冬至湯治

今日は某企業の機関誌の「職人を訪ねる」的な内容の取材を受け、
犬張子を絵付けしている様子を写真に撮られたんですが、
それならばと絵になるべく大小さまざまな犬張子を卓上に並べ、
絵の具やバケツといった小道具を作業中の臨場感を出さんとあえて乱雑風に並べ、
絵の具も各色カラフルに配置し、筆もあえて使い込んだ小汚いものをチョイスし、
職人のこだわりありまっせ的な表情を作るべく眉間に皺を寄せたりなどの演出を己なりにし、
さあこれでいいショット撮れまっせと準備万端に臨んだら
犬張子は「あ、こんなに並べなくて良いです」と静かに撤去され、
絵の具も「あ、今回モノクロなんで」とひとつを残し静かに撤去され、
バケツも「あ、ちょっとどかして良いですか」と静かに撤去され、
表情も「あ、笑って下さい、歯を見せて」と静かに撤去され、
思わず「俺の用意!」とNON STYLE石田風に自分の膝を叩きツッコミを入れてしまった次第なのですが、
そういうものなのですね、世間というやつは。
歯を見せて笑いつつもどこか哀し気な表情をしていたら
きっとそれは私の心の涙が写り込んでいるせいです。
師走ロンリネス。
素人による過多な演出は避けると良さそうです。


ところで今日は冬至なんだそうで。
夜が一番長い日なんだそうですね。
夜が背伸びをして「あーあ」とか言いながら風呂で寛いでいる様を思い浮かべます。
いかりを降ろした船の如く。
いつまでのんびりしているつもりなんでしょうか。
果たして。