品川フォーエバーヤング

先日はヤン富田さんのライブを見に行って来ました。
品川にある原美術館というところまで。
美術館へは駅から徒歩15分とのことで普通なら余裕で歩く距離なんですが、
品川駅に着いた頃にはもう開演時間を過ぎていたので、
ここはタクシーで行っちゃおうかと乗り場を見やると結構な数のお客さんが並んでおり。
バスはどうだろうと時刻表を見やるとあと10分は来ないという状況で。
えーい待ってられるか歩いちゃえと歩き始めたら思ってたよりも近距離で、
初めて行く場所なのに割とすぐに美術館に辿り着けたので、
嗚呼たったこれだけの距離にタクシー如き使わなくて良かった、ビバ徒歩!
会心のガッツポーズを取りながら
「己の足を今後も頼りに生きて行こう俺」
と思わぬところで人生の指標を見出すに至ったのですが、
これもヤンさんの音楽マジックの一環だったのでしょうか。


で、中に入ったらもうシンセの電子音が鳴り響いていて。
今回は美術館の中庭にシートを敷いて屋外で聞くという贅沢な環境で。
電子音と木立の緑と蝉の鳴き声と遠くを走る電車の音と、
さらには子供たちのはしゃぐ声なども相まって実に気持ち良いサウンドでした。
夏空の下に膨大な数のパッチが差されたアナログシンセが
近未来の秘密兵器みたいな様相で設置されており。
その横にはスティールパンが並んでいるという。
太陽の下の科学研究所といった感じの妙な取り合わせが何とも面白かったですね。
まるで宇宙人を呼ぶ儀式みたいな。
遅れて行ったので最初の方の曲は聞き逃したのですが、
あとで聞いたら太陽光で音を出すシステムでのサウンドだったらしく。
そういうシステムをわざわざ作ったそうですね。
私がちょうど見始めた頃に鳴ってたのがスージーキムさんの脳派を変換した音で。
他にもヤンさんの心臓の鼓動をビートにした音とか、
(アルバムでもグランドマスターフラッシュの人体信号を音にしたやつとかやってましたよね)
画像を図面化したものを音像化するシステムとか
(ヤンさん曰く「こういうのをかっこいいって言うんだよ」とのことでした)
数々の面白い試みが体感出来ました。
懐かしさも感じさせる電子音のキュートな音色は
人間や自然を通過してるからというのもあるんでしょうね。
ヤンさんは「時間かけて作ってるからだ」と言ってましたけどね。
他にも「だいじょーぶ」とかの歌ものやスティールパンの独奏も勿論あり。
特にスティールパンは夏の屋外にぴったりでしたね。
「SOB-A-MBIENT」てコンピに入ってるヤンさんのパンの独奏曲とか
夏になるとつい聞いてしまうのですけどね。
「フォーエバーヤング」の朗読とかはせいこうさんじゃなくてヤンさんご本人がされてましたけど、
もっと堂々と喋っても良かったような気もしましたけどね(笑)。

ヤンさんの「俺は新しい音楽への追求を常に怠らない」
「これをやってるの世界で俺だけだ」というプレゼンの仕方が実にラッパー然としていて、
流石日本のヒップホップの草分けだなと思ったりしました。
閑静な住宅街の中でのライブということで音量も演奏時間も限られていたのが何ですが、
夏の屋外でヤンサウンドを体感出来て良かったです。
結局原美術館の中の展示を見られなかったんですが、
今度機会があればまた行ってみようと思いました。
良いロケーションでしたしね。
もちろん次行く時も徒歩で。
己の足で。
夏の思い出また作っちゃったなあという感じです。
8月の始まりに。


スティールパン買ったろうかなと思いますねこういうの見てると。