月への吠え方

今宵は中秋の名月というやつで綺麗な満月が夜空に貼り付いておりますが、
今頃はそこかしこで狼に変身してる輩がいるのでしょう。
さっきから狼の遠吠えが聞こえるのは月のせいかと窓を開け
その目玉のように丸いフォルムに見とれていたところです。
いつだったか夜道を歩いていたらランニングスタイルの狼に出くわしたことがありました。
ランニングの途中でうっかり空を見上げ満月を目の当たりにしてしまったのでしょう。
前に浅草で見世物小屋が営業していて、
「おおかみ男」を大公開!というので中に入って見せてもらったら
大きな紙に「男」と書いてあるものがポツネンと置いてあるだけで、
何だそういうオチかとおおかみ男を目の前に脱力した思い出があるのですが、
満月を見ていてそんな脱力エピソードを思い出しました。
この美しき月夜にそんな脱力エピソードを思い出すとはムードもへったくれもないなと
今書きながら思ったりしています。
この月夜を利用して「今日は満月だし送り狼になっちゃおうかナ」なんて
冗談交じりに口説きにかかる悪い輩もいるのでしょうか。
ナが片仮名なのが不気味ですね。
逃げた方が良さそうです。
そういう輩からは。
あの月まで行ってうさぎを連れて来てと女の子に言われ、
よしじゃあ月まで行って来ると川面に浮かぶ月に向かってダイブし、
光を浴びながら水面に揺れる月を見上げその美しさに震え水の冷たさにも震え、
びしょびしょになって戻って来て「ごめん、うさぎ見つからなかったよ」と言うと
「あなたうさぎの代わりにねずみ連れて来てどうするの」と返され、
爆笑しながら風邪をひいて3日寝込んだ19の夜。
そんな思い出があったら素敵だったものを。
おおかみにもなれず。
濡れねずみで。