梅雨アローン

7月17日のライブで新曲というか未発表曲を演奏しようなどと思い、
それの足らないオケを追加録音すべく先日ひとりでスタジオに入りました。
ひとりでスタジオに入ると何というかもう圧倒的にひとりなのですよね。
咳をしてもひとり。
ふたりのふりをしてもひとり。
孤独よりどりみどり。
「えーと、どうしようっかな」とかいう独り言が放たれては霧散するという状態で。
音を出していないとえらい静かな空間になるのです。
隣のスタジオで鳴っているベース音だけがぶおんぶおん漏れ聞こえる状態で。
あの漏れ聞こえるぶおんぶおんという音は何だか寂しいものですね。
遠くの祭りの囃子を風越しに聞くような感じで。
今日はお祭りに行けないやあという夏の土曜の午後の悲哀を含むかのようで。
そんなぶおんぶおんの合間にひとり録音作業を行うわけですが、
ぶおんぶおんがなかなか鳴り止まないとまた困ってしまうのですよね。
微妙に音が被ってしまうのでね。
それはそれで異なる悲哀が私のハートを締め付けるわという感じで。
余りにもぶおんぶおんと爆音が途切れなく続くので
「ぶおんぶおんうるさいんじゃこらぁ!」と炎のように熱くかましたろうと思い
鼻息荒く隣のスタジオを覗いたらタトゥー入れたハードコアなお兄さんがベース弾いてたので
何も言わずそそくさと戻って来ましたけどね。
そそくさってこういうことを言うのだろうなという感じで。
そそくさ界のファンタジスタを自称しても差し支えないくらいのそそくさっぷりで。
そのままの勢いでそそくさと戻ってそそくさと録音作業を行いました。
おかげで良いものが録れました。(録れたのかよ・笑)
しかし隣のスタジオのベース音の浸食っぷりったら梅雨時のカビの如き様相で、
あの低域の音を完全ストップさせる方法はないのかしらね。
急に「かしらね」と女性っぽいニュアンスが文中に出ちゃいましたけどね。
まあ出ちゃったんだから仕方ないじゃない?
そんなことを思いながら機材を片付けながら、ふとマイケルのことを思い出し、
久々に彼の真似をしてムーンウォークをやってみるに至ったのですが、
ひとりでやるムーンウォークは恥ずかしいという結論が即座に導き出されました。
「うわ、今オレひとりでムーンウォークしちゃったよ!」という驚きと羞恥。
何でしょうかねあれは。
ムーンウォークしてもひとり。
そんな梅雨です。