六本木リッスン

先日ドラマーの䑓太郎氏から「ジム・オルークのライブを見に行かないか」との誘いを受け、
ビルボード東京とかいう大人な雰囲気の会場へ出かけて行ったのですが、
六本木のみっどたうんとかいうお洒落なところにあるのですね、あそこ。
私は今回初めて行きましたが。
こういう機会でもないとまず行かない場所というか、
朝起きて「よし今日はミッドタウンへ行こう!」と思うことなどまずないような場所なんですが、
そんなお洒落な場所の中の大人な雰囲気満載のビルボードに入るにはちょいと勇気がいるというか、
お洒落な雰囲気を醸し出さないと入れないのではないかとの疑念も生じてしまう小心な自分もいるわけで、
遅れて会場へ着いた私は「YOUはお洒落じゃないから入れないよ」と拒否されたらどうしようと恐れながら
「俺はお洒落だぜ、ギロッポンは庭だぜ」というお洒落表情を作りながら受付へ臨んだんですが、
受付のお兄さんは割とすんなり「お待ちしておりました」と席へ案内してくれ、
マイお洒落表情作りも杞憂に終わったと数秒後にわかったのですが、
なかなか慣れないなあこういう場所はと改めて感じてしまった次第です。
敷居ハイというやつです。
出来れば敷居ローでお願いしたいところなんですが。
今回のライブはジム先生のバカラックカバーアルバムのレコ発のようなライブだそうで。
なにしろ豪華な出演者ばかり出てくるのですよね。
しかも䑓さんが最前列の席を取っておいてくれたので目の前でその豪華なパフォーマンスを堪能出来ました。
どういう脈絡でこのメンバーなのかという面子がジムの力で不思議とまとまっちゃっていたという印象でしたね。
ドラマーが巧いとやはりすんなりまとまるということなんでしょうか。
個人的には細野晴臣さんのベースプレイを目の前で見られて感激しましたね。
歌声とギターも良かったし。
アルバム聞かないで行ったので初めてその場で聞きましたが、
割と原曲に沿ったアレンジが施されてましたね。
もっとがしがしに崩してあるのかと思いきや。
ロックバンドぽい「ジャジャ!ジャジャ!」みたいなキメが結構あったんですが、
細野さんが全然それに乗っかってなかったのが面白かったですね。
ジム氏のギターはとても良い音してましたが譜面台で手元が見られなかったのが残念でしたね。
絶妙なリバーブの深さとか微妙なノイズを出すプレイとか、
目の前だったのでアンプの音が直で聞こえて良かったです。
青山陽一さんのギターもとても素晴らしかったですね。あのスライドの渋さたるや。
坂田明さんの演奏も痺れました。
「雨に濡れても」の全員のシェイカーとかもちょっと真似したくなるパフォーマンスで良かったですね。
カヒミ・カリィさんとやくしまるえつこさんという
新旧女性ウィスパー系シンガーを同じステージで聞くというのも豪華でした。
あの2人は楽屋ではどういう会話をするのでしょうかね。
「お互いウィスパーだと喉の維持大変よね」とか話したりするのでしょうか。
その後意気投合して「白木屋」とか「さくら水産」とか「坐・和民」などの居酒屋へ繰り出し、
PAの腕が悪いと自分の声聞こえないから腹立つよね」などのウィスパーあるあるで盛り上がったり、
「最前列のキモいファンを機関銃で撃ちたくなりません?」などと毒を吐いたりするのでしょうか。
焼酎片手に。
もしくはジャズの流れるバーにてフルーティーなカクテルなど飲みながら
「こないだケーキの美味しいお店見つけちゃった」「へー一緒に行きましょう〜」とか
女子ぽい会話をするのでしょうか。
まあどうでもいい話ですけどね。
歌声は勿論素晴らしかったです。
ライブ後は䑓さんと今日の演奏を肴に久々に飲もうかと思っていたところ、
「あ、俺やくしまるえつこ嬢のラジオ番組聞きたいから帰るわ」と
さっさと帰ってしまうという予想外の出来事が起き、
中学生の頃放課後に遊ぼうかと同級生の高橋くんに声を掛けたら
「再放送のガッチャマン見たいから帰るわ」とさっさと帰られてしまったことを思い出し、
しばし途方に暮れたというか心に小さな穴が開いたセンチメンタルな己がいたのですが、
あんたそこまでやくしまる嬢に入れ込んでたのか!と少々の驚きの念も抱いたのであり、
彼ほどのドラマーを夢中にさせるやくしまるさんて凄いなと改めて思ったりした次第です。
そんなわけで䑓さんを見送り同行した横山夫妻とちょっと飲んで帰りました。
ギロッポンで。
酒の味がジムの着ていたカーディガンの如く渋い味わいでした。
バカラック、改めて聞き直してみようと思った次第です。