私、秋の夜道で

もう季節のページは秋の章へとめくられたという感じですね。
空気がすっかり秋の匂いですもんね。
このまま夏が終わらなかったらどうしたものかという感じでしたが。
「今は〜もう秋〜」というトワ・エ・モアのヒット曲も
「今も〜まだ夏〜」と歌詞を改変せねばならない事態に陥るのではないか、
「ふーゆーのーリビエラ〜」という森進一のヒット曲も
「なーつーのーリビエラ〜」と衣替えせねばならない事態に陥るのではないかと
歌謡史を揺るがす事件の予感にひとりこの胸を痛めていたほどなんですが、
きちんと秋も冬も来るようですね。
ビバ季節!と四季の移ろいに声援のひとつも投げてあげたくなるというものです。
しかし早いもので9月ももう半分過ぎてしまいました。
忙しくわらわらとしてたらあっという間です。
この頃は虫の音に包まれた夜の道を歩いていると
小学生の頃の塾の帰り道を思い出すのですが、
塾に通わなくなった今も塾の帰り道を思い出すというのも不思議な話です。
夏が終わり日が短くなってくると塾から帰る時間にはもうすでに夜になっているわけで、
夜になってるのにまだ家に帰らず道をふらふらしているという状況が
小学生にはちょっとした冒険のような感覚だったんでしょうか。
不安のようなわくわくのような悪いことをしているような。
このまま家に帰らずこの横道を入っていったらどこへ行くのだろうか、
あのバスに乗って終点まで行ったらどこに辿り着くのだろうか、
とか言ってる間にすでに自分は見知らぬ街に迷いこんでしまったのではないか。
そんな異世界の存在を感じてしまう秋の夜の道。
秋の夜の涼しさ、肌寒さは街を見知らぬ地に変えてしまうようです。
ちょっと前には7時でもまだ明るかった空が6時を過ぎるともう暗いですからね。
虫の音に耳を傾けながら私は今日も塾からの帰り道をとぼとぼと歩いて来ました。
塾からの帰り道は永遠に近いくらい長くて深い。
そんな意味の口笛を吹いてやろうと思いましたが
私は口笛が吹けないので代わりに靴を鳴らしてやりました。
低音で。
スニーカーで。
いやしかし地味に忙しい日々です。
世間は連休とか言っているというのに。