲になって。
「エレクトロ・ワールド」の「空の太陽が落ちる 僕の手にひらりと」
という歌詞がそのアトムの最終回を彷彿とさせて何だかすごく泣けて来るのですよね。
中田ヤスタカ氏がそれを意識して書いたのかどうかわかりませんが。
まあそんな感じで浦沢氏の発言は私的には納得という感じでしたね。


音楽に造詣の深い手塚先生が生前好んで聞いていた音楽を集めたアルバムも出たそうで、
そっちもちょっと興味ありますね。
手塚先生の息子さん娘さん共にテクノを通過してるそうですが、
(娘さんはレーベルまでやってますからね)
先生自身はテクノは好んで聞かなかったんでしょうかね。
聞いてたらどういう感想持ったんでしょうか。