夏の文体

おくりびと [DVD]

おくりびと [DVD]

もうすぐお盆だからというわけではありませんが、見てみました。
山崎力余貴美子の深みのある演技は素晴らしかったですね。
しかし某広末さんの存在が微妙でしたね。
終始同じような微笑みしか浮かべてないし。
納棺師という職業にあれだけ嫌悪感を示す理由もよくわからないし。
無知と偏見からヒステリックに職業差別する頭の悪い人にしか見えませんでした。
過去に死に対する強烈な体験がありトラウマになってるとか、
それなりの理由があれば説得力増すと思うんですが。
ていうか1千万のチェロの無駄使いは許して月給50万の仕事を許さない経済観念は
主婦として如何なものかと思いますよね。
この不況化、仕事いただけるだけありがたいと思いなさいと
朝まで説教したい衝動に駆られました。
夫のモッくんも自分の仕事に誇りを持ってるなら嫁を説得すべきですよね。
実家に帰った嫁を迎えに行くでもなくのんびりチェロ弾いてるし(笑)。
お前は宮沢賢治かって話ですよ。
死への反動的なことで食と性が描かれてると思うんですがどれも中途半端だし。
(二人のプチ濡れ場がお仕事感満載で切実さに欠け実に白けましたね)
死を思わせるメタファーの数々も安易だし。
横で見てるだけでいきなり納棺師の仕事出来るようになるのかって話ですし。
世間の評価は知りませんがこういう映画に感動する感性は持ち合わせておりません,私。


ジャージの二人 [DVD]

ジャージの二人 [DVD]

ユルい夏休みを描いた映画が見たいなと思って見たんですが、
なかなかのユルさで面白かったですね。
長嶋有の原作の方は好きで読んでいて面白いなあーと思ってたんですが。
これといった大きなドラマは起きないのに面白く読ませてしまうのは
彼の独特な(でも奇をてらったところのない)文体によるところが多いわけで、
この文体抜きで出来事だけ映像化して大丈夫かと思ってたんですが、
堺雅人と鮎川誠というキャスティングの妙で実に巧く成立させちゃってますね。
この二人が小学校のジャージ姿でうろうろしてるだけで詩情が生まれてますからね。
電波の通じない山の避暑地での携帯というツール、
そしてそれを通じたコミュニケーションの描き方が巧いなあと原作でも思ったんですが、
映像でもすごく印象に残る撮り方していて。
登場人物のお互いの距離感、人間関係の機微の描き方も良かったですね。
何より堺雅人だからこそこの主人公演じられたんじゃないかという感じで、
彼の泣き笑いみたいな表情が大変味わい深くて素晴らしかったですね。
あと彼の母親違いの妹役の女子がすんごく可愛いのですよ。
役者さんがみな魅力的だと見ていて気持ち良いですよね。
扇風機の風でも浴びながら夏の昼間にのんびり見たい作品ですね。
心がじんわり温かくなると思います。
原作ももう1回読んでみようと思いました。
はっとするような台詞や言葉がいくつもあってとても良いのです。
長嶋有って良い作家さんですねー。
ジャージの二人

ジャージの二人