私、仙川にて

昨日は「JAZZ ART せんがわ2009」最終日を見に仙川まで行って来ました。
これって昨年simとジョン・ゾーンコブラを見に行ったイベントですが、
今年は別に見なくていいやと思ってたらうちのドラムの横山氏が
「五十嵐くん一緒に見に行こうじゃないの」と誘って来たので行くことにしたのです。


この日は午後のヒカシューのライブから参戦したのですが、
生のヒカシュー見るの今回が初めてだったのですよね実は。
私はテクノポップ黎明期の頃のヒカシューが好きで、
ヒカシュー1978」の混沌とした感じなんかが好みなんですが、
(つーか3枚目以降のヒカシューは聞いてないだけなんですが)
それから30年経た現在のヒカシューは当然ですが別なバンドになってましたね。
まあ巻上公一さんだけですもんねオリジナルメンバー。
演劇性のあるアヴァンポップという感じで面白かったです。
梅津和時氏がゲストで華を添えていました。
梅津さんが清志郎の横で演奏することはもうないのだなあと
ふと見ながら清志郎のことを考えてしまいましたね。
そのまま気持ち良くて後半は爆睡してしまったのですけどね(笑)。
最後に名曲「パイク」が聞けて良かったです。


それから次のステージまで時間あるので横山氏と仙川の街を散策して。
アジアンな雑貨屋とか物色しつつ。
カフェで昼間からビアーなど飲んだりしました。
こんな時間から飲むと次も爆睡だなーなんて話しつつ。


で、戻って次の坂田明ジム・オルークのステージに臨んだのですが案の定爆睡で(笑)。
坂田氏の洪水のようなソロとジム氏の掻きむしる爆音ギターに包まれて
かなり気持ち良く眠ってしまいました。
まあ贅沢な話ですよ。彼らの生演奏をバックに寝るなんて。
最後演奏が終わって客が拍手喝采する音で目が覚めました。
ステージ丸々寝てしまいました。良いのでしょうかこんなので。


で、次のコブラまで時間あるので書を捨てて町へ出るかと散策に出て。
横山氏が近くに「武者小路実篤記念館」というのがあるらしいと言うので
携帯で調べると「つつじヶ丘駅から徒歩10分」と書いてあり、
「つつじヶ丘って隣の駅じゃないの」と言うと
「まあ隣といっても歩ける距離じゃないの」と言うので歩くことにしました。
静かな住宅街や小学校や地方感溢れる寂れた道路をうねうね歩き、
「まるで旅に来たみたいじゃないの」
「まあ人生そのものが旅じゃないの」などと言いつつやがて記念館に着いて。
ただもう閉館の時間らしかったので横にある実篤公園というところに入ったんですけどね。
そこが何だか侮れないぞというくらい良い感じの公園で。
地下のトンネルをくぐったり坂を上ったりと結構広い敷地だったんですけどね。
川のせせらぎや鳥の声など聞きながらすっかり和んでしまいました。
池に鯉がいたので横山氏が持参していたパンをやり(何で持参していたのか不明ですが)
しばし鯉と戯れたりしました。
よく見ると「ここで売っている餌以外あげないで下さい」と書いてあったんですけどね。
「まあパンだから良いんじゃないの」
「毒でもないし良いんじゃないの」とか言いつつ。
パンを食べる鯉の群れはカオスと化しており。
「さっきの坂田明ジム・オルークの交じることのない即興のような混沌じゃないの」
「ほとんど寝てたから偉そうなこと言えないけどそんな感じじゃないの」
とか言いつつ餌やりに没頭して。
それからもしばらく歩いてどんどん奥に進んで行ったら職員ぽいおっさんに
「あれ?あんたらもう閉館時間だよ」と注意されて。
聞くと記念館が閉館すると公園も閉鎖されてしまうんだそうで。
慌てて戻ったら案の定門が閉まって鍵も掛けられており。
建物の中にいたおじさんに「すいません出たいんですけど」と言うと
「あれ、まだ人いたんだ?」とか呑気なことを言われ、開けてもらいました。

先程のおっさんが後から来て「俺が発見したんだよ〜」と言ってましたが、
発見の前に締めてしまう辺り実篤だけにお目出たき人という印象を受けました。
まあ我々も同様にお目出たき人たちですけどね。


で、そのあとつつじヶ丘駅まで渋い風景を見つつとぼとぼ歩き、
駅前の飲み屋を何軒か吟味し、
「ここで良いんじゃないの」
「ふむ良いんじゃないの」ということで店に入り串焼き食いながら焼酎を飲みました。
すっかり「ザ・休日のおっさん」の様相を呈してしまいました。
「悪魔の抱擁」という名前の焼酎を名前だけで選んで飲んだりしました。
「何だか抱擁されてるんじゃないの」
「もうすっかり悪魔なんじゃないの」とか言いつつ。
そこですっかり出来上がってから電車に乗って会場に戻りコブラを見ました。


今回のコブラは昨年と同じく巻上氏がプロンプターで。
まあ1回見たので新鮮味がそれほどないと言うか
ある程度想定の範囲内の音という印象でしたけどね。
個人的に面白かったのは七尾旅人氏のボーカリゼーションでしたね。
日本語の言葉が突然入ると意味が生まれるからでしょうかね。
彼のパフォーマンスは良かったように思います。
そういえば過去にコブラにラッパーの人が参加したことはあるんでしょうかね。
あそこにラップが入るのを1回見てみたい気がしました。
あと最後にジムが突然踊り出したのが印象的でしたね。
動きが妙に機敏で。
この日は「機敏なジム・オルークを見た日」と記憶しようと思いました。


そんなわけで長い一日を終えて帰りました。
寝て歩いて飲んだだけという感じですが
そこに生の音楽が鳴っているというのは実に贅沢な話じゃないのと思った次第です。
こういう楽しみ方で良いような気もしますね。
音楽イベントなんてのは。